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RECIPE

身近な食材でできる「食養生」。土鍋で炊く冬の薬膳スープ

スローレシピ07

Nov 24, 2022

photographs by Masahiro Goda

材料をイチから用意し、時間をかけて、料理すること自体をゆっくりと楽しむ。それが“スローなレシピ”。時短とは真逆の価値観の先に、とびきりの味が待っています。寒くなってきた今月は、体も心も温まる、スローな煮込みレシピを紹介します。今回は、レンコン、タコ、豚バラ肉で作る養生スープを中国料理のシェフに教わります。

教えてくれたシェフ
東京・新宿「古月 新宿」前田克紀さん

大学で中国文化を学んだ後、調理師専門学校を卒業。東京・根津の中国料理店「古月」山中一男氏の下で研鑽を積み、高級営養薬膳師の資格を取得。2012年に支店だった店を引き継ぎ、「古月 新宿」オーナーシェフに。おいしく食べて心身ともに健やかになる料理を提供。東洋医学を食べて学ぶイベント「古月漢満堂(かんみつどう)」を定期的に開催する。


季節の素材を上手に使って身体を整える

薬膳と聞いて何を思い浮かべますか? サンザシ、クコの実、竜眼、高麗人参、等々・・・漢方食材がたっぷり入った、専門店でしか食べられない料理、と思う人は少なくないのではないでしょうか。確かにこうした食材も用いますが、もう少し身近に捉えられるものです。

昔から日本でも「喉が痛い時は長ネギを食べよう」、「身体の冷えにはショウガを」などといわれますね。これと同じこと。身体に応じて、その時々で必要な食材を上手に摂って、健康を保とうという「食養生」の考え方に基づいた料理です。食材は、漢方に限らず、野菜、肉や魚まであらゆるものが含まれます。

養生スープは、そういった観点で食材を組み合わせたスープです。店では季節ごとに相応しい食材で作り、スペシャリテとしてお出ししています。今の季節なら、乾燥しがちな肌を潤す効果があるとされる、豚肉、タコ、レンコンの組み合わせで。ほとんどの養生スープは、味を濁らせたくないので蒸籠で蒸して作るのですが、このスープだけは例外。土鍋で煮込んで作るのがおいしいんです。じんわり火が入ることでレンコンのポリフェノールが水に溶け出し、旨味になるのと、直火にかけることで土鍋の中で対流がおこり、素材から出た脂分と水分とが乳化するのです。

冬場は感冒、冷えなどのトラブルが多い季節。ラム肉の火鍋は北京の冬の風物詩ですが、ラムも香辛料も身体を温める食材。乾燥や感冒と闘う喉や鼻を労わるなら広東白菜、ストレス解消ならターサイを。青菜はさっと炒めるに留めがちですが、しっかり煮込むと本来の持ち味やコクが出てきます。

日常の身近な食材も、選び方や組み合わせで「食養生」になります。冬の献立にぜひ、取り入れてみてください。


「冬の養生スープ(レンコン、タコ、豚バラ肉の土鍋煮込みスープ」の作り方

[材 料](2~3人分)

タコ・・・160g 
レンコン・・・200g
豚バラ肉・・・80g
干しシイタケ・・・小4個
ナツメ・・・4個
ショウガ・・・3片
日本酒・・・60ml
水・・・800ml

[作り方]
 [1]レンコンを切る

レンコンは繊維にそって縦に、ひと口大の幅に細長くカットする。干しシイタケはぬるま湯につけて戻す。タコはブツ切りにする。
POINT:レンコンは縦長に切ると食感がよくなる。

 [2]豚肉をゆでる


豚バラ肉は5㎜厚さにスライスし、沸騰した湯で、表面が白っぽくなるまでゆでる。臭みや余分な脂分が抜ける。

[3]鍋を火にかける

[3]土鍋に材料すべてを入れて、水を注ぎ入れ、火にかける。タコなど素材から旨味や塩分、甘味が出るので塩やだしは不要。
POINT:水で十分! 干しシイタケの戻し汁も使わない。

[4]蓋をして煮る

ひと煮立ちしたらアクをすくい、火加減を中弱火にして90分以上、蓋をして煮る。

[5]完成

レンコン、タコ、豚バラ肉、シイタケ。この4つの主素材を水から土鍋でじっくり炊いていくだけ。塩もしないが、素材同士から出る旨味、甘味、香りで実に滋味深い味わいに。

<道具のポイント>

鍋はなるべく土鍋を使って。ステンレスや鉄といった金属製よりふっくら炊き上がり、旨味や栄養素もスープに出やすいという。どんな土鍋でもよいが、できれば口径が狭く深さのあるタイプが向く。 



◎古月 新宿
東京都新宿区新宿1-5-5
御苑フラトー2F 
☎03-3341-5204
11:30~14:00LO
17:30~20:30LO 
月、火曜休
東京メトロ新宿御苑前駅より徒歩3分
https://localplace.jp/sp/t200372793/

※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

(雑誌『料理通信』2016年1月号掲載)

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