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PEOPLE / 食の世界のスペシャリスト

柴田香織さん(しばた・かおり)フードナビゲーター

第1話「食を読み解く」(全5話)

2016.06.01

生産から口に入るまで

「フードリテラシー」という言葉を聞いたことがありますか?

一つの食べ物には、たくさんの情報が詰まっています。
その食べ物が食されてきた地域や歴史、文化。
野菜や果物であれば、品種、産地の土壌や気候風土、栽培法、旬etc.
畜産物ならば、やはり品種や、餌、飼育日数、屠畜法、熟成期間、部位etc.
加工品であれば、原材料と製法、副材料etc.
そもそも造り手はどんな人物なのか。さらにパッケージや流通・・・。

生産から口に入るまで、情報を一つ一つ読み解き、理解し、判断する力が「フードリテラシー」です。






Photographs by Toshio Sugiura,Text by Kyoko Kita




毎日食べているものでも、実は知らないことだらけ。
食品表示に関するニュースは、それを改めて浮き彫りにしました。よく買う「鮭弁当」が本当はニジマス弁当だった(かもしれない)なんて、はじめて知った人も多いのではないでしょうか。
おいしい理由、高い理由、安い理由も、その食品についての正しい情報を得ることで見えてきます。

食の世界でのオリジナリティ

“フードナビゲーター”の柴田香織さんは、この「フードリテラシー」を軸に様々な仕事をしています。
雑誌での原稿執筆、大手百貨店の食品フロアのディレクション、地方自治体の食の地域振興、ワークショップの開催など。

食の仕事や、食へのアプローチの仕方はたくさんありますが、「フードリテラシー」という一つの“視点”を持っていることは、柴田さんのオリジナリティであり、強みでもあります。

違いを感じる





中でもライフワークとなったのが、食のワークショップです。
水、塩、オリーブオイル、豚肉など毎回一つの基本食材をテーマに設定。
産地や生産方法の異なるものを試食しながら、味はどう違うか、その理由はどこにあるのか、切り方や調理法によってどんなふうに味が変わるのか、時に生産者を呼んで、時に一流シェフに料理してもらい、歴史や文化についての話を交えながら、舌と頭で理解を深めていきます。

優劣を教えるものではありません。
工業的に大量生産されたものと、職人の手によって昔ながらの製法で作られたもの。
どちらが良いかを押しつけるのではなく、まずそれぞれについて正しい知識を持ち、味の違いを認識してもらうことが目的です。
判断するのはあくまで参加者一人ひとり。

このようなワークショップの雛型は、遠くイタリアの大学院にありました。
実は柴田さん、長く広告代理店に勤めた後、37歳で渡伊、現地の大学院で食について学んで帰国したという経歴の持ち主。
では、柴田さんを食の世界へ駆り立てたものとは?
イタリアで学んできたこととは?
食の世界での再スタートから10年目を迎える柴田さんに、これまでとこれからを伺いました。




柴田香織(しばた・かおり)
大学卒業後、広告代理店に就職。2005年、イタリアスローフード協会が設立した「食科学大学」に第一期生として入学し、大学院で1年間学ぶ。帰国後、フリーランスとして料理誌等での執筆、地方自治体の食の地域振興などに携わるほか、ワークショップの開催を通して“文化としての食”を伝える。2011年、(株)伊勢丹研究所に勤務。食品フロアのディレクションを担当。2014年4月〜フリーランスの活動を再開。

























































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