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柴田香織さん(しばた・かおり) フードナビゲーター
第2話「37歳の決断」(全5話)

People / PioneerMay. 30, 2016

ローカルフードって、面白い





大学卒業後は、広告代理店に勤務。営業局でクライアントの広告や媒体計画を提案したり、媒体局では新規媒体の開発などの仕事をしていました。
食への興味はもっぱらプライベートなもの。
食べログなんてまだない頃から、食べに行ったお店を5項目20点満点で評価してメモしていたといいますから、趣味とは言っても筋金入りです。

ある時、旅行先のイタリアで、リボッリータの存在を知りました。硬くなったパンと野菜を煮込み、たっぷりオリーブオイルをかけるトスカーナ地方の家庭料理。
「黒っぽくて、まずそうって思いながら口にしたら、驚くほどおいしかった。その時、初めてローカルフードって面白いなと」。
それからというもの、休暇を利用してはイタリア各地を巡り、土地土地の料理を食べ歩きました。

Photographs by Toshio Sugiura,Text by Kyoko Kita




行くなら、今

「スローフード」という言葉を知ったのは1999年のことです。
ワイン雑誌で、イタリアのスローフード協会についての小さな記事が目に留まりました。(ちなみに、島村菜津さんの『スローフードな人生! イタリアの食卓から始まる』(新潮社)が出版されたのは、その翌年)。
早速、日本支部に入会。しかし日本では具体的な活動が行われていないことに物足りなさを感じていました。

そんな折、イタリア本部の会員誌で、食の業界を横断的に繋げる人材育成を目標に掲げた「食科学大学」が設立されることを知ります。
「生産現場を訪ねる実地研修に、味覚官能評価の学習……授業の内容が他になく、すごく面白そうだったんです」。

「やりたいことはまさにこれ。行くなら初年度!」と、まだ出来上がってもいない大学の入学試験を受け、合格が決まらないうちに会社を退職、イタリアへ渡りました。
「受からなかったらどうしようって思いましたよ(笑)」。

Q. 思い切った決断をされましたね。安定した会社を辞めてまで食の世界に飛び込もうと思ったのはどうしてですか?
A. もともと飽き性なのか、未知なものに惹かれる性格。長く勤めるには良い会社でしたが、10年後もそこにいる自分が想像できなかったんです。
「食科学大学」の設立を知った時は、行くなら今しかないという思いでした。当時私は37歳。この機会を逃したら、もう動けなくなると。
食は飽きることがありません。食べることは365日一生続くことですし、これが楽しければ人生楽しいですよね。

Q. 食関連の会社への転職や、食に関する資格を取ることは考えなかったのですか?
A. 考えませんでした。皆と同じことをやってもしょうがないので。

Q. イタリア語はどの程度勉強されていたのですか?
A. イタリアを旅行するのにハマっていたので、日本で3年程、語学学校に通っていました。イタリアに渡ってからも、学校が始まるまでの約半年間。
大学は世界中から学生を募集していましたから、授業はイタリア語と英語が半々と聞いていたんです。なのに、蓋を開けてみたら99%イタリア語。授業についていくのは大変でした。

食を見る視点





柴田さんは、1年で修了する大学院コースを選択します。純粋に食のことだけを深く深く考える1年。「すごく貴重な時間でした。そんな時間、普通はなかなかとれませんから」。
同時にそれは、食を仕事にしていく上での考え方の基本を培う1年でもありました。

【考え方1:優劣ではなく、違いに目を向ける】
「食科学大学」は、イタリアのスローフード協会が設立したものですが、スローフードを教える場ではありません。
実地研修では、手作りの極致というような家族経営の工房だけでなく、大手メーカーの大規模工場にも見学に行きました。そこで気づいたのは、どちらかが絶対的に優れているとは言い切れないということです。それぞれにメリットもデメリットもある。

またテイスティングは、優劣を決めることが目的ではなく、違いを感じ取ることに意味があるのだと学びます。
どう違うのか、なぜ違うのか。
理由がわかれば、その違いを許容できるようになる。

【考え方2:その料理(食材)がその土地にあるのには意味がある】
柴田さんが最も興味を持ったのが、文化人類学の授業でした。
宗教的な禁忌の背景や、それぞれの民族がどんな理由から食を選択してきたのか。主食と食習慣との関連性。食材と気候風土との結びつき……。

馴染みのある食材でも、そのルーツや背景を探っていくと、文化や歴史、土地の環境まで読み解くことができるのです。
それは、今まで知らなかった食の味わい方、楽しみ方でした。

「ここで学んだことを、日本で実践することはできないだろうか」。
卒論のテーマに選んだのは、『日本の味覚教育の発展に向けて』。柴田さんの中に帰国後の構想が膨らんでいきました。




柴田香織(しばた・かおり)
大学卒業後、広告代理店に就職。2005年、イタリアスローフード協会が設立した「食科学大学」に第一期生として入学し、大学院で1年間学ぶ。帰国後、フリーランスとして料理誌等での執筆、地方自治体の食の地域振興などに携わるほか、ワークショップの開催を通して“文化としての食”を伝える。2011年、(株)伊勢丹研究所に勤務。食品フロアのディレクションを担当。2014年4月〜フリーランスの活動を再開。





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