PEOPLE / シェフ名鑑（アーカイブ）

「家食から外食までを担う」

オルトレヴィーノ　古澤一記 Kazuki Furusawa

2015.05.25

店名
オルトレヴィーノ／OLTREVINO
2010.3.19 open オルトレヴィーノのページを見る
1973年1月6日生 / 神奈川県出身 / O型パティシエを経て、イタリア料理の道へ。国内の何軒かのイタリアンで料理、サービス両方の経験を積み（計7年）、2000年、妻・千恵さんと渡伊。トスカーナ、サルデーニャ、エミリア＝ロマーニャ、プーリアで料理人として7年修業し、うち2年はシェフを務める。フィレンツェ「エノテカ・ピンキオーリ」でソムリエを務め（1年）、その後ワイナリーで栽培・醸造を行う（2年間）、10年帰国、鎌倉に「オルトレヴィーノ」オープン。

FAVORITE
音楽 : ミスターチルドレン、ザ・ブルーハーツ
本 : 料理や経営、経済の実用書、北方謙三
映画 : 『踊れトスカーナ！』

MY LEGEND
アルベルト・ベッティーニ
「ダ・アメリーゴ（伊・エミリア・ロマーニャ州）」オーナー。同店創業の1934年から3代続くトラットリア。ミシュランの一ツ星、イタリア版グルメガイド誌『ガンベロロッソ』にて三ツ星を獲得している。

ジョルジョ・ピンキオーリ
「エノテカ・ピンキオーリ（伊・トスカーナ）」オーナー。1973年に同店を創業。81年、ミシュラン一ツ星、82年二ツ星、93年三ツ星を獲得。日本にも店を持ち、92年「エノテカピンキオーリ」東京店（現閉店）、「カンティネッタエノテカピンキオーリ」（現閉店）、2007年「エノテカピンキオーリ」名古屋店をオープン。

『料理通信』2012年5月号取材時点

ソプラッサータ
テイクアウト900円（100g）／イートイン1200円
豚の首から上を丸ごと茹でてざく切りにし、オレンジの皮とともに固めた、トスカーナの伝統的な加工肉。ゼラチン質で自然に固まり、コリコリした食感がアクセントに。包丁でやや厚めに切って、パンやワインと。

チポッラ・リピエーナ
テイクアウト900円（2個）
イートイン1200円（2個）
チョウジと蒸したタマネギをくり抜いて器に。抜いたタマネギを刻み、卵、パン粉、ペコリーノ・トスカーノ、ナツメグを合わせてこんもり詰め、オーブンで15分。フィレンツェの老舗リストランテで、シェフが担当していた一品。

必要とされるためのキーワード
リストランテ・クオリティをお持ち帰りに。

古澤一記シェフと妻の千恵さんが、10年のイタリア暮らしで見てきたのは?豊かな生活〞だ。時間をかけ、丁寧に作った料理とワインのある日常。しかしそれは、外食では伝えきれない。
「外食は、月数回の数時間でしかありません。外食と同等の楽しみを日常にまで根づかせたいと思った時、日本にその形がなかった」と古澤シェフ。
　だから夫妻はイタリアの?エノガストロノミア〞を、日本の鎌倉に作った。奥にリストランテがあり、店頭では料理のテイクアウトもできる。夫妻が選んだ瓶詰めや乾物、生ハムにチーズなどのイタリア食材やワインも買える店。それが一つの空間に収まった、これまでになかった新しい形だ。
　しかし新しいからこそ、お客は戸惑う。どう楽しんだらいいか？　と半信半疑のお客をさり気なく導くのが、接客。
「こう楽しむんですよと教えるのでなく、お客さんに半分まで近づいて、まず、僕らがその空気を察します」
　ワインがわからない、エスプレッソ一杯でもいいのか、ゆったり食事を楽しみたい。そんなお客の希望も迷いも察し、声のトーン、歩き方、立ち位置といった体の動きを微細に変えて導いていく。ここに、料理と同等にワインやサービスも修業した古澤シェフの経験が生きる。
「空気と時間を操り、心理を操り、心地よく収めるべき所に収める。リストランテだけの場合より、実は難しい」
　日常にこの新しい形を、つまりイタリア的豊かな暮らしを根づかせる鍵は、この接客術が握っていた。

text by Naoko Ikawa / photographs by Masahiro Goda

オルトレヴィーノ　神奈川県/長谷 イタリアンオルトレヴィーノのページを見る

住所	神奈川県鎌倉市長谷2-5-40
電話番号	0467-33-4872
営業時間	12:00〜19:00
定休日	水曜休
カード	一部可
座席	イートイン14席
タバコ	禁煙
アクセス	江ノ島電鉄長谷駅、由比ケ浜駅より徒歩4分
URL	http://oltrevino.exblog.jp
備考	レバーパテテイクアウト400円、イートイン650円（パン付き）　トマトソースのパスタ「アリオーネ」テイクアウト600円、イートイン800円　(税込・サ別) 【WINE】グラス白赤各3種800円～、ボトル2300円～