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国連によれば「世界で排出される温室効果ガスの4分の1は、食糧生産に起因する」と報告されている*。スウェーデンでも食糧危機や飽食を見直す動きが顕著だ。規格外や余剰産物をリサイクルしたり、これまで見向きもしなかった海藻類を食料にする工夫も始まっている。
中でも注目を集めているのが、スウェーデン南部スコーネ地方で「ゴーズフィスク」が取り組む陸上養殖だ。田舎の耕作放棄地に巨大な建物を建設して水槽を設置し、ナマズ系のクラリアスやレッドスナッパー系の魚を養殖する。大量漁猟による天然資源の激減や生態系の破壊に危機感をもったこと、さらに昆虫や代替肉を食べるよりは魚を食べたいという創立者の思いがきっかけだ。
水槽の水はバイオフィルターで新鮮に保たれ、混泳に耐えられる魚種を選んでいるため共食いなどもない。参加したい農家には、予算計画から販売に至るまで全てのノウハウを伝授するという。目標は、餌作りから飼育、販売までを自分たちで手掛ける地域循環型産業にすることだ。
(『料理通信』2020年3月号/「ワールドトピックス」より)
◎ Gårdsfisk
*2019年8月「気候変動に関する政府間パネル(ICPP)」の報告書より
https://www.gardsfisk.se
text by Jin Sakiko
JOURNAL / 世界の食トレンド
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