甘味を引き出す 茹で加減を極める!「ジャガイモの冷菜」
プラントベースの始め方08
2022.03.14
photographs by Hide Urabe
連載:プラントベースの始め方
健康や環境への配慮から、植物性の食材を主体とする“プラントベース”な食事法が注目されています。肉や魚や乳製品に頼らずとも「おいしい」料理を作る知恵は、世界各地に存在します。身近なレシピからおいしくプラントベースを始めるヒントを紹介します。
教えてくれた人
東京・神楽坂「智林(ちりん)」榛澤(はんざわ)知弥シェフ
茹で上げを氷水で締めて、シャキシャキに!
この「涼拌土豆(リャンバントゥードウシー)」は、中国では比較的ポピュラーな前菜です。シャキシャキとした独特の食感とほの甘さは、ジャガイモでないと出せないもの。そのよさを活かすには茹で加減と調味のバランスが肝要です。
茹でが足りないとボソボソと味がなく、茹で過ぎるともろもろに。ベストな茹で加減はピンポイントでやってきます。それを逃さぬよう、均一な太さに刻み、たっぷりの湯で泳がすように茹で、火通りのムラをなくすこと。ジャガイモに甘味が出始める頃がよい茹で加減なので、味見するとわかりやすいと思います。ベストな茹で上げを逃さぬよう、氷水を予め用意しておき、すぐに締めましょう。
店では上品に仕上げたいので、花椒と葱を煮出した香味油を主役に、紹興酒と淡口醤油で繊細にまとめます。ゴマ油でパンチを効かせるなら、負けないよう酢を加えてもいいと思います。
<植物性食材だけでおいしくなるコツ>
1 ジャガイモは、ねっとりと煮崩れしにくいメークインを選ぶ。
2 茹で加減はジャガイモの甘味が出てから。味見で判断する。
「ジャガイモの冷菜」の作り方
[材 料](作りやすい量)
ジャガイモ・・・100g
塩・・・2g
紹興酒・・・大さじ1
醤油・・・大さじ1
葱油※・・・大さじ1
※大豆白絞油1Lに長ネギの青い部分2~3本、ショウガ2~3片、花椒ひとつまみを入れ、ショウガがカリカリと茶色く色付くまで中温で煮出し、漉す。
[材料のポイント]
ジャガイモは、ねっとりと煮崩れしにくい大きめのメークインが向く。店では細長く刻める2Lサイズを使用。
[1]スライサー&包丁で極細切りに
ジャガイモは皮を剥き、スライサーで縦にスライスする。何枚か重ねて包丁で1~2㎜幅の極細切りに。
[2]水にさらす
大きいボウルにたっぷりの水を張り、1を入れて晒し、ぬめりを落としてザルに上げる。
POINT:表面のでんぷん質を落とし、張りを出す。
[3]一気にさっと茹でる
鍋にたっぷりの湯を沸かし、2を一気に投入し、箸で泳がせ、ほぐしながら茹でる。2分程茹で、透き通ってきたらザルに上げる。
[4]氷水で締める
ザル上げしたら氷水で一気に冷やし、締める。
POINT:短時間勝負なので、氷水を張ったボウルは事前に用意しておく。
[5]しっかり絞る
熱が取れたらザルに上げ、ひとすくいずつ手で絞る。
POINT:水気が残っていると味がボケる。ジャガイモが折れないように注意して絞る。
[6]完成
ボウルに5を移し、塩、紹興酒、醤油、葱油の順に和える。手で揉み込むように和えると混ざりやすい。
◎中国菜 智林
東京都新宿区白銀町12-5 白銀ビル1F
☎03-3268-3377
17:00 ~ 22:00LO
月曜、他月2回不定休
各線飯田橋駅より徒歩4分
※新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため要請に合わせて営業時間が変わることがあります。
(雑誌『料理通信』2019年9月号掲載)
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