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FEATURE / MOVEMENT

フィンランドに学ぶスモールフードビジネスの始め方(全4回) vol.2 もと食肉処理場をフードビジネスのメッカに 

1970.01.01




誰もがクリエイティブで革新的なアイデアをもっている。そんな前提にたったヘルシンキ市の町づくりを象徴するプロジェクトが、もと食肉処理場だった建物をレンタルスペースとして再利用した「テウラスタモ」だ。

「テウラスタモ」があるカッリオ地区は、かつては労働者が暮らす港町だったが、住宅地として再開発され、1990年代後半から若いファミリーやクリエイターたちが移り住むように。「テウラスタモ」は92年、ヘルシンキ市がインターネットを通して地域を活性化するビジネスを募集。

レストラン、アイスクリームショップ、ウイスキー蒸溜所、パスタ工房、ラジオ局など現在10企業に家賃を抑えてスペースを貸し出している。




「ヘルシンキ市では、いい食文化を広げることで街に貢献するという活動を広げているの。小さなフードビジネスの起業家たちが自分らしい形でビジネスを展開していくのをサポートする。と同時に、建物の中庭は住民に解放して、夏はBBQをしたり、冬は水をまいてスケートリンクにしたり。プランターには食べられるものを自由に植えて、自由に収穫できるのよ」と広報のミッラ・ヴィスタ。

どんな企業が入っているか覗いてみると……。




Helsinki Distilling Company
もと食肉処理場のセントラルヒーティング室だったスペースを改装して、昨年夏ウイスキー蒸溜所をつくったのは、アイルランド出身の彼。フィンランド産ライ麦75%、大麦25%で仕込むライ・ウイスキーの他、野生のリンゴンベリーなどフィンランドならではの植物を漬けたジンが、クラフト・スピリッツ・フェスティバル「Destille Berlin 2015」で銅賞を受賞。早くもヘルシンキ空港の免税店に並ぶブランドに。





B smoker & B bar
映画プロデューサーのマーク、脚本家のベサが開いたBBQレストラン&バー。ずっと映画畑で働いてきた2人がレストランを始めようと思ったきっかけは、先の「レストラン・デイ」だとか。「料理は初心者だったけど、グリルをしたら600人もお客さんが来てくれたんだ。この店では10時間燻製にかけるBBQがメニューの柱だよ」。さすが映画製作に携わる2人、もとサウナルームを改装したバーなど、内装の格好良さもピカ一。


Jadelino
イタリアのジェラート職人から教わった伝統的な製法で、毎日作り立てのジェラートを提供するヴァレリオ夫妻。ミルクやベリーなどはフィンランド産、ナッツはシチリア&ピエモンテからと最高の素材を集め、小さなバッチで仕込む新鮮なジェラートとスペシャリティコーヒーで、テウラスタモの超人気店に。「なぜこの場所を選んだか? いろいろな人が集まるし、もと食肉処理場という歴史にも魅力を感じたんだ」






ヘルシンキ旅行の際はぜひ訪れたいスポット。
詳細はこちらをチェック!
http://www.teurastamo.com/en/





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