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FEATURE / MOVEMENT

2023年9月19日(火)より茨城フェア開始!

食材に生命を吹き込む、10の発想とアプローチ

2023.09.19

【PROMOTION】
text by Miyo Yoshinaga / photographs by Ayumi Okubo, AKANE

2023年7月、小麦、レンコン、有機野菜、豚肉、伊勢エビと、茨城県が誇る生産者を訪ねた料理人・バイヤーなどの食のプロたち。産地を肌で感じた想いや気づきを持ち帰り、それぞれの表現に落とし込んでもらいました。
フレンチ、イタリアン、中国料理、ベーカリー、ホテルのダイニングまで、幅広い方々の表現のかたち、9月19日(火)よりお披露目予定のメニューを一挙紹介します。

視察の様子・食材の詳細は「真夏の茨城食材を巡る。10軒のシェフと目利きに、いま、産地が教えてくれること。

■目次
東京・船堀「チェスト船堀」西野文也
東京・銀座「トワヴィサージュ」國長亮平
茨城・つくば「ノンナ・ニェッタ」川村憲二
東京・九品仏「イゴラ」坂井務 
東京・日本橋 マンダリン オリエンタル 東京「ヴェンタリオ」ヴィンセント・ワン 吉住太志
神奈川・みなとみらい「リストランテ エボルタ ウニコポーロ 」高見博史 
茨城・水戸「柏ノ木」柏寛士
東京・六本木「福島屋」安永智哉 小川和彦
東京・国領「ドンブラボー」平雅一
神奈川・川崎「スラッシュ カフェアンドバー川崎」西原和彦 和田裕希


<発想とアプローチ>
クリアな風味の小麦は、あえて水分多めで洗練させる:「チェスト船堀」

1つのパンを単一品種の小麦で焼く、東京・船堀のベーカリー&ワインショップ「チェスト船堀」西野文也さん。オープン以来、北から南まで、個性派ぞろいの国産小麦を使いこなしてきた。茨城県産小麦「ゆめかおり」は6年前にも使ったことがあるという。「以前よりタンパク質値が上がりパワーがあります。食パン、練り込み系もうまくいくので、家庭でも使いやすいのでは」と、さらなる製パン性の向上を実感した様子。

「『ゆめかおり』は甘味とクリアな風味がありつつ、平均点が高い優等生。かといって素朴な感じではなく、現代っぽいシティ感がある。シャルドネみたいにニュートラルで、使い手の意図を受け止めてくれます」と西野さん。「水も入りやすいので、今回は95%と水分量多めのチャバタにしました。クリア感が強調され、内層のぷるぷる感と焼けた皮の甘味のコントラストも生まれます」

焼けた皮の甘さに加えて、サクッと抜けるような軽い歯切れがある。

このチャバタに、笠間市の有機農家「カモスフィールド」の小松菜のサルサヴェルデと、茨城の銘柄豚「常陸の輝き」のポルケッタを挟む。「小松菜の濃い味と、オリーブ油のような青いピリッとした辛味を活かして、葉の部分でサルサヴェルデにしました。わずかに感じるナッティな風味に合わせてクルミも散らしています」

「常陸の輝き」は「旨味がクリアで、『ゆめかおり』共通することろがある」と、普段ポルケッタにはニンニクも巻き込むが、「ニンニクの風味でその輝きが曇る」とあえてニンニクオイルとハーブのみで仕上げた。

ハーブが香る品のある旨味のポルケッタとサルサヴェルデのきりっとした清涼感を、パンの小麦の香りとほのかな酸味がまとめる。まさにワインを呼ぶ味。

オレガノやセージ、ローズマリー、フェンネルシードをニンニクオイルと巻き込んだ「常陸の輝き」のポルケッタ。58℃でじっくり火を入れてから焼き上げ、脂も赤身もしっとりと一体感がある。

「サンドイッチ 常陸の輝きのポルケッタ 小松菜のサルサヴェルデ」。合わせるのは「フジマル醸造所」の「Farmer’s MUSCAT BAILEY A 武藤観光農園 2020」。茨城県産マスカットベーリーAのイチゴのような香りと軽やかさが、軽快なハーモニーを奏でる。

西野文也シェフ。パン職人&ソムリエ。「パーラー江古田」でパン作りを、「フジマル醸造所」でイタリア料理やワイン醸造を学ぶ。「さかなパン店」としての間借り営業を経て、2019年パン屋&ワインショップ「チェスト船堀」をオープン。


◎チェスト船堀
東京都江戸川区北葛西1-22-19 
☎090-6192-0819 
12:00~19:00
火曜、水曜休
instagram:@チェスト船堀

◎茨城フェア
2023年9月19日(火)~10月3日(火)の期間中、「サンドイッチ 常陸の輝きのポルケッタ 小松菜のサルサヴェルデ」(¥1,000)を販売・提供。


<発想とアプローチ>
現地で見つけた、味の濃い小松菜の“外葉”とハーブを活用:「トワヴィサージュ」

東京・東銀座のフランス料理店「トワヴィサージュ」の國長亮平シェフが食材を手にする時、思いを馳せるのは作り手の哲学。「現地でしか知り得ないことから料理の発想が湧くし、生産者の想いや現場を知ったからこそ使いたくなる食材もあります」

笠間市の有機農家「カモスフィールド」でも印象的な場面に出会った。「小松菜の味の濃さにも感激したんですが、出荷時に大量の外葉が剥がされていて・・・」。外葉は流通過程で変色の可能性があるので土に返すという。「使ってみると、日光を浴びた外葉の方が味が濃かったんです」

ほろ苦い小松菜の外葉はピュレにして、アサリのだしを加えてまろやかなフランに仕立てた。フランの上にはホタテの貝柱をのせて、仄かな苦味と酸味のあるプルピエを散らす。プルピエは小松菜のハウスに雑草として自生していたものだ。仕上げはホタテとアサリのだしにバターを加えた淡雪のような泡のソースをたっぷりかけて。小松菜のフランは視察後早々に、コースの1品として提供された。

「小松菜の外葉は3~4日おいても色の変化は全くありません」。同じ皿に使ったプルピエ(スベリヒユ・写真奥)。多肉植物のような食感でほんのり酸味がある。

泡のソースを加える前。「プルピエはヨーロッパではサラダなどによく使う。状態もいいのでシンプルにオリーブ油と塩だけで和えました」。アーモンドとヘーゼルナッツを合わせたのは、この小松菜のナッティな風味からの発想。

「帆立貝のポワレ 小松菜のフランと貝のエキューム」。ホタテとアサリのだしにバターを加えた泡のソースにもヘーゼルナッツオイルを香らせた。

自家製酵母でパンを焼く國長シェフ。いつもの小麦を茨城県産の「ゆめかおり」に変えたところ、酵母の風味よりも小麦の香りが際立ったという。そこで9月のフェアでは「ゆめかおり」と、ちょうど旬を迎える国産の新イクラと合わせた一皿を考案。ロシアでのイクラの食べ方をヒントに、「ゆめかおり」で薄焼きパンケーキ「ブリヌイ」を作り、シェーブル・フレとリンゴ、フェンネルを包んでたっぷりと新イクラをかけた。仕上げはリンゴや蜂蜜レモンのドレッシングで甘酸っぱい風味を加えて。

旬のイクラとシェーブルのフレッシュな旨味を、「ゆめかおり」の香り高い生地が優しくまとめる。さわやかな秋の始まりを告げる一皿だ。

「新イクラと茨城県産ゆめかおりのブリヌイ」。生筋子をウォッカと塩のみで調味する新イクラのフレッシュ感との相性を考え、「ゆめかおり」は精製度の高いものをセレクト。

國長亮平シェフ。東京・神楽坂「ル・マンジュ・トゥー」で9年修業後、渡仏。ミシュラン一ツ星「レストラン パージュ」など研修を経て、2022年「トワヴィサージュ」シェフ就任。千葉・鴨川にレストランの畑を借りてスタッフとともにハーブや野菜も育てる。


<発想とアプローチ>
伊勢エビの繊細な甘味を、野菜の甘味で引き立てる:「ノンナ・ニェッタ」

大学卒業後に働いたイタリア料理店で料理人を志し、イタリアへ渡った川村憲二シェフ。プーリア州、エミリア=ロマーニャ州などを巡りながら6年間の修業を終え、出身地である茨城県つくば市に自店を構えた。店名は「ニェッタおばあちゃん」という意味。ピエモンテ出身の奥様の祖母が作り出す家庭的な味と雰囲気を目指す。休日は地元の食材探しへ奔走し、「茨城はイタリアでいう、ひとつの州。州ごとに料理があるように、この地ならではの料理を育てていきたい」と語る。

視察前から関心を寄せていたのは、伊勢エビ。数年前から県内の水揚げ高が増え、今年からは「常陸乃国いせ海老」としてブランド化が進んでいる。今回は伊勢エビを主役にしたリゾットを考案した。まずエビの頭に焼き色を付けてからブロードをとる。茨城県産コシヒカリ「常陸小田米」を炒めたら、ブロードでやや硬めに炊く。

リゾットに郷土色を加えるのが、収穫直前まで呼吸をさせて味と鮮度を維持した「マルタマ真レンコン」だ。土浦出身の川村シェフ、幼い頃からレンコンは食べ親しんできたが、「煮込み料理が多かったからでしょうか。視察先で、レンコン自体の味を初めて知りました」。

節の硬いところまで丸ごと使い切れるように、炒めてから蒸してなめらかなぺ―スト状に。軽く炒めたものはリゾットに加え、香ばしく炒めたものをリゾットに敷き、レンコンのもつ自然な甘味ととろみを絡める。シェフは魚介料理にはチーズを使わない。「魚介のもつ繊細な旨味を消してしまうので、とろみがほしい時はすりおろした野菜を合わせます」

仕上げはレアに火入れした伊勢エビの身と、ほろ苦い小松菜をトッピング。ぷりっとした弾力のエビの甘味とエビの旨味を吸ったリゾットをやさしい甘さのレンコンがつなぐ。素朴で円みのある味が、後を引く。

「磯崎港の伊勢海老のリゾット、レンコンのヴェッルタータと小松菜」。レンコンの穂先の柔らかい部分は角切りにしてさっとソテー。

茨城県産小麦「ゆめかおり」と自家製発酵種で作るバゲットも。

川村憲二シェフ。大学卒業後、イタリア料理店で勤務し、渡伊。プーリア州「アンジェロ・サバテッリ」など、星付きのリストランテで6年間修業。帰国後は熟成肉専門店「中勢以」などを経て、2021年茨城・つくばで独立。モッツァレッラやブッラータなどのチーズ、生ハムやパンチエッタなどシャルキュトリーも自家製する。


◎Nonna Nietta ノンナ・ニェッタ
茨城県つくば市並木3-26-28
☎029-819-2049
12:00〜(金曜、土曜、日曜のみ)18:00〜、20:00〜
月曜、火曜休  ※完全予約制
Facebook:@Nonna Nietta

◎茨城フェア
2023年9月19日(火)~10月3日(火)の期間中、「磯崎港の伊勢海老のリゾット、レンコンのヴェッルタータと小松菜」を夜のコース(¥18,000・税込)の一品として。(要予約・2名様から)


<発想とアプローチ>
タンパク値の高い国産小麦で、プリッと弾むトロフィエに:「イゴラ」

東京・九品仏のイタリアン「イゴラ」坂井務シェフが手打ちするトロフィエは開店当初からのスペシャリテだ。「トロフィエで大事にするのは、プリッとした弾力です」。熱湯で練り小麦デンプンを糊化させて弾力を引き出し、成形を終えたら一度冷凍する。「冷凍することでゆっくり水分が抜けてコシが出ます」。

視察後は、通常は中力粉を使うトロフィエを、茨城県産の強力粉「ゆめかおり」であえて全く同じレシピで作ってみたという。「タンパク質が多いので、もちもちプリプリとした弾力がより強くなりました。しっかり咀嚼することで、粉の持つきれいな小麦の香りも感じてもらえる」とメニュー化が決まった。

合わせる具材は、旬の魚介と野菜だ。「『ゆめかおり』のトロフィエに甘味があるので、しっかりした味の旬のヒイカとエッジの立ったゴーヤの苦味で引き締めつつ、際立たせるイメージ」。仕上げにかけた自家製カラスミとヒイカの深い旨味に甘やかなトロフィエが絡み、ゴーヤのほろ苦さがアクセントをつける。

“食べ心地のいい料理”を信条とする坂井シェフ。素材の個性を重んじ、塩分や油分は必要最小限に抑えて「香りで素材が支配されてしまうから」とニンニクもほぼ使わない。素材への敬意が「ゆめかおり」のトロフィエにも表れている。

「ゆめかおりのトロフィエ ヒイカとゴーヤ 自家製カラスミ」

トロフィエは両手のひらですり合わせるように成形し、粉を打ったバットに入れて冷凍。加熱は長めにして、しっかり粉に火を入れる。

坂井務シェフ。福岡県出身。大学卒業後、社会人を経て料理の道へ。都内のイタリアンで経験を重ね、2019年に現店オープン。イタリアのワイナリーを巡り、フランス・ジュラでワイン造りを経験するなど、ナチュラルワインにも造詣が深い。


◎igora イゴラ
東京都世田谷区奥沢6-22-10
☎03-5760-6176
18:00~20:00LO(23:00閉店)
水曜、不定休
Facebook@:igora_okusawa

◎茨城フェア
2023年9月23 日(土)~10月7日(土)の期間中、「ゆめかおりのトロフィエ ヒイカとゴーヤ 自家製カラスミ」を夜のおまかせコース(¥10,000・税込)の一品として。


<発想とアプローチ>
メインの豚はシンプルに。付け合わせのユニークな五味で印象的に:マンダリン オリエンタル 東京「ヴェンタリオ」

東京・日本橋「マンダリン オリエンタル 東京」のレストラン「ヴェンタリオ」は、コロナ禍での約3年間の休業を経て、2023年5月、「サステナビリティ×ローカル」をテーマにしたインターナショナル料理のレストランに生まれ変わった。就任したのは、モーリシャス出身で、多彩な国々の食文化を経験してきたヴィンセント・ワン シェフと、「星野リゾート」でキャリアを積んだ吉住太志スーシェフだ。

視察先では石岡市「武熊牧場」の「常陸の輝き」との出会いが印象的だったというヴィンセントシェフ。「現場で焼いた時の豚肉の甘い香りに驚きました。味わいもクリアで獣臭さがない。武熊俊明さんの豚への情熱、地域への貢献や資源循環への取り組みにも心打たれました」

「ソースで覆うのではなく、素材の味で『常陸の輝き』を引き立てたい」と、ロース肉をシークヮーサー果汁やレモングラスなどを加えたソミュール液に漬け込み、58℃で1時間の火入れの後、表面をグリル。脂身は分けて小さくカットし、焼き切って香りを立たせた。

付け合わせは、柚子胡椒入り万願寺唐辛子のペーストで爽やかな辛味とほろ苦さを、塩レモンで塩味を、添えたシークワーサー果実で酸味を加える。「マルタマ真レンコン」は蓮根餅にして甘味を引き立て、常陸の輝きの腕肉と端肉でとったコンソメを注ぎ、別皿で提供する。すべてのパーツが「常陸の輝き」の味わいを際立たせる、五味を満たした構成だ。

「茨城県武熊牧場“常陸の輝き”ポークロインのグリルと万願寺唐辛子 “マルタマ真レンコン”の蓮根餅 ポークコンソメ」。豚肉の甘味が万願寺唐辛子の辛味で際立つ。

「『常陸の輝き』のコンソメは、コショウなどで味をしめなくても、レンコンの甘味と合わせてちょうどよいバランスになります」と吉住スーシェフ。視察後からは、レンコンは水に浸けて保存し、鮮度をキープしているそう。

料理に合わせて「ヴェンタリオ」マネージャー鈴木達央さんが考案した「奥飛騨ウォッカ」と、レモンの果汁や皮やワタなど丸ごと使った「自家製あらごしレモンサワー」。¥1,650(税込み・サービス料別)

(右)ヴィンセント・ワン シェフ。モーリシャスで生まれ育ち、南アフリカ共和国で料理人に。インドネシアやモロッコ、日本など多彩な食文化のもと腕を磨き、2023年5月から現職。(左)吉住太志スーシェフ。国内の日系や外資系ホテルで経験を積み、現職。


◎ ヴェンタリオ
東京都中央区日本橋室町2-1-1
☎03-3270-8188
11:30~14:00LO(土曜、日曜、祝日11:30~13:00 /  13:30~15:00※90分制)
18:00~21:00LO
月曜、火曜休
https://www.mandarinoriental.com/ja/tokyo/nihonbashi/dine/ventaglio

◎茨城フェア
2023年9月19日(火)~10月3日(火)の期間中、「茨城県武熊牧場“常陸の輝き” ポークロインのグリルと万願寺唐辛子  “マルタマ真レンコン”の蓮根餅 ポークコンソメ」をディナーのプリフィックスコース(平日¥7,920、土曜、日曜¥8,580)のメインの1つとして、またアラカルト(¥2,640)としても提供。(すべて税込・サービス料別)


<発想とアプローチ>
レンコンをポレンタに見立てる:「リストランテ エボルタ ウニコポーロ」

日本らしい“粋”をコンセプトに掲げる、三井ガーデンホテルみなとみらい「リストランテ エボルタ ウニコポーロ」。2023年5月からシェフを務める高見博史シェフは、和の食材を積極的に取り入れつつ、「食材が産地でどう親しまれているのか、暮らしのどの位置づけなのか」を手掛かりに洗練されたリストランテの一皿に仕立てる。

今回着想を得たのは茨城の「こんこん汁」だ。「産地では味噌汁にレンコンのすりおろしを加えると聞いて、ポレンタをイメージしました」。シャクシャクした「マルタマ真レンコン」をすりおろして、鶏のブロードと合わせ、滑らかな付け合わせに。フルーティなレンコンの風味に合わせるべく、「常陸の輝き」の肩ロースは揚げずに軽くソテーした後、180°のオーブンで3分、ジューシーなロゼに火入れ。サクサク衣の代わりに、茨城県産の「ゆめかおり」のバゲットを粗く砕いて乾燥させ、そぼろ状にして豚肉にまとわせた。

仕上げはレンコンの葉をイメージしたナスタチウムの葉と、ピンクと白のペンタスを散らし、美しい蓮畑を表現。常陸の輝きの脂を熱して回しかけ、「BBQで印象的だった」という「常陸の輝き」の甘い脂の香りで華やぎを加えた。

あられのような食感と香ばしい小麦の香りが、咀嚼のたびに立ち昇り、ジューシーでさわやかな豚の甘味とレンコンの甘さと溶け合う。

「常陸の輝きソテー ゆめかおりのパン粉 マルタマ真レンコンのポレンタ」。角切りのレンコンは塩茹でした後、マンゴーヴィネガーでマリネして酸味を添えて。

高見博史シェフ。名古屋の調理師学校を卒業後、地元のイタリアンで働いた後、23歳で六本木「サドレル」(現閉店)に3年、27歳で渡伊。帰国後「グラナダ」や「エノテカ キオラ」、「サローネグループ」などを経て現職に至る。


◎RISTORANTE E’VOLTA UnicoPolo リストランテ エボルタ ウニコポーロ
神奈川県横浜市西区みなとみらい3-3-3 
三井ガーデンホテル横浜みなとみらいプレミア 20F
☎045-306-6731
7:00~10:30(最終入店10:00)、12:00~15:00(最終入店14:00)
14:30~16:30(最終入店16:00)、17:30~22:00
テイクアウト11:00〜15:00(土曜を除く)
https://www.evolta.tokyo/location-yokohama_minatomirai.html

◎茨城フェア
2023年9月16日(土)~11月15日(水)の期間中、「常陸の輝きソテー ゆめかおりのパン粉 マルタマ真レンコンのポレンタ」を夜のコース(¥7,700・税込・サービス料別)の一品として。


<発想とアプローチ>
得意の焼き物と薬膳スープで骨付き豚肉を昇華:「柏ノ木」

都心から好アクセスの常磐道水戸北インター付近、広がる畑の中にポツンと佇む一軒が、中国料理店「柏ノ木」だ。「この辺一帯、全部祖父の畑だったんですよ。今育てているのは米、ジャガイモ、カボチャ、ナス、ささげ豆・・・」と柏寛士シェフ。採れたての野菜が食卓のデフォルト。忙しい共働きの家庭のため、時には野菜がそのまま食卓に並ぶこともあったという。「こりゃ自分で料理するしかない」と柏少年は自然に料理を覚えた。

精通する地元食材。「常陸の輝き」も焼売、叉焼と使いこなしてきたが、今回はまだ使ったことがない「常陸の輝き」のスペアリブの叉焼に挑戦。5.5キロの塊から脂身のカブリを除き、大豆味噌にゴマ、ニンニクなどが合わさった海鮮醤や、オイスターソース、八丁味噌に五香粉などを合わせたタレに漬け込む。焼成は屋外に設置した特製焼き窯(通称ロケット)だ。程よく脂が落ち、素材自身の脂でジューシーに焼きあがる。ハマナスの蒸溜酒とハチミツを刷毛で塗り、香りをのせながら、30~40分かけて炭で焼き上げる。

「常陸の輝きスペアリブ 窯焼き叉焼 黒胡椒風味」。器は笠間で作陶する杉山悠氏作。

もう1品は、蒸しスープ。年に3度は訪れ、入手しづらい乾物や漢方を仕入れる大の香港好きの柏シェフ。季節に応じて客の体を癒す漢方を取り入れた香港流のスープは「柏ノ木」のランチの定番だ。「常陸の輝き」のスペアリブの軟骨と皮付きマルタマ真レンコン、ニンジンに、20年ものの陳皮、ピーナッツ、ハチミツ漬けのナツメ、ショウガを合わせて火にかけ、煮立ったら一度だけアクを除き、弱火で2時間煮る。決して煮立たせずに澄んだ味に仕上げる。全身に染み渡る、滋味深い味だ。

「マルタマ真レンコンと常陸の輝きスペアリブの香港家庭湯」。器は小山義則氏作。

武蔵野専門学校を卒業後、「横浜ロイヤルパークホテル」に7年半務めた後、「ホテル テラス ザ ガーデン水戸」などを経て2016年独立。大の器好きで、地元笠間焼のコレクションも多数。2024年春頃から、カウンターのみの店舗に移転・リニューアルを予定。


◎柏ノ木
茨城県水戸市飯富町5328-1
029-297-5360
11:00〜14:00LO、17:30〜22:00LO
月曜休
http://kashiwanoki.com/

◎茨城フェア
2023年9月19日(火)~10月3日(火)の期間中、「マルタマ真レンコンと常陸の輝きスペアリブの香港家庭湯」はランチセット(¥2950・税込)の1品として、「常陸の輝きスペアリブ 窯焼き叉焼 黒胡椒風味」を夜のコース(¥8800~・税込)の一品として。


<発想とアプローチ>
安心してスムージーに使える生野菜を:「福島屋」

東京都羽村市に本社を置き、都内にも展開するスーパーマーケット「福島屋」。“食のセレクトマーケット”として、会長の福島徹さんが産地に赴き選んだ商品や、生産者とともに開発したオリジナル品を揃える。「商品選びでは味と鮮度はもちろん、安全性も重視。野菜や果物は有機栽培、自然農法のものを可能な限り選びます」と視察に訪れた取締役で「福島屋 本店」店長・青果担当の安永智哉さん。

フェアでは「福島屋 六本木店」にて、「カモスフィールド」の小松菜が店頭に並ぶ。安永さんは「大橋さんの土づくりのお話に加えて、硝酸態窒素の数値の低さが印象的でした」と振り返る。「福島屋」では、硝酸態窒素の計測器を導入し、販売前に計測している。 
「EUと同レベルの2500ppmを基準値にしていますが、特に葉物は硝酸態窒素をため込みやすく、高い数値が出やすい。カモスフィールドの小松菜の数値の平均値を聞いて驚きました。エグみがなくて味も濃い」

福島屋六本木店店長の小川和彦さんも声をそろえる。「ホウレン草などの葉物は一般的に3000~4000ppmですから、やはり低いですね。六本木店はエキナカという場所柄オフィスワーカーが多く、売れ筋はお弁当やお惣菜のほか、小松菜やケール、ニンジンなどのスムージーに使う生野菜も継続的に人気なので、小松菜は売れ筋のひとつです」

現在は関東近郊を中心に約4割の農家と直取引をする。「徐々に増えているとはいえ、有機栽培の生産者はまだ少ないのが現状です。必ずしも有機JAS認証を取得していなくても、安全で持続可能な農法を行う生産者のものを扱いたい。そのためにも生産現場に足を運び、生産者と対話する、一つ一つの出会いを大切にしています」

商品説明のポップ付近には、硝酸態素量も記載。硝酸態窒素は、肥料の与えすぎや、天候不良による光合成不足によって、植物の栄養として消化しきれずに残留する。

店内では、商品のポイントや食べ方も案内する。

福島屋六本木店店長兼青果部セクションリーダー、小川和彦さん。入社23年。「六本木店はエキナカという好立地のため、悪天候でも客足は変わりません」


◎福島屋
東京都港区六本木1-4-5
アークヒルズ サウスタワー B1F
☎03-6441-3961
8:00~20:00、10:00~20:00(土曜、日曜、祝日のみ)
月曜休
http://www.fukushimaya.net/

◎茨城フェア
2023年9月19日(火)~10月3日(火)の期間中、「カモスフィールド」の小松菜を販売。



◎TROIS VISAGES トワヴィサージュ
東京都中央区銀座7-16-21 雲ビル 1F
☎03-3544-5205
12:00〜15:00(土曜のみ)、18:00〜22:00
テイクアウト11:00〜15:00(土曜を除く)
日曜、月曜、祝日休
https://troisvisages.jp/

◎茨城フェア
2023年9月19日(火)~10月3日(火)の期間中、「新イクラと茨城県産ゆめかおりのブリヌイ」を夜のコース(¥14,300・税込・サービス料別)の一品として。

<発想とアプローチ>
レンコンを薄く重ねて、食感のグラデーションをつくる:「ドンブラボー」

最近、全国の生産者を積極的に訪ねているという東京・国領のイタリアン「ドンブラボー」、「クレイジーピザ」を営む平雅一シェフ。「以前は要素を複雑に重ねるクリエイティブな料理が好きでしたが、今はシンプル&クラシックに意識が向いています。いい食材を選び、その味を引き上げる料理を目指したい」

今回フェアメニューとして考案したのはレンコンとサルシッチャのピザ。「マルタマ真レンコン」はシャキシャキの食感と香りを強調するため、スライスしてミルフィーユ状に重ねる。「薄くしてもしっかり残る歯応えを重ねることで、食感のグラデーションが生まれます。咀嚼回数が上がることで香りもよく感じてもらえる」。レイヤードレンコンは、茨城県の銘柄豚「常陸の輝き」のサルシッチャとともにピザの具にする。

「『常陸の輝き』は、きれいな脂と程良い旨味が特徴。あまり日を置かず、熟成をかけすぎない方がそれを活かせます」とあえて豚肉のフレッシュさを残した熟成具合に。バジリコやセミハードのモッツァレッラチーズとともにピザ窯で焼き上げ、仕上げは辛子マヨネーズをレンコンの上にトッピング。「うちの生地は食べ疲れないよう塩分が強すぎないので、ここまで味を重ねられるんですよ」

気になるピザ生地は「ニシノカオリ」に、茨城県牛久「安倍農園」で2週間ごとに挽いてもらう新鮮な全粒粉で風味を加える。「水分はヨーグルトのホエーと、タマネギと水をミキサーにかけて2日程おき、裏漉しした『タマネギ水』。一口目からインパクトを出すために、塩味ではなく旨味を強めています。タマネギ水は、イタリア料理のソフリットからの発想です」

重ねレンコンの軽快な咀嚼感、サルシッチャのコクとバジルの香り、辛子マヨネーズのピリッとした和の刺激が軽快な余韻を残す。シェフの遊び心が光るピザだ。

スライサーで薄切りにしたマルタマ真レンコンをレイヤーに。ところどころのせた辛子マヨネーズが効く。

生地中のタマネギがメイラード反応を起こして旨味が増す。この独自の生地を武器に「クレイジーピザ」は今秋、虎ノ門にも出店、EC展開も視野に。「ブランド力を高めてスタッフの労働環境をよくしたい」

「茨城産マルタマ真レンコンと常陸の輝きのサルシッチャのピザ」。強く香らせたいバジルはあえて具の一番下に忍ばせる。

平雅一シェフ。東京・広尾「アッカ」で勤務後、渡伊。帰国後、三宿「ボッコンディヴィーノ」でシェフに。2012年に「ドンブラボー」をオープン。2020年に姉妹店「クレイジーピザ」を開店し、神楽坂や虎ノ門(2023年秋オープン予定)にも展開。


◎Don Bravoドンブラボー
東京都調布市国領町3-6-43 
☎042-482-7378.
12:00~14:00LO 18:00~22:00LO 
水曜、木曜休
https://www.donbravo.net/

◎茨城フェア
2023年9月19日(火)~10月3日(火)の期間中、「茨城産マルタマ真レンコンと常陸の輝きのサルシッチャのピザ」をランチセット(¥1,595~・税込)の1品として提供。


<発想とアプローチ>
産地での感動を詰め込んで、会話のきっかけに:「スラッシュ カフェ アンド バー 川崎」

11のホテルを展開する「グローバルエージェンツ」の中でも神奈川・川崎の「slash 川崎(スラッシュ 川崎)」は、若者で賑わうデジタルツールを駆使した先進的なホテル。1Fの「slash cafe&bar 川崎」は、スペアリブを看板料理とするモダンなアメリカンダイナーだ。

視察に訪れた料飲部の西原和彦さんと和田裕希シェフが創作したのが、視察先ほぼすべての産地の品を盛り込んだ「名付けて『IRPサンド』(イバラキ・リスペクト・パニーニサンド)」。和田シェフは視察を機に、初めて自家製パンに挑戦。「ゆめかおり」に薄力粉と牛乳を加えて、ミルキーな甘さのソフトなフォカッチャを焼いた。

パティは「常陸の輝き」の粗挽き肉にタイムと塩コショウ、背脂を加えてジューシーに。シャキッとした歯ごたえのマルタマ真レンコンのソテーをのせて、「カモスフィールド」のピリッと辛い小松菜の茎と合わせたまろやかなマヨネーズソースを塗る。隠し味は、自家製の新ショウガのピクルスの薄切りだ。「炎天下のBBQでも箸が止まらなかった」と二人が感激した、「サンゴクファーム」のガレージで行われた豚肉のBBQの付け合わせの新ショウガとの相性をヒントにした。

やわらかなパン生地にジューシーな豚のパティ、レンコンの心地よい歯ざわり、マヨネーズソースに加わる小松菜の食感と香り。ぎゅっと詰め込んだ茨城が溢れ出すような力作サンド、堂々誕生だ。

「機械がないから手捏ねですが、すでにハマりそうです(笑)」と和田シェフ。

「IRPサンド」。「“IRPって何?”とお客さんとのコミュニケーションのきっかけにもなり、茨城についてご説明できるネーミングです」(西原さん)。見た目の豪快さとは裏腹に、後口は軽い。

(左)西原和彦統括マネージャー。都内イタリアンに勤務後、飲食ベンチャーを立ち上げ「三井ガーデンホテル銀座プレミア」でシェフに就任。2019年より現職。ホテル併設レストランの立ち上げに携わる。
(右)和田裕希シェフ。都内イタリアンに勤務後、ブライダル企業で料理人として経験を積む。2022年より現職。


◎slash cafe&bar 川崎
神奈川県川崎市川崎区砂子2-9-7
☎044-589-5878
7:00~10:30LO、11:30~14:00LO
17:30~22:00LO
不定休
https://www.livelyhotels.com/ja/slash/

◎茨城フェア
2023年9月19日(火)~10月3日(火)の期間中、「IRPサンド」(¥1,100)をランチ、またはディナーのアラカルトとして提供。



▼小麦「ゆめかおり」
◎ ソメノグリーンファーム
☎ 0297-44-3081

▼ マルタマ真レンコン
◎ JA新ひたち野 営農経済部 
☎ 0299-56-5802

▼豚「常陸の輝き」
◎サンゴクファーム
https://sangokufarm.com/

◎武熊牧場
☎0299-43-0147

▼有機野菜
◎ カモスフィールド
☎0296-73-5787

▼伊勢エビ、小アワビ
◎磯崎漁業協同組合
☎ 029-265-8111

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