America[New York]
アメリカ料理の見方が変わる黒人料理のレシピ本
2020.05.11
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『ジュビリー(祝典)』は、過去200年間アフリカ系アメリカ人の食のプロ達が記録してきた料理とその歴史的背景に光を当てた料理本。2019年秋に出版されるや、ニューヨーク・タイムズによるベスト料理本選に名を連ねた。
筆者は料理史研究家のトニ・ティプトン=マーティン氏。彼女が収集した米国黒人料理家によるレシピ集は400を数え、古くは19世紀初頭にまで遡る。新刊では前菜から主菜、パンやデザートまで、現代の材料とキッチン用にアレンジした調理法を100以上紹介。“黒人料理=米国南部の素朴なソウルフード”という狭義なステレオタイプを覆し、建国前から人々の胃袋を支え、多文化アメリカ料理の基礎を築いたのは高い技術を持った黒人調理人たちである、というメッセージをこの本に込めた。
いみじくもNYのMOFAD(Museum of Food and Drink)は、アフリカ系アメリカ人料理をフィーチャーした新展示場を今春オープン予定。黒人の視点に立ったアメリカ文化や歴史を学ぶ機会は、今後も増加傾向にある。
(『料理通信』2020年5月号/「ワールドトピックス」より)
◎ Jubilee - Recipes from Two Centuries of African American Cooking
Toni Tipton-Martin 著 Clarkson Potter 刊
35ドル
ISBN-9781524761738
text & photograph by Kuniko Yasutake
JOURNAL / 世界の食トレンド
JOURNAL / 世界の食トレンド