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JOURNAL / 世界の食トレンド

America [Oakland]

コロナ禍を味方に シリコンバレー出身者のアジア・フレンチベーカリー

Apr 21, 2022

text by Kuniko Yasutake / photograph by Ari Daoheuang

2021年秋、サンフランシスコ・ベイエリアにファン待望の実店舗をオープンした「ベイク・サム(Bake Sum)」は、様々なアジア・エスニック系フィリングを使ったヴィエノワズリー(ペストリー)が評判のフレンチスタイルのベーカリー。アジア系住民が全米一多いカリフォルニア州でも、質の高い製パン技術と多国籍アジア風味の足し算で成功している店は消費者の目に新しい。また、コロナ禍の逆境をチャンスに、ビジネスモデルを多角的に再構築した経営者の手腕も話題だ。


オーナー・ベイカーのジョイス・タン氏は、シリコンバレーのテック産業でキャリアを確立させた後に製菓・製パンを学び、2016年、卸売り専門の“仏中折衷”ベーカリー「ラ・シノワズリー(La Chinoiserie)」を一人で起業。2020年春のロックダウンで注文が皆無になると、おまかせボックスを週末限定でオンライン販売したり、デリバリーを始めるなどして小売業に転向した。

人気商品は、フィリピン発祥で近年米国でも注目を集める紅山芋「ウベ」を使ったペストリークリーム入り「ミルクバン」や、スパムと海苔を挟み唐辛子とパルメザンチーズでアクセントを加えた「クロワッスビ」、ライチやブルージャスミンなどを使った餅のような食感のミニマフィン「モチ・バイツ」、ロースト・ガーリック入り「コチュジャン・サワードゥ」、黒ゴマ入り「バブカ」など、個性的なフィリングばかり。

転向を機に雇った従業員の声を、チームマネージメントとレシピ開発に取り入れることで、店の知名度を上げ、顧客を増やし、実店舗オープンへと発展させた。売上重視から、従業員・コミュニティ・経営者自身のサステナブルな成長を優先する店へと経営改革できたのはコロナ禍のお陰、とタン氏は語る。

(トップ写真)オーナーのタン氏(前列左)と仲間たち。「点心」を意味するDim Sumをもじった店名は、作り手の“心”を焼き上げるというモットーを伝える。アジア系ヘイトクライムが表面化した際は、「ベイク・ラブ・ノット・ヘイト」というイベントを主催し、アジア人コミュニティや被害者へのサポートを訴えた。



◎Bake Sum
3249 Grand Ave. Oakland, CA 94610
☎+1-415-506-9298
9:00~13:00
月曜~木曜休
ベイク・サム・ボックス(ペストリー5個とモチ・バイツ4個入り) 35ドル
モチ・バイツ各種 1.75ドル
ペストリー、クッキー各種 3.50~5.85ドル
https://www.bakesum.com/

*1ドル=122円(2022年3月時点)

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