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JOURNAL / 世界の食トレンド

「卵は白身推し」のアメリカ食文化が生んだ、 “ほぼ卵白”でできたトルティーヤ

America [Chicago]

2024.08.19

「卵は白身推し」のアメリカ食文化が生んだ、 “ほぼ卵白”でできたトルティーヤ

text by Kuniko Yasutake / photographs by Egglife Foods
(写真)材料の95%が卵白のトルティーヤ「エッグライフ」は、抜群の包容力。グルテンの伸縮性はないものの、薄いのに具をよく包み、容易に割けるが破れにくい。新製品の発明から3年の商品開発を経て2019年に特許を取得、2023年には全米に販路を拡げた。

「ベターフォーユー・スナック(better-for-you snacks)」とは、心身のウェルネスを意識し健康的な材料や製造法を用いた加工食品の総称で、米国では近年着実に売上を伸ばしている。その新顔「エッグライフ・エッグ・ホワイト・ラップ(Egglife Egg White Wraps)」は、材料の95%が卵白というトルティーヤ。卵臭さゼロのクリーンな風味と、従来のトルティーヤでは味わったことのないユニークな質感が新鮮だ。

一般的な小麦粉のトルティーヤに比べ、高タンパク、低カロリー、低塩、ロカボでグルテンフリー。ベトつきのないしっとりつややかな風合い、ふんわり空気を含んだ弾力と、さっくりした噛み応えに食欲をそそられる。


冷蔵庫から出してそのまま食べるなら、挟むもの次第でサンドイッチやクレープとして楽しめる
(写真)冷蔵庫から出してそのまま食べるなら、挟むもの次第でサンドイッチやクレープとして楽しめる(左)。またはオーブンで焼いてチップスやピザ、タルトにも仕立てられる(右)。アーモンド、ひよこ豆や、タピオカの原料となるキャッサバを使用したグルテンフリーの他社製トルティーヤも登場しているが、料理のジャンルにとらわれない“カメレオン性”は本商品の最大特徴。photograph by Kuniko Yasutake

日本では卵黄をフィーチャーした食品が人気だが、米国では卵白料理を好む人が少なくない。心臓疾患などの生活習慣病対策として低コレステロール食が推奨されており、筋力アップや体質改善を目的とした様々なダイエットメニューでも紹介されることが多いからだ。

だがエッグライフ・エッグ・ホワイト・ラップには、従来品を食べられない“我慢”を想起させる代替食品感がなく、むしろ新発想のオリジナル食品という印象が強い。自社ホームページで公開中のレシピは200を数え、タコスやブリトーといったメキシコ料理の他、サンドイッチなどの軽食からデザートまで、その幅広い用途に視野が広がる。

細く切って茹でればキュッと噛み応えのある麺にも!
(写真)細く切って茹でればキュッと噛み応えのある麺にも!自社サイトではパッタイやボロネーゼとしてレシピが紹介されている。さらに細かくすれば和食汁物の具にもなり、まるでふっくら厚みのある湯葉のよう。

食事用フレーバーは、あっさり塩味のオリジナル、ガーデン・サルサ、イタリアン、サウスウェスト、エブリシング・ベーグルの5種類。
(写真)食事用フレーバーは、あっさり塩味のオリジナル、ガーデン・サルサ、イタリアン、サウスウェスト、エブリシング・ベーグルの5種類。製菓用のスイート・シナモンは砂糖でなく羅漢果エキスが使用されている。価格は従来のトルティーヤの約2.5倍だが、2024年現在、全米12000店舗で販売実績がある。

◎Egglife Foods, Inc.
Egglife Egg White Wraps 6フレーバー各7.99ドル(直径18cm、6枚)
冷蔵賞味期限60日(開封後は7日間)
https://www.egglifefoods.com/

*1ドル=150円(2024年8月時点)

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