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JOURNAL / 世界の食トレンド

アルチザンベーカリーが実践する、若い刑余者のための社会復帰プログラム

England [London]

2023.08.14

アルチザンベーカリーが実践、若い刑余者のための社会復帰プログラム

text by Yuka Hasegawa

ヒップなロンドナーに人気のエリア、東ロンドン・ダルストンにあるアルチザンベーカリー「ザ・ダスティ・ナックル(The Dusty Knuckle)」。刑期を終えて社会に戻った18~25歳の若者に、店での雇用トレーニングと専門家によるサポートセッションを提供する、“青少年向けプログラム”を実践するベーカリーとして定評がある。

2023年6月中旬、プログラムを拡大すべく、ロンドンの若い世代に人気のミュージシャンや俳優、DJを招いてファンドレイジング・イベントが開催され、メディアやSNSで注目を集めた。創始者の1人であるマックスさんは「若い時に警察沙汰になるような体験をしたとはいえ、それはその時の彼らの人生の“チョイス”が間違っていただけ。彼らにトレーニングの機会を提供し、より良い選択をしてもらいたいという思いから、このプログラムを始めました」と語る。


写真は、イベントにて、マックスさん(手前)と共同創始者であるデイジーさん。

(写真)法務省からの要人も含め約300人が参加した先日のイベントでは、3万3千ポンド(約600万円)を、5~6月に展開したクラウドファンディングでは、3万9千ポンド(約700万円)を調達した。写真は、イベントにて、マックスさん(手前)と共同創始者であるデイジーさん。

少年の非行や犯罪を防止するサポートチームの一員として、長年の経験を持つマックスさんは、パン作りの趣味が高じ、2012年から自宅のキッチンで、2014年からは小規模ながら商業ベースでベーカリーを開業。その際に数人の軽犯罪の過去を持つ少年を受け入れたことが、同プログラムの始まりだという。以来プログラムは年々ステップアップし、2022年には累計で23人、23年は7月現在35人を受け入れているという(年末までには70人強の見込み)。

「出所した時に不安そうな目をしていた青年が、トレーニングとともに徐々に自信を取り戻し、社会に溶け込んでいく姿を見るのはとても嬉しい」とマックスさん。今後はこれまでのケーススタディを検証・モデルにしつつ、同スキームを地域ベースのチャリティ団体として構築するべく奔走している。

(写真トップ)トレーニングは、①32時間の無報酬トレーニング+6時間の専門家の個人懇談セッション、②8週間の有給パートタイムトレーニング+8時間の専門家の個人懇談セッション、③パートタイムの本雇用、または就職先のアドバイスセッション、の3段階に分かれている。

(写真)「ザ・ダスティ・ナックル」は、ロンドン有数のレストランにサワードウブレッドなどを卸す、クオリティに定評があるアルチザンベーカリー。東ロンドンのコミュニティ・スピリットが色濃く反映されたカフェも併設し、常に活気にあふれている。

(写真)「ザ・ダスティ・ナックル」は、ロンドン有数のレストランにサワードウブレッドなどを卸す、クオリティに定評があるアルチザンベーカリー。東ロンドンのコミュニティ・スピリットが色濃く反映されたカフェも併設し、常に活気にあふれている。

The Dusty Knuckle


◎The Dusty Knuckle 
Abbot Street Car Park, London E8 3DP
https://www.thedustyknuckle.com/

*1ポンド=182円(2023年7月時点)

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