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JOURNAL / 世界の食トレンド

食通ミラネーゼの間で話題。青果の目利きがタッグを組んだ“素材が主役”のレストラン

Italy [Milano]

2024.11.14

食通ミラネーゼの間で話題。青果の目利きがタッグを組んだ“素材が主役”のレストラン

text by Yuko Suyama / photographs by Raw Restaurant
(写真)誰もが好きなイタリア料理カルボナーラを進化させた一皿。ねっとりした卵黄にペコリーノチーズのエスプーマを添え、黒コショウ入りのパンと熱して透明になった薄切りのグァンチャーレをのせる。パスタなしでカルボナーラの味をそのまま楽しめる趣向だ。

ミラノで最近動きの活発なポルタ・ロマーナ地区に、2024年9月、「ロウ・レストラン(Raw Restaurant)」が誕生した。

「初めは、ミラノ中央卸売市場内でオープンする予定でした」
2年前からのプロジェクトだったと語るオーナーのペトラ。当初は改装する市場内で、市場のとびっきり新鮮な食材を使い、素材が主役の料理を提供しようと計画。ところが成り行きの遅さに、コンセプトはそのままに、ミラノの中心地で開業することに。

共同経営者のフィオリアーナは、長年、野菜や果物を中央市場に納入する目利きで、彼女が選ぶ食材はもとより、貴重なレッジャーノ赤牛のミルクで作るパルミジャーノや、25年以上熟成させたバルサミコ酢など上質なものをセレクトしている。

「その時々に出会える選ばれた食材の持ち味を尊重し、味わい深い上質な料理に仕上げます」と新進気鋭シェフのエンリコ・フェラーリ。広いオープンキッチンで、若いスタッフたちと調理に余念がない。

若く意欲的なスタッフたち。星付きレストランでも経験を積んだ若きシェフ、エンリコ・フェラーリ(左から2人目)を中心に、キッチンのアンドレア・ロシャーノ(左端)、パティシエのアレッシア・プルチーニ(右から2人目)、ソムリエのデニス・チェレダ(右端)。
(写真)若く意欲的なスタッフたち。星付きレストランでも経験を積んだ若きシェフ、エンリコ・フェラーリ(左から2人目)を中心に、キッチンのアンドレア・ロシャーノ(左端)、パティシエのアレッシア・プルチーニ(右から2人目)、ソムリエのデニス・チェレダ(右端)。

メニューは頻繁に変わり、前菜・プリモ・セコンド・ドルチェ4皿構成のコース「ロウ(Raw)」(65ユーロ)と「カルぺ・ディエム(Carpe Diem:今を楽しむ)」(60ユーロ)の2種。
ロウコースは伝統料理をベースに、たとえばミラノ料理の定番であるサフラン入りリゾットに秋の香りキノコを加え、パセリとレモンの皮、ニンニクを使ったグレモラーダソースを新解釈で添えるなど、新しい感覚を盛り込む。
一方カルペコースは季節素材にフォーカスし、今の時期ならスライスした生のカリフラワーを焼き、ゴルゴンゾーラのジェラートと塩キャラメルのソースでまとめ、ナッツを思わせる風味のカリフラワーを楽しんでもらう。コース料理はすべてアラカルトでオーダーすることもでき、使い勝手がよい。 

地元ミラノ料理のクラシック、オッソブーコに添えるサフラン入りのリゾット。そこに秋の風味いっぱいのフィンフェルリ茸(アンズダケ)を加え、ニンニクとパセリを白と緑のソースにして添えた新機軸なミラノ料理の提案。
(写真)地元ミラノ料理のクラシック、オッソブーコに添えるサフラン入りのリゾット。そこに秋の風味いっぱいのフィンフェルリ茸(アンズダケ)を加え、ニンニクとパセリを白と緑のソースにして添えた新機軸なミラノ料理の提案。

近隣にはオフィスも多く、ランチは手軽にアラカルト利用、ディナーではゆったりコースで食事を、また奥のラウンジでは軽く前菜とアペリティーヴォやドリンク類を楽しむこともできる。コストパフォーマンスも良く、辛口な食通ミラネーゼの間ですでに評判は上々だ。

調理の全工程が見えるオープンキッチンがこの店の特徴のひとつ。カウンター席では、使っている素材や調理法について尋ねることもでき、ワクワクするライブ感も味わえる。
(写真)調理の全工程が見えるオープンキッチンがこの店の特徴のひとつ。カウンター席では、使っている素材や調理法について尋ねることもでき、ワクワクするライブ感も味わえる。
家で寛ぐような気分にさせるゆったりしたソファと低い椅子の店内。
(写真)家で寛ぐような気分にさせるゆったりしたソファと低い椅子の店内。

Raw Restaurant 
Corso di Porta Romana, 45 20122 Milano MI
☎+39-024-5076348
12:30〜14:00、19:30〜22:00
日曜、月曜休
https://raw-restaurant.it/

*1ユーロ=165円(2024年11月時点)

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