Spain [Madrid]
二ツ星シェフ、マリア・マルテの一大決心
2018.05.07
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マドリードの高級レストラン「クラブ・アジャルド」のミシュラン二ツ星シェフ、マリア・マルテは、ドミニカ共和国サント・ドミンゴからの移民だ。16年前(2002年)、幼子を残して単身でスペインに出稼ぎに。皿洗いをしながらレストランに寝泊まりをしていた過去から、トップに上り詰めるまでの人生は、料理界のシンデレラストーリーとして語られてきた。
そのマリアが2018年1月、突然「クラブ・アジャルド」を去ることを決意し、話題を呼んでいる。「自国にいる、かつての自分のような貧困層の女性を助けたい」「子供たちとの時間を取り戻したい」というのがその理由だ。彼女の革新的なメニューに対して、昨年与えられた「エッカート・ヴィツヒマン賞」の賞金を元手にサント・ドミンゴで小さな土地を取得し、そこに料理学校を作り地域の女性の自立を助けるという。
スペインに来た当初、捨てられる食べ物の量の多さに涙を流していたというマリア。1人の女性としての生き方と潔さを、強烈に料理界に残して、この春、故郷に戻る。
(『料理通信』2018年4月号/「ワールドトピックス」より)
◎ Club Allard
C/Ferraz, 2, 28008, Madrid
☎+34.915.59.09.39
www.elcluballard.com
マルテ氏は2018年1月に退職。後任にはホセ・カルロス・フエンテス氏が就任した
text by Yuki Kobayashi
JOURNAL / 世界の食トレンド
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