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JOURNAL / 世界の食トレンド

Sweden [Göteborg]

牡蠣の殻や魚の骨を、家具や小物に再生するプロジェクト

2022.02.17

Sweden [Stockholm] 牡蠣の殻や魚の骨を、家具や小物に再生するプロジェクト

text by Sakiko Jin

近年、規格外の野菜だけを売るスーパーや消費期限が近い食材を使うレストランが登場するなど、食のリサイクル活動が目覚ましい。スウェーデン環境省(環境保護局)によると、2018年は約1.3トンの食品廃棄物が生じていたという。

そんな中、スウェーデン第2の都市、ヨーテボリに住むインテリアデザイナーのカロリーナ・ヘード(Carolina Härdh)が、地元のレストラン「ヴロー(Vrå)」と協力し、レストランで出る食品廃棄物を家具や小物によみがえらせるプロジェクト「ギガス(Gigas)」を手掛け、注目を浴びている。「ヴロー」はスウェーデン産の魚介を扱う、日本食をベースにしたレストランだ。

カロリーナは、廃棄された牡蠣の殻、昆布、魚の骨や油、米のでんぷんを固めて素材にし、スツールなどの家具を製作。まだ試作段階ではあるが、余った素材から作った箸置きは、実際にレストランで使用している。食品廃棄物をインテリアの一部に再生することで、利用客に自然の循環を意識してもらうよい機会にもなっている。

プロジェクトは、都市ガス事業を行うストックホルムガスと美食ガイドブック『ホワイトガイド』が提携するイノベーションプログラム「100%サーキュラー(100% Cirkulär)*」のサステナブル賞を獲得。資金を含め多方面から助力を得て、さらなる発展に繋がることは間違いない。

プロジェクトは、都市ガス事業を行うストックホルムガスと美食ガイドブック『ホワイトガイド』が提携するイノベーションプログラム「100%サーキュラー(100% Cirkulär)*」のサステナブル賞を獲得。資金を含め多方面から助力を得て、さらなる発展に繋がることは間違いない。

*関連記事:美食ガイドが100%循環できるアイデアを全面支援

(トップ写真)牡蠣の殻はカリウムを多く含み、砕いて固めるとコンクリート同様の仕上がりに。昆布は乾燥させて砕くことで素材同士の接着を補強する。魚の皮、鱗、骨は、米のでんぷんと一緒にのり状になるまで煮詰めて接着剤代わりにしている。



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