フランス、イタリアだけじゃない。スウェーデンが誇る原産地呼称製品
Sweden[Stockholm]
2024.04.25
text by Sakiko Jin
(写真)PGIチーズ「スルムランズ・エーデル」の素となる乳は、セーデルマンランド県内で放牧された指定牛のもので、他の牛に比べて脂肪分とプロテイン含有量が高い乳牛だ。photo by Johan Carlson
ヨーロッパには原産地呼称保護(PDO)と地理的表示保護(PGI)が飲料・食料合わせて約3500銘柄ある(スウェーデン農業委員会調べ)。フランスのシャンパーニュやイタリアのパルマハムは言わずと知れたPDOの例だ。
スウェーデンにはPDOとPGIが合わせて21製品あり、世界的にも知られているのは「アブソリュート・ウォッカ(Absolut Vodka)」でも知られるスウェーデンウォッカ(PGI)だろう。南部スコーネ地方の焼き菓子「スコンスク・スペットカーカ(Skånsk Spettkaka)」や、中部に位置する町グレンナ(Gränna)の赤白の縞模様のねじりキャンディ「エクタ・グレンナ・ポルカグリーサル(Äkta Gränna Polkagrisar)」もスウェーデンを代表するPGI製品だ。
2023年、新たにPGIの認定を受けたのは「スルムランズ・エーデル(Sörmlands Ädel)」と呼ばれる青カビチーズだ。ストックホルムの南に位置するセーデルマンランド県内の4種の決められた乳牛からの乳を72℃で15分間殺菌し、脂肪分は最低3.5%。牛乳、乳酸菌、青カビ菌、ホエイプロテインと塩のみで作る。程よい酸味があり、他の青カビチーズに比べるとマイルドな味だ。
PGIに比べてより厳しい基準が設けられているPDOには、北欧らしく魚卵製品もある。2010年に認定を受けた「カリックス・ルイロム(Kalix Löjrom)」だ。マス科の魚である「シークルイヤ(Siklöja)」は、スウェーデン北部の町ハパランダとピーテオ間だけで漁獲されるもの。漁猟期間は9月20日から10月25日までの日曜日から木曜日まで、週5日間の決められた時間のみだ。魚が水揚げされてから24時間以内に処理を施し、魚卵は全て手で取り除かれなければならず、塩分は4%と決まっている。
PDOもPGIも製品の品質や評価が原産地に由来することを表示し、知的財産権の一つとしてEU圏内で保護する制度だ。フランスやイタリアに比べるとまだ遅れをとっているスウェーデンではあるが、認定申請への品は毎年増えている。
世界に誇れるスウェーデンの知的財産になり得る産物がまた新たに生まれるか楽しみだ。
◎Smaka Sverige Jordbruksverket
スウェーデンを味わう~スウェーデン農業委員会
Instagramアカウント:@smakasverige
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