青山「The Burn(ザ・バーン)」米澤文雄シェフの料理で発見する「カリフォルニア プルーンの魅力」
2018.12.27
Text by Noriko Horikoshi / photographs by Hide Urabe
豊かな気候風土、食育やサステナビリティ(持続可能性)への取り組みにより、健康的かつ先進的な食文化を牽引してきた米国・カリフォルニア州。州都サクラメントを中心とする一帯で栽培されるプルーンもカリフォルニアを代表するローカル食材のひとつです。2018年11月26日に開催されたMEETUPは、同じくサステイナブルな食を提案するレストラン「The Burn」で。今夏、カリフォルニアを訪問した米澤文雄シェフのお話と、カリフォルニアプルーンを使ったコース料理を楽しみました。
▼あわせて読みたい!
「限りなくナチュラル。米澤文雄シェフが訪ねるカリフォルニア プルーンの魅力を探す旅2018」
https://r-tsushin.com/feature/movement/californiaprunes_fumioyonezawa.html
◎ The Burn
東京都港区北青山1-2-3 青山ビルヂングB1F
☎ 03-6812-9390
11:30~14:00LO 17:30~22:00LO
日曜・祝日休
東京メトロ青山一丁目駅直結
http://salt-group.jp/shop/theburn/
豊かな食文化の地、カリフォルニアを訪ねる
青山「The Burn」といえば、“サステイナブル(持続可能)な食材”をコンセプトに掲げ、2018年9月に開業したばかりのグリルレストラン。MEETUPは、オープン間近の8月、1週間をかけてカリフォルニアを旅してきた米澤シェフとツアーメンバーのクロストークから始まりました。
三ツ星レストラン「Jean-Georges」でスー・シェフを務め、アメリカではニューヨーク暮らしが長かった米澤さんにとって、カリフォルニアは「みずみずしくて元気な食材の宝庫。ナチュラルなスローライフが根付いていて、人々の食に対する意識や関心も高い。ほっと寛げると同時に、行くたびにニューヨークとは違う刺激をもらう場所です」。
「シェ・パニース」のアリス・ウォータースがバークレーで始めた食育プロジェクト「エディブル・スクールヤード」の現場や、新鮮なカリフォルニア産フルーツの個性を生かしたクラフトジャムメーカー「INNA JAM(イナ・ジャム)」、オーガニックなブドウ栽培から手掛けるナパのワイン農家……。今回の旅で訪れた施設や生産者との印象的な出会いのシーンが、次々にモニターに映し出され、ライブ感たっぷりに紹介されていきます。
旬の野菜やフルーツがあふれるファーマーズ・マーケットには、プルーンの原料となるフレッシュな果実の姿も。
そう、ここカリフォルニアは、世界生産量の約40%を産出するプルーンの一大産地。多くのプルーン栽培農園や加工工場があり、今回の旅で米澤シェフは2軒の生産者を訪問。印象に残るシーンをMEETUPで振り返り、たどっていきました。
栽培から生産まで 限りなくナチュラルなプルーン
カリフォルニア プルーンの栽培農場は、ワインの産地で有名なナパバレーの東側、州都サクラメントの周辺に点在しています。最初に訪れたのは、家族経営で収穫から乾燥までを行うミッチェル農園。
「プルーンはよく料理に使うけれど、樹から直接もいで食べたのは生まれて初めて。何て甘くて、おいしいんだろうと。新鮮な体験でした」と米澤シェフ。プルーンの実は糖度25%以上まで完熟するのを待ち、収穫されます。
「収穫と乾燥以外に、ほとんど手が加えられていない。完全にナチュラルな素材だからこその素直な甘味、果実感なのだと納得しました」
次のシーンは、「サステイナブルな栽培法に感銘を受けた」と話すターコヴィッチ農園。プルーンの天敵、木の根を食べてしまうホリネズミを駆除するために農薬は使わず、フクロウに捕獲させるという循環農法のあり方に、会場のゲストも感心しきり。
農園内にはフクロウ小屋が数カ所にわたって設置され、安定的な外敵駆除が行えるように配慮。果樹園は、4~5年サイクルで他の農作物を輪作しながら土中の微生物を増やし、よりよい土壌作りを実践しているそうです。
「オーナーのターコヴィッチさんに『なぜオーガニックなのですか?』と質問したら、『自分が作ることによって地球を汚すのは、単純に嫌だから』と即答されました。大義名分を振りかざすのではなく。ジーンときましたね」
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そして、旅にインスパイアされたプルーンディナーへ
学びの時間の後は、お待ちかねのディナータイムです。
「カリフォルニアでの食体験を皆さんとシェアできるよう、プルーンをふんだんに使ったコースメニューを用意しました。カリフォルニアワインやクラフトビールとのペアリングで楽しんでください!」と米澤シェフ。
有機栽培ニンジンのピュレをムースに仕立てたアミューズに続いて、ホールのプルーンをアレンジした冷たい前菜がテーブルに。まろやかな豆乳ヨーグルトに、ライム果汁とクローブでマリネしたカリフォルニア プルーンのピクルス、ローストビーツを添えたヴィーガンな一皿です。プルーンの甘酸っぱさがきゅんと効いて、後を引く爽やかさ。会場のゲストからも、「プルーンというと、ソースや煮込みのイメージが強かったけれど、こんなふうにサラダ風にも使えるんですね!」と、うれしい驚きの声が聞かれました。
温かい前菜は、ズワイガニの身がぎっしり、トッピングにクリスピーなパン粉をあしらった“ザ・カリフォルニア”なクラブケーキ。
続くメインの肉料理には、プルーンが2種類のコンディメントに姿を変えて登場しました。赤ワイン煮込みのソース、アップルビネガーと粒マスタードの風味を効かせたピュレの“プルーン二刀流”。香ばしい牛肉の炭火焼きとの相性は言わずもがな。王道ながらも、異なる食感のソース使いが新鮮です。
ペアリングに用意された赤ワインは、米澤シェフが訪ねたナパのワイナリー、「マサイアソン・ワインズ」の2014年ビンテージ。やさしい果実感とエレガントな飲み口に、あちこちのテーブルから「おいし~い」「やさしくて、するする飲めちゃう」の囁きが。
まるごとのカリフォルニア プルーンをポートワインでマリネし、フィリングに仕立てたバターサンドのデザートで、MEETUPは大団円に。
カリフォルニアの生産者、生活者が育む先進的で豊かな食文化に触れた今回のMEETUP。中でも、限りなくナチュラルに栽培・加工されるカリフォルニア プルーンは、安全性や栄養価に優れた地元を代表する食材として、現地の人々に長年にわたり愛されていることがわかりました。料理でのアレンジの多彩さなど食材としても、カリフォルニア プルーンの可能性や魅力を改めて実感した夜でした。
[カリフォルニア プルーンに関するお問い合わせ]
◎カリフォルニア プルーン協会
☎ 03-3584-0866
http://www.prune.jp