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PEOPLE / シェフ名鑑(アーカイブ)

「新しいスタイルを提示する」

小林幸司 Koji Kobayashi

「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ」

Oct 01, 2014

photographs by Tsunenori Yamashita

1958年9月14日生 / 愛知県出身 / O型
大学在学中に調理師免許を取得し、26歳でイタリア料理店を開く。3年後に閉店。89年渡伊、シエナの料理学校を経て、ウンブリア州「リストランテ・ヴィッサーニ」に入る。オリジナリティの高い料理を学び、後半は料理長。91年帰国、西麻布「マリーエ」、銀座「ラディーチェ」等を経て、02年「フォリオリーナ…」開店。09年トラットリアとして再スタート。11年1月「フォリオリーナ…」を再生。

FAVORITE
音楽 : 長男・匠之介のクリスマスの歌
本 : 『アルジャーノンに花束を』
映画 : 『レミーのおいしいレストラン』

鳩のソテー、トミーノチーズと白ポレンタ、ウンブリア産の黒トリュフ、内臓とチョコレートのソース

鳩の胸肉は室温のフライパンにのせ、強火で焼き、芯温40℃に仕上げる。トミーノチーズと練り合わせた白ポレンタと鳩の間にウンブリア産の黒トリュフのスライスを挟む。上下の熱で温められたトリュフが、ナイフを入れた瞬間、そして口に運んだところで、高い香りを放つ。


トピナンブールのスフォルマート・アル・ヴァポーレ

ピュレ状にしたピナンブールとホロホロ鳥の卵で作るスフォルマートの上には、ピサンリ(軟白タンポポ)のピュレ、そして、ラルドーネとオリーブ油で炒めたイタリア産のグリンピースを散らして。淡く苦い味わい、グリンピースの青々とした力強さが印象的。

5250円のコースの前菜


<必要とされるためのキーワード>
完璧なる非日常を用意する。

「自分の店に流れる時間は完璧なる非日常でなければならない」と小林シェフ。
2002年、中目黒にオープンした時から、その考えは変わっていない。コンクリートブロックの壁、打ちっぱなしの床、卓上のみ照らす照明。およそ殺風景な空間で提供される10皿の料理はシェフ自身による恐ろしく込み入った解説付き。従来のレストランとは明らかに異質で、どこか非現実的だった。
とはいえ、東京のど真ん中である。摩訶不思議な気分に浸っている最中に、パトカーのサイレンが鳴り響いたり、焼き芋屋の声が聞こえてきたり。
「扉の内側を非日常化しても、音の暴力という不可抗力が襲ってくる。日常と非日常を扉一枚、壁一枚で仕切ろうというのが無理だった・・・」

というわけで、昨年1月の軽井沢移転。日常からの距離を物理的に長くして、旅路という扉までのシチュエーションを設けた上に、冬と夏で営業形態、空間、店名までも変える暴挙(?)に出た。
冬の間は、全6席の室内で、従来通りの1日1客、9品のリストランテ料理。夏になると、店名を「アルベリーニ」に変えて、トラットリア料理を屋外で提供、”天井のないレストラン”になる。木々に囲まれ、太陽光あふれる中で過ごしていると、気持ちよさのあまり時間の経つのが異様に早い。

中目黒時代、その閉鎖的なスタイルゆえに「監禁レストラン」と呼ぶ人がいた。そんな人たちに、移転後は「解放レストラン」となったことを伝えねば。いずれにせよ非日常に変わりはないのだけれど。



◎フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ/Fogliolina della Porta Fortuna
長野県北佐久郡軽井沢町長倉2147-689
0267-41-0612
1日1組完全予約制 時間は応相談
不定休

カード可
座席 全6席
タバコ 禁煙
JR軽井沢駅よりタクシーで15分、JR中軽井沢駅よりタクシーで8分

おまかせコース28000円(料理とドルチェ9種8皿、ワイン4種、パン3~4種、税・サ別)

「2006年10月ガストロノミー・レストラン IN TOKYO」 掲載
「2007年04月Contemporary Recipes Collection」 掲載
「2009年06月あのシェフも、サルデーニャにはまっています」 掲載
「2012年05月100人のシェフが考える「必要とされる店」になるために」 掲載
バックナンバーはこちら

2002.12.3 open 店ガイド フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナのページを見る

『料理通信』2012年5月号取材時点)

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