「人材を育成する」
日髙良実/Yoshimi Hidaka
リストランテ アクアパッツァ/Ristorante Acqua Pazza
2015.05.19
1957年10月4日生 / 兵庫県出身 / O型
調理師学校卒業後、神戸ポートピアホテル「アラン シャペル」で修業を開始。83年上京。銀座「リストランテ ハナダ」(3年)に移り、仏→伊へ転向。86年渡伊し、「エノテカ・ピンキオーリ」「グアルティエロ・マルケージ」「ダル・ペスカトーレ」等、計14軒で修業。89年帰国し「リストランテ山﨑」料理長就任。90年「アクアパッツァ」オープンとともに料理長就任。03年オーナーシェフに。
FAVORITE
音楽 : 由紀さおり(昔のオリジナル)、サザンオールスターズ(サザンとともに生きてきた。)
本 : 『美味しんぼ』
映画 : 『転々』『おくりびと』『仁義なき戦い』
MY LEGEND
ルイジ・フィダンザー
「りすとらんて・はなだ」シェフ。イタリア料理人。伊・アブルッツィオ地方出身。19歳で海軍に召集後、1945年神戸で除隊。その後、48年に京都に「イタリア」を開店。ピザが珍しいかった時代にイタリア料理を広めた。著書に『日本の素材イタリア料理』(中央公論新社)
上柿元勝
株式会社オフィス・カミーユ代表。元ハウステンボスホテル総料理長。1950年生まれ。日本エスコフィエ協会副会長。99年からメートル・キュイジニエ・ド・フランス名誉会員。03年フランス農事功労賞ジュヴァリエ受賞。著書に『フランス料理のスピリッツ』(柴田書店)、『ソース』(柴田書店)。
お魚のアクアパッツァ
「店名に掲げる以上、どこよりも旨いアクアパッツァを」と開店当初から作り続ける。日本版アクアパッツァの原形にもなった看板料理。現地では海水で煮る漁師料理だが、「最も海水に近い味」を求めてアサリに辿り着いた。
ダル・ペスカトーレ風トマトのテリーヌ
シェフの修業先だった店のスペシャリテ。酸味と甘味の強いトマトのジュをゼラチンで固め、多めのオリーブ油でソテーした茄子のスライスで巻いた。国産のモッツァレラチーズは、長い付き合いになる吉田牧場のもの。
必要とされるためのキーワード
任せてみる。
イタリアンの芽が一斉に開花した90年代。その先頭を切ってきたのが日髙良実シェフである。フレンチにはなかった気軽さや楽しさを紹介する一方、シェフが一貫して伝えてきたのは、「日本の旬」や「日本人ならではの感性」だ。
「地元の食材、自分たちのアイデンティティを大事にすることが、イタリアの精神だから」
そこで系列店舗を増やすたびに、「魚料理」「トキオネーゼ」といったテーマを持ち、それを若い料理人たちに投げかけてきた。そう、教え子を何百人と輩出してきた日髙シェフの子育て法は、「全部任せる」ことだという。
「最初は一から十まで指示していたけど、それでは育たない。テーマだけ伝え、あとは自分たちで考えさせたほうが人は伸びます」
今、日髙シェフが考えるこの店の意義は「記念日の店」だという。新しい技術で驚かせるより、作り続けてこそ円熟する、安心できる料理。家族や恋人と特別な日を実感する店。このテーマに、弟子達はどう応えるのか?
◎リストランテ アクアパッツァ
東京都渋谷区広尾5-17-10 EastWest B1F
03-5447-5501
11:30〜13:30 LO(土曜、日曜、祝日14:00 LO)
18:00〜21:30 LO
定休日 月曜休(祝日の場合は翌日休)
カード 可
座席 全48席
タバコ 禁煙
アクセス 東京メトロ広尾駅より徒歩3分
http://www.acquapazza.co.jp
昼3780円、5400円、8640円
夜10800円、12960円、アラカルトあり(税込・サ別)
WINE グラス 白赤各1種700円~、ボトル 4000円~
「2007年05月オーガニック・ハチミツの愉しみ」 掲載
「2007年10月食のプロを刺激する店」 掲載
「2009年01月定番をアップデートさせる技」 掲載
「2009年03月全国お宝食材コンテスト」 掲載
「2011年02月アール・エフ・ワンが考える「サラダ×食育」」 掲載
「2012年05月100人のシェフが考える「必要とされる店」になるために」 掲載
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(『料理通信』2012年5月号取材時点)