本当の生産者とのつながりとは
目黒浩敬さん連載「アルフィオーレの農場日記」第7回
2016.09.15
連載:目黒浩敬さん連載
シェフたちはなぜ、生産者を訪ねるのでしょう?
生産者とのつながりというと、皆さんが連想するのは、シェフとファーマーとの繋がりではないでしょうか?
それは、至極当然なことでもありますよね。
私もレストランを営んでいた頃、たくさんの生産者の元へ足を運んでは、いろんな話を伺いながら、生産現場を見せていただき、周囲の環境を感じ取ったものです。
思いもしなかったことが聞けるなど、たくさんの学びを得ることができました。
そして、料理に反映されることがたくさんありました。
なぜ、シェフたちは農家さんの元へと足を運び、生産現場を見に行くのでしょう?
食材が育つ環境を知って、お客様に伝えたいから?
もっと深く野菜や豚のことを知りたいから?
自分も一緒に生産者を手伝うことで、何かが得られるから?
料理のアイデアを得たいから?
行くのがトレンドだから?
行く理由は、いろいろあっていいと思います。
それは、至極当然なことでもありますよね。
私もレストランを営んでいた頃、たくさんの生産者の元へ足を運んでは、いろんな話を伺いながら、生産現場を見せていただき、周囲の環境を感じ取ったものです。
思いもしなかったことが聞けるなど、たくさんの学びを得ることができました。
そして、料理に反映されることがたくさんありました。
なぜ、シェフたちは農家さんの元へと足を運び、生産現場を見に行くのでしょう?
食材が育つ環境を知って、お客様に伝えたいから?
もっと深く野菜や豚のことを知りたいから?
自分も一緒に生産者を手伝うことで、何かが得られるから?
料理のアイデアを得たいから?
行くのがトレンドだから?
行く理由は、いろいろあっていいと思います。
私が知るトマト畑とは違っていました。
私が生産者さんを訪れるきっかけになったのは、あるひとつの出来事からでした。
ある日、いつも通っていた仙台の市場へと足を運び、フルーツトマトを購入して帰りました。レストランで仕込みをしながら、そのトマトを口に入れて驚いたのです。
「なんだ、これ??」
「すごく濃くて、甘味も凝縮されて、めちゃくちゃうまい!!」
栽培している現場を見てみたいと思い、その生産者さんに連絡をとって、当時のスタッフと一緒に伺いました。
しかし、行ってみると、見渡しても見渡しても、田園風景の中には大型のハウスが広がるばかりです。
あれ、この辺りなのになぁと探して、やっと見つけた看板を頼りに辿り着いたところは、そのビニールハウスの一角でした。
案内されたトマトの圃場で見た光景、それは、たった3センチ角のスポンジに根を張ったトマトが、10メートルもの枝葉を伸ばして、数え切れないほどの実を生らせていたのです。
幼少の時分の真夏、出身地・福島で、辺り一面に広がるトマト畑からトマトをもいで食べたものですが、当時の光景とはまったく違っていました。露地栽培で棚も作らず、地面を緑の葉や赤い実が覆っていた様子を今でも鮮明に覚えています。その記憶からは想像もつかないほど、まるで異質な光景でした。
農家さんは、私たちにトマトを試食させてくれながら、自慢げに、これでもかと熱心に説明してくださいます。
クリーンな環境。効率性。生産性。ハイテクノロジーなど。
決して否定するつもりなどありません。
ただ、私たちとは見ている方向が違っているんだなと思ったのです。
と、同時に、自分が扱うものについて、きちんと知らなければいけない、片っ端から調べなければお客様に説明できないと思ったのです。深く反省したのでした。
ある日、いつも通っていた仙台の市場へと足を運び、フルーツトマトを購入して帰りました。レストランで仕込みをしながら、そのトマトを口に入れて驚いたのです。
「なんだ、これ??」
「すごく濃くて、甘味も凝縮されて、めちゃくちゃうまい!!」
栽培している現場を見てみたいと思い、その生産者さんに連絡をとって、当時のスタッフと一緒に伺いました。
しかし、行ってみると、見渡しても見渡しても、田園風景の中には大型のハウスが広がるばかりです。
あれ、この辺りなのになぁと探して、やっと見つけた看板を頼りに辿り着いたところは、そのビニールハウスの一角でした。
案内されたトマトの圃場で見た光景、それは、たった3センチ角のスポンジに根を張ったトマトが、10メートルもの枝葉を伸ばして、数え切れないほどの実を生らせていたのです。
幼少の時分の真夏、出身地・福島で、辺り一面に広がるトマト畑からトマトをもいで食べたものですが、当時の光景とはまったく違っていました。露地栽培で棚も作らず、地面を緑の葉や赤い実が覆っていた様子を今でも鮮明に覚えています。その記憶からは想像もつかないほど、まるで異質な光景でした。
農家さんは、私たちにトマトを試食させてくれながら、自慢げに、これでもかと熱心に説明してくださいます。
クリーンな環境。効率性。生産性。ハイテクノロジーなど。
決して否定するつもりなどありません。
ただ、私たちとは見ている方向が違っているんだなと思ったのです。
と、同時に、自分が扱うものについて、きちんと知らなければいけない、片っ端から調べなければお客様に説明できないと思ったのです。深く反省したのでした。
“笑顔の循環”こそが本当の生産者とのつながり。
それからというもの、私たちは、足繁く生産者さんを訪れては、たくさんの会話をするようになりました。
その会話の中から新しい発見が生まれたり、生産者さんに「こんなものを作れませんか」と持ちかけて新しいものが生まれたり。
いろんな物事が前向きに進み出すきっかけになったと感じています。
私がブドウ栽培に取り掛かるきっかけにもなっているのかもしれません。
その会話の中から新しい発見が生まれたり、生産者さんに「こんなものを作れませんか」と持ちかけて新しいものが生まれたり。
いろんな物事が前向きに進み出すきっかけになったと感じています。
私がブドウ栽培に取り掛かるきっかけにもなっているのかもしれません。
料理人も、生産者も、流通業者も、そして、消費者のみなさんも、結局は人であり、想いなのです。
そこには、たくさんの人々の熱意や情熱、カインドネスがあり、それらが生産物の形になって運ばれていく。
バトンを受けた料理人や流通業者が、情熱や技術をもって伝え、消費者がその想いを受け取る。受け取った想いを、家族や仲間と共に分かち合い、共有する……。
そして、みんなの心や顔がほころんで、心が豊かになっていくのだと思うのです。
そうした笑顔の循環を目指すことが、生産者さんとの本当のつながりなのではないでしょうか?