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RECIPE

スペインの“ひと鍋”魚レシピ「タラのグリーンソース」

ブルーフード・レシピ

2023.06.22

スペインの“ひと鍋”魚レシピ「タラのグリーンソース」

photographs by Sai Santo

連載:ブルーフード・レシピ

海に囲まれ、豊かな漁場を有する日本には魚食文化が根付いています。魚を食べるなかで培われ、受け継がれてきた知恵や知識を継承し、上手に食べることは、多様性豊かな海の保全につながります。日本周辺でとれる水産物(ブルーフード*)の魅力を再発見するレシピを人気店のシェフに教わります。今回はタラを使ったスペインの“ひと鍋”料理を。素材の旨味をひと鍋に集約する味づくりをプロに教わります。

*ブルーフードとは、淡水・海洋環境に由来する植物、動物、藻類など水生生物性食品のこと。食料危機や気候変動などの課題に対応し、健康的で持続可能な食料システム構築への貢献が期待されている。
**日本の漁獲量ランキング(農林水産省:令和3年漁業・養殖業生産統計)
1位マイワシ(21.1%)、2位サバ類(13.7%)、3位ホタテガイ(殻付き)(11.0%)、4位カツオ(7.6%)、5位スケトウダラ(5.4%)、6位カタクチイワシ(3.7%)、7位ブリ類(2.9%)、8位マアジ(2.8%)、9位マダラ(1.8%)、10位サケ類(1.8%)。

教えてくれた人
スペイン料理研究家・渡辺万里さん、東京・浅草「アメッツ」服部公一さん

渡辺万里さん、服部公一シェフ

スペイン料理研究家、渡辺万里さん(右)。東京・目白「スペイン料理文化アカデミー」主宰。大学在学中のスペインとの出会いをきっかけに、スペイン料理をライフワークに。トップシェフと交流してスペインの美食を紹介するだけでなく、家庭料理を学んで各地方の伝統料理を作る悦び、食べる楽しみを伝える。著書に『毎日つくるスペインごはん―オリーブオイルと、卵と、じゃがいもと・・・』(現代書館)などがある。
https://academia-spain.com

東京・浅草「アメッツ」服部公一シェフ(左)。1979年東京・浅草生まれ。会社員から料理の世界へ。スペイン料理研究家、渡辺万里さんに師事した後、渡西。サン・セバスティアンの料理学校「ルイス・イリサール」で学んだ後、マドリード、カタルーニャ地方などスペイン各地で三ツ星からモダン・スパニッシュ、バル兼食堂まで、5年半修業した。帰国後2010年に現店をオープンした。


揺すって、揺すって、煮汁をとろりと乳化

スペインの土鍋、カスエラでタラを調理し、主役の魚とソースが同時に出来上がる“ひと鍋”料理です。熱のあたりが柔らかな土鍋が、包みこむように火を入れてくれます。

スペインで土鍋を最もよく使うのは、北部のバスク州。現地では「カスエラで煮るとなんでもおいしくなる」といわれ、シンプルな食材でもカスエラで煮れば、優しく、穏やかで膨らみのある味わいが作れます。

オリーブが採れないバスクではオリーブ油が希少なので、魚を調理した油をそのまま利用してソースに仕立てます。土鍋を火にかけている間は、道具でかき混ぜません。その代わり、鍋をコンロの火の上で回すように揺すって、揺すって、タラから味を引き出し、そのだしを油に移して乳化させます。

ただ、この揺すり方にはコツが入ります。慣れないうちは一度火から下ろして平らなところで揺するといいでしょう。カスエラは保温性が高く、熱もすぐに逃げないので焦らなくても大丈夫。

ふっくら煮たタラの身はもちろん、オリーブ油と白ワイン、タラのエキスが鍋の中で乳化したソースが絶品。パンに浸して残さず食べてください。

「タラのグリーンソース」材料と作り方

[材料](4人分)
タラ・・・4切れ
塩・・・少量
オリーブ油・・・1/4カップ
ニンニク(みじん切り)・・・2片
イタリアンパセリ(みじん切り)・・・大さじ3
魚のだし(または水)・・・1カップ
アサリ・・・16個
白ワイン・・・大さじ2

[作り方]
 [1]タラに塩をふる
タラに軽く塩をふる。

[2]ニンニクの香りを出す
土鍋にオリーブ油とニンニクを入れて弱火で熱する。
POINT:火加減は弱火をキープ

[3]タラを加える
ニンニクの香りが立ってきたら、いったん火から下ろし、少し温度を下げてから、軽く塩をしたタラを入れる。

[4]パセリとだしを加える
パセリを少量加え、よく揺すりながら熱する。だしとパセリを交互にほんの少しずつ加えながらさらに揺すり、魚の旨味を出しながら、ソースを乳化させる。
POINT: だしなど水分はゆっくり少しずつ入れて乳化させる

[5]アサリを加えて揺する

アサリを加えて揺する

アサリを加えて、口を開かせる。揺すり続け、最後に白ワインを少量ずつ加え、さらにゆする。液体が油となじみ、澄んだ液体がやや濁ってきたら、完成。
POINT: 道具でかき混ぜずに火の上で揺する。火から下ろして揺すってもOK

土鍋ひとつで主役の魚とソースが同時に仕上がるバスクのひと鍋料理。

土鍋ひとつで主役の魚とソースが同時に仕上がるバスクのひと鍋料理。



アメッツ

◎アメッツ
東京都台東区西浅草1-1-12 1F
☎ 03-3841-3022
17:30~22:30LO
月曜休
東京メトロ田原町より徒歩1分

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

(雑誌『料理通信』2020年1月号掲載)

海洋資源を保護し、持続的に利用する
今日からできる気候変動へのアクション

気候変動へのアクション

国連広報センターが「SDGメディア・コンパクト」に加盟する日本のメディア有志とともに、気候変動対策のアクションを呼び掛けるキャンペーン「1.5℃の約束 – いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」を実施しています。料理通信はこのキャンペーンに参加し、食にかかわる気候変動への取り組みを国内外から紹介しています。

海洋生態系による「ブルーカーボン」が温室効果ガス排出対策として期待されています。海の資源を守り、大切に使うことは気候変動対策につながることから、6月は、海洋保全について考え、アクションを起こすきっかけになる記事をお届けします。

●ActNow! 今すぐできる『10の行動』

「ActNow」は、個人レベルでの気候アクションをグローバルに呼びかける国連のキャンペーン。どんなことが気候変動の抑制に役立つのか、身近な行動を10項目挙げています。「環境に配慮した製品を選ぶ」では地産地消が、「廃棄食品を減らす」では食品を廃棄せず使い切ることが気候変動の防止に役立つとされています。

環境に配慮した製品を選ぶ
私たちが購入するあらゆるものが地球に影響を及ぼします。あなたには、どのような商品やサービスを支持するかを選択する力があります。自身が環境に及ぼす影響を軽減するために、地元の食品や旬の食材を購入し、責任を持って資源を使ったり、温室効果ガス排出や廃棄物の削減に力を入れていたりしている企業の製品を選びましょう。

廃棄食品を減らす

廃棄食品を減らす
食料を廃棄すると、食料の生産、加工、梱包、輸送のために使った資源やエネルギーも無駄になります。また、埋め立て地で食品が腐敗すると、強力な温室効果ガスの一種であるメタンガスが発生します。購入した食品は使い切り、食べ残しはすべて堆肥にしましょう。

(国連・ActNowキャンペーン:気候変動の抑制に対して個人でできる『10の行動』より)
イラスト:Niccolo Canova

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