【DIYレシピ13】かぼす、すだち、柚子・・・柑橘の季節に仕込みたい「自家製ぽん酢」
東京・神楽坂「御料理 山さき」山﨑美香さん
2022.11.07
photographs by Hide Urabe
連載:DIYレシピ
塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。天日に干したり、発酵させたり、自然の力にゆだねるレシピは、人間本位ではない生き方を学ぶ処方箋。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。
教えてくれた人:東京・神楽坂「御料理 山さき」山﨑美香さん
鍋ものだけでなく、基本調味料として
かぼす、すだち、青柚子、黄柚子・・・と続く、香酸(こうさん)柑橘の季節の到来だ。神楽坂「山さき」では、9~10月頃、夏の間休んでいた鍋料理の再開とともに、ぽん酢の仕込みがスタートする。「すだちだったり、青柚子だったり。その時期に入手できる柑橘を使って、こまめに少量ずつ作ります」と店主の山﨑美香さん。
「山さき」のぽん酢は、土佐醤油を作ってから、搾ったままの柑橘果汁を合わせるシンプルな仕立て。火入れをしないため長期保存は難しいが、その分、フレッシュな味わいが生きた、柔らかな酸味や清々しい香りが魅力だ。その時用いる果汁の酸味や甘味に合わせて味の調整は必要だが、それ故、飽きのこない味わい。「かぼすは、晩夏〜初秋限定で流通します。すだちは、安定して酸味が強め。黄柚子は、12月をこえると酸味が落ちてくるので、気持ち醤油を多めにするとよいでしょう」
「果汁を入れる前の土佐醤油は基本調味料として常備しておくと便利」と山崎さん。湯豆腐に、煮物に、汁物に。料理を支える屋台骨として活躍する。ぽん酢は、「山さき」では鍋料理に添えているが、酢のものなど基本の調味料としても汎用度大だ。こまめに作り置きして、日々の食卓に和の彩りを添えたい。
自家製ぽん酢の極意
1 小まめに少量ずつ作り、フレッシュな味わいに。
2 柑橘によって酸味、甘味が違うので、味を見て調整する。
3 柑橘が出回るときにまとめて搾って冷凍保存すると便利。
[材 料](作りやすい分量)
昆布・・・3~4cm四方1枚
日本酒・・・200ml
水・・・100ml
醤油・・・200ml
花がつお・・・ひとつかみ
柑橘(すだち、かぼす、柚子など)・・・適量
<材料のポイント>
「山さき」では、柑橘が出回る時期に大量に搾ってボトルに貯め、冷凍保存し、その都度解凍して使う。柑橘は、すだち、かぼす、青柚子、黄柚子、好きなものを使って。柑橘の種類はもちろん、果物一つひとつで酸味、甘味が違うので、味を見ながら調整すること。数種をブレンドしても美味。ぽん酢は非加熱のため、2週間程度で使い切ること。
[作り方]
[1]だしをとる
日本酒と昆布を入れて、鍋を中火にかける。
[2]アルコール分を飛ばす
気泡が立つまでしっかり沸かし、日本酒のアルコール分を飛ばす。
[3]水を加える
鍋から立ち上るアルコールの匂いが消えたら、蒸発した分だけ水を注ぐ。
[4]しっかり沸かす
再び、しっかり気泡が立つまで沸かす。
[5]土佐醤油を作る
鍋がしっかり沸いたところに、醤油を加える。
[6]しっかり沸かす
細かな泡がふわっと立つまでしっかり沸かす。
[7]花がつおを加える
鍋が沸いたところに花がつおを落とし、火を止める。
[8]粗熱をとる
花がつおが完全に沈むまでしばらく放置して、粗熱をとる。
POINT:粗熱をとったものを漉すと「土佐醤油」になる。
[9]柑橘を搾る
ヘタを上に水平に、1/2にカットして手で搾る。
POINT:強く搾りすぎると果皮の苦味が出るので注意。
[10]果汁を加える
粗熱を取った8の鍋に、柑橘果汁を、味を見ながら注ぎ入れる。味が薄ければ、醤油を足し、一度ひと煮立ちさせる。
[11]漉す
キッチンペーパーを敷いたざるで漉して完成。
◆制作時間:1時間 ◆食べごろ:すぐ ◆冷蔵で2~3週間
土佐醤油に、搾ったままの柑橘果汁を合わせた。非加熱なのでフレッシュな味わいが生きている。
◎御料理 山さき
東京都新宿区神楽坂4-2
福井ビル2F
☎03-3267-2310
18:00~20:00LO(完全予約制)
日曜、祝日休
各線飯田橋駅より徒歩8分
※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2014年11月号掲載)
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