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RECIPE

あんみつ、きんつば、どら巻きに。展開自在の和の甘味「粒あん」

フェーズフリーな食材レシピ:小豆

Sep 22, 2022

photographs by Masahiro Goda

乾物や漬物など、常温で長期保存でき、ビタミンやミネラルなど栄養価も高い食材は、備蓄食品にも向く優れもの。普段から食事に取り入れ、使い慣れることで、「いざという時に賞味期限が切れていた」「食べ慣れない味で食が進まない」という問題も避けられます。「いつも」と「もしも」をつなぐフェーズフリー*な食材を、おいしく活用するレシピ。今回は、神楽坂の鍋料理店「御料理 山さき」においしいあんの炊き方と、あんみつの作り方を教わります。


常備したい食材:小豆
教えてくれたシェフ:東京・神楽坂「御料理 山さき」山﨑美香さん

鍋料理専門店「御料理 山さき」店主。神奈川県出身。会社員から料理業界へ転向し、老舗江戸料理店で8年修業後、2002年に現店を開店。「ねぎま鍋」をはじめ、季節に応じた鍋と江戸料理が楽しめる。修業時代に東京・富ヶ谷「岬屋」の主人、渡邊好樹氏のもとで菓子作りを習う。店では手作りのあんみつや桜餅、雪餅など季節の菓子をデザートとして提供する。

少ない手間で、上品なあんに

季節の鍋料理を出す「御料理 山さき」。コース料理の終わりには、ひと口サイズの甘味が添えられる。春は桜餅。夏ならあんみつ。冬にはどら焼きをロール状にした「どら巻き」がころんとかわいらしい。これらは、全て店主である山﨑美香さんの手作りだ。

あんは、丁寧に作れば作るほど、上品な味に仕上がる。でも、慣れないうちは加減が難しいし、手間もかかる。料理の仕込みをしながらお菓子も作らなくてはならない山﨑さん。東京・富ヶ谷「岬屋」の渡邊好樹氏から学んだ炊き方をもとに、「駄菓子っぽくならない加減で」工夫してあんを炊いている。「忙しいので、基本は火にかけっぱなし。目を離しておける時間が長いので、仕込み中でも負担は少ないです。長く煮るので、段取りを計算して煮始めないといけないのが大変ですが」

あんを炊けば、展開も幅広い。衣をつけて焼けばきんつばに。どら巻きも、卵焼き器で生地を焼いてあんを巻くだけ。まとめて作れば、日持ちもする。寒天や黒蜜を用意すれば、いつでも好きなだけあんみつが食べられる・・・。「どれも簡単だし、作る工程も楽しいんです。おうちでも、あんのおやつを楽しんでくださいね!」


山﨑流基本の「粒あん」材料と作り方

[材料](作りやすい分量)
小豆・・・300g
重曹・・・1.7g
水・・・適量
砂糖・・・300g

<おいしい粒あんのコツ>


1 びっくり水で一気に温度を下げる
2 砂糖を加える前に豆を完全にやわらかく煮ておく
3 煮詰める時は混ぜすぎに注意!

[作り方]

[1]強火で対流させる
小豆、重曹を鍋に入れ、水をたっぷり(約1.7L)注いで強火にかける。沸いてきても強火のまま、しっかり対流させてしばらく煮る。
POINT:鍋は琺瑯製がおすすめ。浸水は不要。

[2]湯が深緑になったら煮汁を捨てる
茹で汁が深い緑色になったら火を止め、ザルに空けて煮汁を捨てる。小豆を数回水で洗い、水気を切って鍋に戻す。

[3]再沸騰後びっくり水を差す
たっぷり(約1.7L)の水を注ぎ、中火にかける。沸いたら一呼吸おいてから1L程度の水を一気に注ぎ、温度を下げる。


 [4]じっくり静かに煮る
弱火にしてじわじわと温度を上げ、湯気が立つが小豆が動かない程度の火加減で1~2時間煮る。水が減って小豆の表面が出そうになったら、沸かした湯を足す。
POINT:豆を踊らせない

[5]指で潰して確認
崩れていない硬そうな小豆を指で潰してみて、中のデンプン質が簡単に崩れて芋のような質感になったらOK。すべての豆がやわらかくなるまでしっかりと煮る。
POINT:芋のような質感に


[6]煮汁は捨てない
火を止めてザルにあけ、煮汁も捨てずにおく。

[7]小豆の沈殿物を取り出す
煮汁をしばらくおいて沈殿物が下に溜まったら上澄みをゆっくり捨て、沈殿物(小豆が煮溶けたもの)を取り分ける。

 [8]砂糖を溶かす
鍋に砂糖、小豆、7で取った小豆の沈澱物を入れて中火にかける。

[9]練らずに煮詰める
ぐつぐつと煮立て、底が焦げないように時々ヘラで優しく混ぜる。ヘラで混ぜた時に底が見えるようになったら火を止める。
POINT:混ぜすぎない

※きんつば、どら巻きを作る場合は、粒あんに寒天を加えて炊き、離水を防ぎます。寒天入り粒あんの作り方は後日公開します。

<粒あんの展開例:あんみつ>

あんみつ・・・粒あんと作り置きパーツでできる。お店では、自家製の梅の甘露煮を添えて提供。季節のフルーツや白玉、アイスクリームなど好きなものをのせて。好きなだけ盛って食べられるのが、手作りの醍醐味!

<寒天>
[材料](作りやすい分量)
糸寒天・・・10g 
水・・・1L

[作り方]
糸寒天は細く割き、被る程度の水(分量外)に一晩浸けて戻す。鍋に水を切った寒天と分量の水を入れて中火で沸かす。寒天が完全に溶けたら漉して流し缶に入れ、常温で固まるまで置く。1.5㎝角のサイコロ状に切る。

<黒蜜>
[材料](全て適量)
黒砂糖(粉末)、水

[作り方]
鍋に黒砂糖とひたひたの水を入れて火にかける。沸いたらアクを取り、好みの硬さになるまで煮詰める。



◎御料理 山さき
東京都新宿区神楽坂4-2
福井ビル2F
☎03-3267-2310
18:00~20:00LO(完全予約制)
日曜、祝日休
各線飯田橋駅より徒歩8分

※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

*フェーズフリー(Phase Free)は、防災の専門家として活動を続けてきた佐藤唯行氏が2014年に提唱した考え方。

(雑誌『料理通信』2019年4月号掲載)

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