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RECIPE

【DIYレシピ15】本場カルボナーラの必需品「パンチェッタ」を自家製

群馬「VENTINOVE」竹内悠介さん

Jan 10, 2023

photographs by Masahiro Goda

塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。天日に干したり、発酵させたり、自然の力にゆだねるレシピは、人間本位ではない生き方を学ぶ処方箋。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。

教わるテクニック:乾燥、熟成
教えてくれた人:群馬「VENTINOVE(ヴェンティノーヴェ)」竹内悠介さん

群馬県出身。東京・広尾「アッピア」で5年勤務後、渡伊。トスカーナの精肉店&レストラン「チェッキーニ」などで修業し、2011年西荻窪に「trattoria29」、2015年サンドイッチ専門店「3&1 Sandwich」を開業。2020年故郷の群馬に移住し、地元で採れた旬の野菜や果物を瓶に詰めて届けるオンラインショップ「29 in bottiglia(ヴェンティノーヴェ イン ボッティーリア」を運営。2022年10月、群馬・川場村にレストラン「VENTINOVE」をオープン。


黒コショウで覆って、乾燥・熟成へ

パンチェッタは用意する材料が少なく、加熱も燻製もしないので、作り方は本当に簡単なのですが、乾燥・熟成させる場所の確保が大変かもしれません。1カ月かかるので、ここが仕上がりに大きく影響します。

ベストは気温10 ℃以下の風通しの良い所。冷蔵庫も乾燥していると言われますが、ずっと庫内で乾燥・熟成させるには、あと一歩乾燥が足りない。庫外の空気に触れる時間は必要です。店では、営業中は暖房が入るので冷蔵庫にしまい、それ以外は10℃以下になる場所に置いて乾燥・熟成させています。 

塩はミネラルの多い海塩が旨味を引き出せます。粒の大きいタイプがゆっくり浸透していくのでおすすめ。コツは肉の表面が塩ですっぽり覆われるくらいたっぷりまぶす。ケチらない。脂のほうは塩が入りにくいので、脂を下にして5日間置きます。 

塩を洗い落とす時は、肉にめり込んだ塩まで取り除こうと躍起にならなくても大丈夫。ニンニクをすりこんでおくと、熟成香と相まってパンチェッタらしさが出ます。黒コショウは挽きたてを。細かいほうが落ちにくいし、肉の表面を隙間なく覆えます。虫よけにもなります。 

あとは1カ月の乾燥、熟成へ。通気がよくなるよう網の上に載せて、毎日上下を返し、均等に熟成が進むようにしています。側面から硬くなり、表面まで硬くなったら完成です。

料理の展開例:卵に火を入れ切ったカルボナーラ・・・煎り卵状のカルボナーラは、昔、シェアハウスで暮らしていた時、イタリア人の絵描きが実家の食べ方として作ってくれたもの。パンチェッタの旨味を吸ったそぼろ状の卵が妙に後を引く。
◆展開例:パスタ、サンドイッチ、スープ、グリルなどに


自家製パンチェッタの極意


1 ミネラル感のある粒の粗い海塩を使う
2 塩漬けは5日間でOK
3 10℃以下の風通しのよい場所で乾燥・熟成させる

[材 料](作りやすい分量)

豚バラ肉・・・1kg
塩・・・適量
ニンニク・・・1片
黒コショウ・・・適量

<材料のポイント>

塩漬けは粒の大きな海塩がゆっくり浸透していくので望ましいが、粒子の細かい塩しか手に入らない場合は塩漬けを1日短くする。

<道具のポイント>

通気を助ける道具
乾燥、熟成の際、水気がたまらないよう、肉は必ず網の上に置く。通気を妨げない、ほどよい隙間のあるカゴで覆い、埃から肉を守る。

[作り方]
[1]ビニール袋を用意

ビニール袋に肉を入れて、塩を2、3回に分けて加える。

[2]塩で肉を覆う

肉の表面に塩を押さえ付けながら、全面を塩で完全に覆う。

[3]冷蔵庫で塩漬け

空気を抜いて口を閉じ、ビニール袋で二重にする。脂身を下にして、冷蔵庫で5日間塩漬けする。

[4]5日後の状態 

塩の一部は溶け、残った塩も透明な状態になっている。

[5]塩を洗い流す

塩を手で落としてから流水で洗い流す。水気をペーパーで押さえてよく拭きとる。


[6]ニンニクをすりおろす

バットに肉を置き、ニンニクをすりおろす。

[7]肉にすりこむ

肉の全面にニンニクをよくすりこむ。

[8]黒コショウで覆う

バットに細かく挽いた黒コショウをたっぷり用意し、肉を置く。手の平で押さえながら表面全体を覆う。

[9]乾燥、熟成させる

網に置き、10℃以下の風通しのよい所に約1カ月置く。毎日1回上下を返し、表面が硬くなったら完成。

◆製作日数:1カ月 ◆食べ頃: 完成すぐ~2週間 ◆保存期間:チルドで2週間 


<パンチェッタ 展開例>
肉と脂の旨味が凝縮したパンチェッタは、料理に少量使うだけで生の肉とは違った、奥行きのある味わいをプラスしてくれます。

菜の花とスカモルツァ パンチェッタのクロストーネ・・・指で茎を押すとすぐに潰れるくらいやわらかく茹でた菜の花にチーズと薄切りのパンチェッタを重ねてオーブンへ。パンチェッタの脂が溶け出し、穏やかな旨味が全体を包む。

春キャベツとパンチェッタのベルッタータ・・・ベルッタータは「ビロードのような」舌触りのスープを意味する。パンチェッタの旨味を移したオリーブ油で野菜を蒸し煮にし、ムースのような滑らかさになるまでミキサーで回す。

トスカーナの肉と野菜パンのスピエディーノ・・・肉(今回は豚レバーと鶏のムネ肉)に薄切りのパンチェッタ、パン、野菜の順に串に刺し、たっぷりのオリーブ油をまわしかけて焼くトスカーナ版串焼き。カリカリになったパンも美味。



◎VENTINOVE
群馬県利根郡川場村川場谷地2593−1(土田酒造敷地内)
15:00~19:00LO(事前にウェブサイトより要予約) 
月、火曜休
JR沼田駅よりタクシーで約20分
https://www.29ventinove.com/

※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

(雑誌『料理通信』2018年4月号掲載)

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