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RECIPE

枯れない体を作る「牛スジ」レシピ【秋の薬膳/生涯現役レシピ】

Sep 26, 2022

photographs by Tsunenori Yamashita

生涯現役の秘訣は食にあります。体調に合わせて食材を選び、食事で身体の調子を整える習慣が、健康寿命を延ばします。食材の機能を生かす薬膳の知恵に着目し、薬膳料理家の村岡奈弥さんから秋に食べたいシニアミールを教わりました。

目次







村岡奈弥(むらおか なや)さん
薬膳料理研究家、中医薬膳師、国際中医師、NPO法人キャンサーリボンハウス委員。調理学校に勤務後、渡仏してフランス料理を学ぶ。国立北京中医薬大学日本分校食養・養生学科を卒業。「中医薬膳師」「国際中医師」の資格を取得。雑誌・テレビ・新聞、講演会などで薬膳を広く伝える。著書に『いつもの野菜で薬膳する! 』(講談社)、『おいしい! キヌアレシピ―アンデスのスーパーフード』(成美堂出版)など。


枯れない身体を作る秋の薬膳

秋が深まり、冷え込みが増してくると消耗しやすくなるのが腎(※)です。

腎とは、体内の水分代謝のコントロールの他、泌尿器、生殖器、ホルモン、免疫系などを司るシステムのことで、「生命エネルギーの貯蔵庫」とも称されます。

そのエネルギーを十分に蓄えて、寒さから身体を守ることが大切です。そのためには「気」と「血(けつ)」をしっかり取り込みましょう。「気」は、身体の機能を動かしたり、温めたりします。そして、「血」は身体を潤し、動かすエネルギー源となります。

今回ご紹介するのが牛スジ肉の煮込み。牛スジ肉は筋骨を強くし、「気」と「血」を補う食材です。牛スジ肉には潤いを与えてくれるコラーゲンもたっぷりで、枯れない身体づくりに貢献します。

干しシイタケとその戻し汁、レーズン、バルサミコ酢、赤ワインと共に煮込みますが、レーズン、バルサミコ酢、赤ワインの原料であるブドウは「血」を巡らせる働きのある食材。一緒に調理することで牛スジの滋養をしっかり体内に取り込むことができます。

ちなみに、枯れない身体づくりの食材としては、保湿の働きがあるナッツ類、質の良い油(オリーブオイルなど)もお薦めです。

消化促進作用のあるお茶を一緒に。

今回ご紹介しているのは、フォン・ド・ヴォーやブイヨンといった動物系のだしではなく干しシイタケの戻し汁で煮込むレシピですので、脂肪分はぐっと抑えめです。消化に負荷のかからない作り方になっていますが、ご参考までに食後の消化促進剤としてサンザシ茶を添えました。

乾燥サンザシ

サンザシには、胃の働きを高める作用があり、消化促進の効果が期待できます。酸が強いので空腹時ではなく、まさに食後がお薦め。タンパク質分解酵素を持つナシと身体を温めるシナモン(温経通絡と呼ばれる働きがあります)を合わせています。


筋骨血を補い、元気を与える。「牛すじのバルサミコ酢煮込み」

干しシイタケの戻し汁、バルサミコ酢、赤ワインで煮込んだ牛スジ肉は、コクや旨味をしっかり抱えながら、脂っこさがなく、思わず食べ進む。レーズンが味の上でもアクセントに。

【材料】(6人分)
牛スジ肉・・・600g 
干しシイタケ・・・6枚
水・・・600ml 
赤ワイン・・・200ml
ニンニク・・・1片 
レーズン・・・60g

バルサミコ酢・・・100ml 
ブロッコリー・・・適量
セルフィーユ・・・適量 
青レモンの皮・・・適量 
E.V. オリーブ油・・・適量
塩・・・適量

<準備>
・牛スジ肉は3、4cm大に切り、塩をふっておく。
・干しシイタケを水で戻し、戻し汁は取っておく。
・ブロッコリーは小房にして茹でる。

【作り方】

[1]フライパンを熱して、牛スジ肉を中火で炒める。表面をこんがり焼き付け、流れ出た脂は捨てる。

[2] 牛スジ肉を厚手鍋に移し、フライパンの鍋肌を赤ワイン50mlでデグラッセして、それも厚手鍋に入れる。残りの赤ワイン、ニンニクも加え、ひと煮立ちさせてアルコール分を飛ばす。

[3]干しシイタケの戻し汁、干しシイタケ、レーズン、バルサミコ酢を加え、クッキングペーパーで落し蓋をする。

[4]沸騰したら弱火にして、約1時間、やわらかくなるまで煮込む。

[5]冷ましてから冷蔵庫で一晩置くと、脂肪分が白く固まるので取り除く。

[6]再加熱して、塩で味を調える。

[7]皿に盛り、ブロッコリーとセルフィーユを添える。青レモンの皮をすりおろす。

【薬膳のポイント】

●牛スジ肉
筋肉や骨を強くする。気と血を補う。体液を補う。

●シイタケ
脾と腎を補ってエネルギーを増す。胃の働きを整えて食欲増進。脂質代謝を促進し、カルシウムの吸収を促進する。

●ブドウ
気と血を補う。筋肉や骨を丈夫にする。体液成分を生み、渇きやほてりを抑え、利尿作用も。


食後すっきり、消化促進。「山楂子(サンザシ)と梨のお茶」

サンザシの消化促進効果もさることながら、フルーティで爽やかな酸味が口中をすっきりさせてくれる。

【材料】(1人分)
サンザシ(乾燥)・・・6~7枚
ナシ・・・1/8 個
シナモンスティック・・・1本
熱湯・・・300ml

【作り方】
[1]ナシは皮をむいて、ポットに入れやすい大きさに切る。

[2]ティーポットにサンザシ、ナシ、シナモンを入れ、湯を注ぐ。

[3]しばらく置き、サンザシが抽出されたら、カップに注ぐ。

【薬膳のポイント】

●サンザシ
胃の働きを高める。消化を進め、胃腸の調子を整える。血流を改善し、瘀血を取り除く。

●ナシ
熱を取り除き、潤いを与えて、肺を守る。乾燥を防ぐ、栄養を与える、熱を鎮めるといった作用を持つ体液を促す。

●シナモン
経脈(身体をめぐっている脈)を温めて気血の通りを改善する。寒邪(体にとって悪影響な寒気)を取り除く。

※薬膳(中医学)では、内臓を「心」「肝」「脾」「肺」「腎」の5グループに分けて考えます。心は循環器系、肝は血液系、脾は消化器系、肺は呼吸器系、腎は生殖器系・泌尿器系を指します。 


◎村岡奈弥料理教室
https://naya-muraoka-yakuzencook.com/

(雑誌『料理通信』2019年11月号掲載)

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