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RECIPE

気を補い、身体に潤いを与える【春の薬膳/生涯現役レシピ】

2023.03.02

気を補い、身体に潤いを与える【春の薬膳/生涯現役レシピ】

photographs by Tsunenori Yamashita

連載:生涯現役レシピ

生涯現役の秘訣は食にあります。食事で身体の調子を整える習慣が、健康寿命を延ばします。食材が持つパワーを知って、上手に日々の食事に生かしましょう。薬膳料理家の村岡奈弥さんから春に食べたいシニアミールを教わりました。

目次






村岡奈弥

村岡奈弥(むらおか なや)さん
薬膳料理研究家、中医薬膳師、国際中医師、NPO法人キャンサーリボンハウス委員。調理学校に勤務後、渡仏してフランス料理を学ぶ。国立北京中医薬大学日本分校食養・養生学科を卒業。「中医薬膳師」「国際中医師」の資格を取得。雑誌・テレビ・新聞、講演会などで薬膳を広く伝える。著書に『いつもの野菜で薬膳する! 』(講談社)、『おいしい! キヌアレシピ―アンデスのスーパーフード』(成美堂出版)など。


“陽の気が高まる季節に、陰の食材を適度に摂る”春の薬膳

鶏肉の効能は、「補気、温中、益精、填髄」。気力を補い、お腹を温め、精を付けてくれる食材です。中医学において「精」は成長、発育、生殖、老化に関わるとされます。「精」は「髄」を作り、「髄」は「骨」を養う。積極的に摂りたいシニアミールと言えますね。

さらに鶏肉をお薦めしたいポイントが“ゆるやかにやさしく”効く点。「効く薬ほど副作用が強い」と言われるように、目覚ましい効果は身体への負担も大きくなります。その点、鶏肉の効能はじわじわと蓄えられていくタイプのもので、そこがいい。不純物や脂をしっかり取り除いてクリアに仕上げると、吸収しやすく身体に負担をかけません。

春は眠っていた身体が動き出す季節です。様々な物事は陰と陽のバランスで成り立っていると考えられますが、陰の気が強い冬から陽の気が高まる夏へと移行していく春は、陽の気が高まるからこそ陰の食材を摂ってバランスを取りたい季節。そんな陰の食材の代表格が卵です。身体に潤いを与え、血を補い、精神を安定させる助けとなります。生命の源でもありますから、この季節、ぜひ食卓に上げてください。

透明に仕上げて身体に負荷をかけない「鶏のスープ」

鶏のスープ

【材料(作りやすい量)】
骨付き鶏モモ肉(ブツ切り)・・・2本分
長ネギ(青い部分)・・・1本分
ショウガ(薄切り)・・・5g(3枚)
ニンニク(芽を取る)・・・1/2片 
水・・・1.5リットル
オリーブ油・・・適量
塩・・・適量

【作り方】
[1] 鶏肉に塩をふり、20 分ほど置く。水気が浮いてくるので、よく拭き取る。

[2] 鍋にオリーブ油を熱し、鶏肉の表面に焼き色を付ける。
POINT:表面を焼くのは、脂や不純物を焼き溶かし、香ばしくするため。湯通しして取り除く方法でもよい。

[3] 水を注ぎ、長ネギ、ショウガ、ニンニクを入れて強火にかけ、沸騰したら、アクを取り除いて弱火にする。

[4] 煮立たせず、水面が微笑む火加減を維持して1時間半ほど煮る。香味野菜を取り出して、塩で味を調える。

[5] タッパーなどに入れて冷蔵庫や冷凍庫で保存する。
POINT:野菜を足してカレーやシチュー、中華風煮物などに展開できる。


お腹を温め、気力と活力を与えてくれる。「鶏と春の豆のスープ ハーブクリーム添え」

鶏と春の豆のスープ ハーブクリーム添え

最小限の調味ながら鶏の滋味がじんわりと広がり、全身に沁み通る。青々とした豆が春の味わい。香草クリームがフレッシュ感を添える。

【材料(4人分)】
鶏のスープ・・・適量
スナップエンドウ・・・8莢
ソラマメ・・・8莢 
グリーンピース・・・8莢

<ハーブクリーム>
酢・・・小さじ2
レフォール(おろす)・・・大さじ2
エシャロット(みじん切り)・・・大さじ1
生クリーム(6分立て)・・・大さじ4
セルフィーユ(みじん切り)・・・小さじ2
ディル(みじん切り)・・・小さじ2
バジル(みじん切り)・・・小さじ2
塩・・・小さじ1/4
*上から順に混ぜ合わせる

【作り方】
[1] スナップエンドウは筋を取ってゆがき、冷水に取って冷ます。ソラマメとグリーンピースは莢から出してゆがき、冷水に取って冷ます。

[2] 鶏のスープを必要分だけ鍋に取って1を加えて温める。

[3] 器によそって、ハーブクリームを添える。

【薬膳のポイント】
●鶏肉
お腹を温めて、消化を助け、気を補い、元気にしてくれる。

●豆類
水分代謝を助け、余分な水分を排出させ、胃腸の働きを良くする。


代謝を高め、気持ちも身体も伸びやかに。「アスパラガスのソテー スクランブルエッグソース」

アスパラガスのソテー スクランブルエッグソース

アスパラガスを茹でずに炒めてフレッシュ感と食感を大切に仕上げる。スクランブルエッグ状のソースを絡めて。黒オリーブがアクセント。

【材料(2人分)】
グリーンアスパラガス・・・6本
卵・・・4個
生クリーム・・・大さじ1
塩・・・適量
オリーブ油・・・適量
黒オリーブ・・・2個

【作り方】
[1] グリーンアスパラガスは硬い部分をピーラーで剥き、4等分する。

[2] 卵を溶きほぐし、生クリーム、塩を加えて、かき混ぜる。

[3] 厚手鍋に油を熱し、2を流し入れて、絶えずかき混ぜながら弱火で加熱する。トロトロになったら、鍋ごと冷水に当てて、混ぜながら粗熱を取る。

[4] 中華鍋(フライパンでも可)に油を熱して、塩を軽く振り入れてからアスパラガスを炒める。鍋肌から水大さじ2(分量外)を回しかけ、蒸気で火を通す。切り口が半透明になれば、火が通った印。

[5] 器にアスパラガスを盛り、スクランブルエッグを流す。黒オリーブを細かく切って散らす。

【薬膳のポイント】
●卵
身体に潤いを与え、血を補って、貧血改善、体力回復をはかる。精神を安定させる助けにも。

●グリーンアスパラガス
水分代謝を促し、身体の余分な熱を取る。新陳代謝を高め、疲れを取る。


◎村岡奈弥料理教室
https://naya-muraoka-yakuzencook.com/

(雑誌『料理通信』2019年4月号掲載)

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