もっちりコシのある生地で具材を包む「家常餅(ジアチャンピン)」
フェーズフリーな食材レシピ:中力粉
2023.09.28
photographs by Masahiro Goda
乾物や漬物など常温で長期保存でき、ビタミンやミネラルなど栄養価の高い食材は、買い物に行けない日に便利なだけでなく、備蓄食品としても優れもの。普段から使い慣れておくことで、災害時にも役立ちます。9月は防災月間。「いつも」と「もしも」をつなぐ“フェーズフリー”*な食材をおいしく活用するレシピをシェフに教わります。
常備したい食材:中力粉
教えてくれたシェフ:
東京・学芸大学「ピセロ」店主・麦野詩碧さん
小麦粉料理を台湾の専門学校で学び、2005年に点心、饅頭の専門販売店「ピセロ」を開業。2010年にシュウマイ×ワインBARとしてイートインも開始。オーダーメイドのケータリングも人気。
水の温度でグルテンをコントロール
粉と水(と塩)さえあれば、特別な道具がなくてもできる台湾や中国の粉もの料理。小麦粉のタンパク質が熱で変化する性質を理解すると、水餃子、焼き餃子、蒸し餃子他、様々なタイプの生地を作ることができます。
ポイントは、加える水の温度。軽食やおやつとして家庭で食べられている「家常餅(ジアチャンピン)」は、卵焼きなど具材をホールドする“皮感”を出すために45℃のぬるま湯を加えます。適度にグルテンを出して弾力性を高めつつ、柔らかな生地に仕上げることができますよ。
「家常餅(ジアチャンピン)」材料と作り方
[材料](3枚分)
中力粉・・・300g
塩・・・小さじ1/2
温水(45℃)・・・180g
サラダ油・・・適量
<材料のポイント>
強力粉はグルテンが強いので皮が硬くなる。薄力粉は餡を包むと破れる恐れがあり不向きなので、中力粉がおすすめ。入手できない場合は、強力粉と薄力粉を1:1の割合でブレンドする。割合を変えて好みの食感にしてもよい。
[作り方]
[1]材料を混ぜる
ボウルに粉、塩を入れて箸で混ぜる。混ぜながら45℃の温水をゆっくり注ぐ。
POINT:45℃はグルテンを形成し弾力を出す温度。
[2]生地をまとめる
ある程度塊ができたら手でまとめる。ボウルや手に付いた粉が取れたら丸くまとめる。
[3]休ませる
ラップをかぶせて30 分休ませる。
POINT:つきたての餅のように軟らかくなる。
[4]分割する
多めに打ち粉をした台に生地を取り出す。手で引っ張って棒状に伸ばし、三等分に分割する。
POINT:軟らかいので引っ張って伸ばせる。
[5]丸く伸ばす
麺棒で丸く伸ばし、表面に油を塗る。
[6]巻く
中心に向かって包丁で切れ目を1カ所入れて巻く。
POINT:油と生地の層を作る。
[7]円錐の底をとじる
生地を円錐型に巻き、底は、外側の生地を伸ばしてとじる。
[8]平らにして休ませる
手の平で上から押さえて平らにし、ラップをして5分程度休ませる。
POINT:休ませて伸ばしやすくする。
[9]綿棒で伸ばす
麺棒で1mm の厚さに丸く伸ばす。
POINT:最初から麺棒を転がさず、上から押し付けて徐々に生地を広げると丸く成形できる。
[10]焼く
熱したフライパンにのせ、蓋をして焼く。焼き色がついたら返し、同様に焼く。両面に油を塗って、色よく焼く。
◎ピセロ
東京都目黒区鷹番3-19-19
☎03-3760-8860
18:00~22:00LO
日曜休、不定休
東急線学芸大学駅より徒歩4分
https://pisero2017.wordpress.com/
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
*フェーズフリー(Phase Free)は、防災の専門家として活動を続けてきた佐藤唯行氏が2014年に提唱した考え方。
(雑誌『料理通信』2020年3月号掲載)
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