卵を使わない。豆乳で作る、自家製「ビーガンマヨネーズ」
プラントベースの始め方30
2023.05.01
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photographs by Tsunenori Yamashita
連載:プラントベースの始め方
健康や環境への配慮から、植物性の食材を主体とする“プラントベース(Plant Based)”な食事法が注目されています。肉や魚や乳製品に頼らずとも「おいしい」料理を作る知恵は、世界各地に存在します。身近なレシピからおいしくプラントベースを始めるヒントを紹介します。
教えてくれたシェフ
東京・高円寺「トリツカレ男」一瀬智久さん
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人気スペインバル「三鷹バル」を閉店後、2017年、タパスや自家製パン、ワイン、日本酒などを楽しめる高円寺のスタンディングバー「トリツカレ男(おとこ)」を開店。ビ―ガン料理は「三鷹バル」時代に、尊敬するランナーの影響で作り始める。「さっぱりしているように見えて、実は食べ応えあるマヨネーズです」
生クリームのようなふわっと感と、穏やかな酸味
マヨネーズは、卵を使う通常のものと、豆乳を使ったビーガン対応の2つを自家製し、使い分けています。卵を使うマヨネーズは、黄身の強いコクに合わせて、酢を多めに加えますが、豆乳マヨネーズは大豆のコクが控えめ。バランスをとるために少量にします。大豆の上品な旨味が生き、味の刺激は少ない。直接加熱するオーブン料理には向きませんが、逆に優しい風味なので様々な味のアレンジができる。これが楽しい。
紹介するパプリカや黒ゴマの他、角切りトマトやショウガ、麻炭パウダーなど気になる食材をブレンドして。新しい味の発見があります。生クリームにも似ているのでデザートにも。野菜のグリル、和え物、サラダ・・・シンプルに素材の味を生かした料理に合う調味料です。
作り方は、ひたすら混ぜる。分離しやすいので、電動のブレンダーを使います。油はオリーブ油より、コクのある菜種油がいい。トロミが少ないので、滑らかに仕上げたいポテトサラダなどは、多めに加えます。
マヨネーズは家庭でも使う頻度が高い調味料。アレンジできれば、料理のレパートリーもぐんと広がりますよ。
<植物性食材だけでおいしくなるコツ>
1 手動の泡立て器ではなく、電動のブレンダーを使う。
2 油は少量ずつ加える。
3 酢を加えたら、固まる前に手早く撹拌する。
「ビーガンマヨネーズ」の作り方
[材 料](作りやすい分量)
豆乳・・・75g
菜種油・・・120ml
アガべシロップ(またはメープルシロップ)・・・小さじ1/3
酢(または白ワインビネガー)・・・5ml
塩・・・適量
[道具のポイント]
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道具は電動を選ぶ。ビーガンマヨネーズは卵が入らないので分離しやすい。泡立て器よりもブレンダーを使う方が手軽で確実。
[アレンジのポイント]
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アレンジは自在。パプリカ、ニンニク、黒ゴマのほか、ショウガや好みのハーブを加えても。穏やかな酸味のビーガンマヨネーズはアレンジの幅も広い。
[1]油と酢以外の材料を合わせる
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容器に豆乳と塩、アガベシロップを入れる。
[2]混ぜる
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ブレンダーで、4秒ほど軽く撹拌する。
[3]少量ずつ、油を加える
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油を少量(分量の1/5 程度)加え、10 秒ほど馴染むまで撹拌する。
[4]さらに油を少しずつ
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3を4回繰り返す。最後に20 秒ほど、とろりと滑らかになるまで撹拌する。
[5]酢を一度に加え、ポマード状に
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酢を一気に加え、すぐに10 秒ほど撹拌する。全体が均一にポマード状になったら、完成。冷蔵で1週間保存可能。
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「焼きリンゴビーガンマヨネーズ」。シナモンをたっぷりふった焼きリンゴに、生クリームの代わりにビーガンマヨネーズをトッピングし、コクをプラス。濃厚で食べ応えのある一品。
<ビーガンマヨネーズ展開例>
少量の酢で仕上がるビーガンマヨネーズは、刺激が少なく、大豆の穏やかな旨味が魅力。味を壊さないよう、加熱せずに活用して。
パプリカマヨネーズに
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完成したマヨネーズの分量に対してパプリカパウダー(小さじ1)を加えて、ヘラで混ぜる。
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「カブのグリル パプリカマヨネーズ」焼き目が香ばしいカブのグリルは、すっきりした甘みが引き立つ。赤パプリカのマヨネーズを添えて、見た目も春らしい一品に。
黒ゴママヨネーズに
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黒ゴマペーストをマヨネーズと1:3 の比率で加えて、ヘラで混ぜる
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「春菊とナッツのサラダ 黒ゴママヨネーズ」。シャキシャキの食感が楽しい春菊のサラダ。黒ゴマのコクとナッツの香ばしさがシンプルなサラダをひとつ上の味に仕上げる。
ニンニクマヨネーズに
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完成したマヨネーズの分量に対してすりおろしたニンニク(1/4片)を加えて、ヘラで混ぜる。
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「ポテトサラダ ニンニクマヨネーズ」。皮ごと蒸して、ジャガイモの甘さを引き出したポテトサラダ。こっくりしたニンニクマヨネーズに爽やかなパセリがフレッシュなアクセント。
タルタルソースに
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タマネギ、オリーブ(ともに粗みじん切り)をマヨネーズの1/4量ずつ加えて、ヘラで混ぜる。
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「ベジミートのカツレツタルタルソース」。しっかり下味を付けた大豆ミートを揚げ焼きしたカツレツ。オリーブとタマネギの酸味で、軽い口当たりにしたタルタルソースを添えて。サンドイッチの具にも◎。
◎トリツカレ男
東京都杉並区高円寺北3-2-19
18:00~24:00
無休
JR高円寺駅より徒歩3分
Instagram:@ toritukareotoko
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2016年4月号掲載)
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