伊ジェノヴァのストリートフード。縁はカリッ、中はふわトロッ「ファリナータ」
プラントベースの始め方31
2023.06.12
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photographs by Hide Urabe
連載:プラントベースの始め方
健康や環境への配慮から、植物性の食材を主体とする“プラントベース(Plant Based)”な食事法が注目されています。肉や魚や乳製品に頼らずとも「おいしい」料理を作る知恵は、世界各地に存在します。身近なレシピからおいしくプラントベースを始めるヒントを紹介します。
教えてくれたシェフ
東京・四谷「オステリア デッロ スクード」小池教之シェフ
麻布十番「ラ・コメータ」などで働いた後、2003年渡伊。ピエモンテ、トレンティーノ=アルト・アディジェ、プーリア、シチリア、カンパーニャ、ウンブリアなど、計7軒で修業。帰国後、広尾「インカント」シェフに就任。18年現店開店。イタリア全州の中から、約3カ月半ごとに1つの地域の料理とお酒のメニュー提供する。
表面はカリッと、中はトロリ
ファリナータは、ヒヨコ豆の粉とオリーブオイル、水、塩を混ぜて鉄板に流し込み、薪窯で焼いたストリートフード。
南仏からトスカーナ州の沿岸部あたりまで、広く食べられていますが、代表格はリグーリア州ジェノヴァ。同じ材料でも、生地を練って揚げると「パニッサ」になり、シチリアでは「パネッレ」と呼ばれます。
レシピでは、粉に対して水の量が多いので、水分の半量を加えたところでよく混ぜ、水分に粉を溶かし込みます。混ぜたばかりの生地は泡立っているので、少なくとも3時間以上は置いて。焼く前に泡をすくい、よく混ぜてから使います。
ジェノヴァのファリナータ屋のおばちゃんに作り方を見せてもらいました。地元にはプレーンタイプの他、チーズ、ワケギ、フェンネルシード、シラスなどのバリエーションもあります。
<植物性食材だけでおいしくなるコツ>
1 粉はよくふるっておく
2 水は半量ずつ粉に注ぎ、よく混ぜる
3 生地は、焼く前に3時間以上おく
「ファリナータ」の作り方
[材 料(約4枚分)]
ヒヨコ豆の粉・・・200g
塩・・・8g
水・・・650g
E.V.オリーブ油(タジャスカ)・・・130g
ピーナッツ油※・・・適量
※ナッツの香ばしさをプラスするため。クルミ油などでもよい。なければサラダ油でも可
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[1]粉類と半量の水を混ぜる
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ボウルにふるったヒヨコ豆の粉、塩を入れ、中央に水を少しずつ注ぎ入れ、ホイッパーで周囲の粉を崩すようにして混ぜる。
POINT:ヒヨコ豆の粉は粒子が細かいので、よくふるっておく。
[2]よく混ぜる
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水の半量が入ったら、ホイッパーで円を描くようにしてよく混ぜる。スパイス等を入れる場合はここで。
POINT:ヒヨコ豆にはグルテンがないので、練っても生地が硬くなることはない。
[3]残りの水も加えて混ぜ、休ませる
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ヒヨコ豆の粉と水がしっかり混ざったら、残りの水を加え、さらにホイッパーで混ぜながらオリーブ油を少量ずつ加える。冷蔵庫で一晩休ませる。
[4]フライパンで焼き、250℃のオーブンで火を通す
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フライパンにピーナッツ油を熱し、生地を1枚につき約200g 流し入れる。周囲が固まってきたら250℃のオーブンに入れる。
[5]再びフライパンで焼き色をつける
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表面が固まり薄く色づいてきたらオーブンから出して火にかけ、生地の底に焼き色をつける。
POINT:フライパンに生地がつく場合は、周囲から少量の油を注ぎ入れる
[6]裏面も焼く
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バットを使い生地を裏返す。周囲がカリッとし、焼き色がつくまで焼く。適当な大きさに切り分ける。
◎オステリア デッロ スクード
東京都新宿区若葉1-1-19 Shuwa house101
☎03-6380-1922
19:00(一斉スタート)~22:30
土曜、祝日 18:15(一斉スタート)~21:30
日曜、不定休
東京メトロ四谷三丁目駅より徒歩4分
https://www.osteriadelloscudo.net/
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2012年10月号掲載)
◎掲載号はこちら
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