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RECIPE

大根と梅でサッパリ。江戸料理をヒントにした箸休め「浦里」

パワーオフ・レシピ

2023.08.03

大根と梅でサッパリ。江戸料理をヒントにした箸休め「浦里」

photograph by Tsunenori Yamashita

連載:パワーオフ・レシピ

エアコンの使用などで家庭での電気使用量が急増する夏。一人ひとりがエネルギー消費の節約に取り組むことが気候変動抑制につながることから、電気やガスを使わなくてもおいしく作ることができる「パワーオフ・レシピ」をシェフに教わります。暑い日に台所で火を使いたくないときはもちろん、知っておくとガスや電気が止まった災害時やアウトドアでも役立ちます。電気・ガス代が過去最高水準になっている今、家計防衛術としてもレパートリーに取り入れたいレシピです。

教えてくれた人
東京・吉祥寺「にほん酒や」高谷謙一さん

高谷謙一さん

「にほん酒や」店主。青森県出身。システムエンジニアを経て飲食業界へ転向。約10年の飲食店勤務の後、2009年、吉祥寺に現店をオープン。日本各地の蔵元が丹精込めて造る日本酒を多数扱い、和と郷土料理をベースにしたオリジナルのつまみにも定評がある。牡蠣の塩辛や生カラスミなどの酒のアテはもちろん、すし酢やウスターソースなど一部調味料も手作りする。


脱水処理で時間がたっても味がぼけない

縦横無尽なつまみと日本酒の店「にほん酒や」のメニューには、江戸料理が普通の顔をして鎮座する。
「“江戸料理”をテーマにイベントを企画した時、作ってみたら発見が多かった」と店主の高谷謙一さん。変わったことはしないけれど、切り方や見せ方で今ある食材を楽しむ発想が、日々のメニューを考える際のヒントになっている。
ガスをひねれば火が点く現代と違い、炭火を熾し、燃料も貴重だった江戸時代。切って和えるだけ、さっと煮て冷ましながら味を染み込ませる料理は、時短、節約レシピでもある。

定番メニューの「浦里(うらさと)」は、大根を粗くおろして歯触りを残し、塩をして水分を抜いてから和えることで、時間がたっても味がぼやけない工夫を施している。
現代の食卓にそのまま生かしたい江戸レシピ、食べてみると不思議なくらい、懐かしい味がした。

「浦里」材料と作り方

[材料](作りやすい分量)
大根・・・1/2本
塩・・・小さじ1
梅干(甘味のない塩分10%以上のもの)・・・大4個
鰹節・・・ 1/2つかみ
大葉・・・20枚
白ゴマ・・・適量

[作り方]
[1]大根をおろす
大根の皮を剥き、鬼おろしで粗くおろす。

[2]大根の水分を抜く
塩をまぶして1時間ほどおき、水がひたひたまで上がったら水を切る。
POINT: 大根を粗めにおろし、水分を抜いておくと時間がたっても味がぼやけない。

[3]和える
梅干の種をとって叩いた梅肉、鰹節、5ミリ幅に切った大葉と和える。

[4]盛り付ける
器に盛り、白ゴマを散らす。

「にほん酒や」の定番メニュー。鬼おろしで粗くおろした大根の歯触りが、箸休めにぴったり。

「にほん酒や」の定番メニュー。鬼おろしで粗くおろした大根の歯触りが、箸休めにぴったり。



◎にほん酒や
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-7-13 1F
☎0422-20-1722
17:00~22:00(土、日曜、祝日13:00~21:00)
木曜休
JR、京王線吉祥寺駅より徒歩8分
http://web-farmer.jp/

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

(雑誌『料理通信』2014年8月号掲載)

いつもの生活で、エネルギー消費量を減らしてみる
今日からできる気候変動へのアクション

気候変動へのアクション

国連広報センターが「SDGメディア・コンパクト」に加盟する日本のメディア有志とともに、気候変動対策のアクションを呼び掛けるキャンペーン「1.5℃の約束 – いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」を実施しています。料理通信はこのキャンペーンに参加し、食にかかわる気候変動への取り組みを国内外から紹介しています。

●ActNow! 今すぐできる『10の行動』

「ActNow」は、個人レベルでの気候アクションをグローバルに呼びかける国連のキャンペーン。どんなことが気候変動の抑制に役立つのか、身近な行動を10項目挙げています。「家庭で節電する」では、家庭で毎日の生活のなかのエネルギー消費量を減らすことが気候変動の防止に役立つとされています。

家庭で節電する

家庭で節電する
私たちが使用する電力や熱の大部分は、石炭や石油、ガスを燃料としています。冷暖房の使用を控え、LED電球や省エネタイプの電化製品に取り替え、冷水で洗濯し、乾燥機を使わずに干して乾燥させてエネルギー消費量を減らしましょう。

(国連・ActNowキャンペーン:気候変動の抑制に対して個人でできる『10の行動』より)
イラスト:Niccolo Canova

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