2日目のパスタをおいしく食べる、イタリアのマンマの知恵レシピ
レスキューレシピ【捨てないレシピ編】
2022.10.20
photographs by Hide Urabe
連載:レスキューレシピ
日本の食品ロス量は年間570万トン*と言われています。生鮮食品においても、豊作で余ったり、規格外、傷、スレがあって売り物にならず、行き場のない食品が日々廃棄されているのです。家庭内で料理中に出る端材や余らせがちなパーツも、新たな魅力を見出し、活用法を考えることで捨てる量を減らせます。食材を無駄にせず、おいしく食べるための活用術をシェフの技に学びます。
*農林水産省「日本の食品ロスの状況」(令和元年度)
目次
- ■教えてくれたシェフ:東京・白金「タランテッラ ダ ルイジ」寺床雄一さん
- ■余ったパスタ活用術
- ■「フリッタータ ディ マッケローニ」の材料と作り方
- ■中途半端に残ったパスタをミックス「パスタ・エ・ファジョーリ コティケ・エ・コッツェ」の材料と作り方
- ■「タランテッラ ダ ルイジ」店舗情報
教えてくれたシェフ:東京・白金「タランテッラ ダ ルイジ」寺床雄一さん
20歳で渡伊。ナポリの老舗ピッツェリアから「ダル・ペスカトーレ」、「ドン・アルフォンソ1890」など高級リストランテまで、イタリア各地で7年半修業。帰国後、2011年に現店をオープン。ナポリやサルデーニャを中心に、郷土料理や家庭料理にも精通する。
余ったパスタ活用術
パスタをゆでたものの、食べきれず、残ってしまうことがありますね。「伸びてしまったから・・・」と捨ててしまうのはもったいない。イタリアには余ったパスタを翌日もおいしく食べる料理があります。
「フリッタータ ディ マッケローニ」はゆでたマッケローニに卵とおろしたチーズを加えて混ぜ、フライパンでオムレツのように焼きます。パスタの種類はなんでもよく、残ったパスタでももちろん、構いません。多めの油で表面を揚げるように焼き、カリッと香ばしくなったパスタにはまた違ったおいしさがあります。2日目のパスタをおいしく食べるマンマの知恵が生きた料理ですね。
ゆでたけれど余ってしまったパスタは卵とチーズを加えてアップサイクル! カリっと揚げ焼きして新たな食感に。
もう一品、マンマの知恵を。乾燥パスタは長期保存できて便利ですが、全部を使いきれず、一食分には足りない、微妙な量のパスタが袋に残ってしまうことはありませんか? 同じ種類のパスタなら余ったものをまとめて使えますが、ショートパスタなどいろんな種類が少しずつ余ると、使い道がなくていつまでも戸棚に残ってしまいがちです。そんなときはすべてミックスして、煮込み料理に使いましょう。
「パスタ・エ・ファジョーリ コティケ・エ・コッツェ」は、白インゲン豆にパスタを加えて煮込む料理。すべてのパスタに火が通ればよく、パスタによるゆで時間の違いは気にしなくていいのです。マメや貝の旨味を吸った、いろんな種類のパスタが混じり合い、食感の違いを楽しめます。
「フリッタータ ディ マッケローニ」の材料と作り方
[材料](1皿分)
ゆでたスパゲットーニ(余ったパスタでよい)・・・200g
卵・・・2個
ペコリーノ・ロマーノ(またはパルミジャーノ・レッジャーノ)・・・70g
バター・・・20g
オリーブ油・・・20g
塩、黒コショウ・・・各適量
[作り方]
[1]ボウルにパスタ、卵、塩、おろしたチーズを入れて混ぜ合わせる。
[2]フライパンにバターとオリーブ油を入れて 火にかけ、温める。1を加えて平たく伸ばし、弱火にして蓋をする。表面を焼き固める。
POINT:表面がしっかりカリッとなるように、多めの油で揚げるように焼く。
[3]キツネ色に焼けたら裏返して 反対側も同様に焼く。
[4]皿に盛りつけ、たっぷりの黒コショウ、パルミジャーノをふる。バジルを飾る(分量外)。
中途半端に残ったパスタをミックス「パスタ・エ・ファジョーリ コティケ・エ・コッツェ」の材料と作り方
豆にミックスパスタを加えて煮込み、とろりとしたスープに。豆や貝の旨味を吸った、いろんなパスタが混ざり合い、食感に変化を付ける。
[材料](4皿分)
ミックスパスタ(余ったもの)・・・100g
白インゲン豆(またはウズラ豆)・・・120g
ムール貝・・・20粒程度
ニンジン(さいの目切り)・・・15g
タマネギ(さいの目切り)・・・15g
ローリエ・・・1枚
黒コショウ(粒)・・・0.5g
ゆでた豚の皮*(またはラルド、生ハム、パンチェッタ)・・・25g
ニンニク・・・1片
チェリートマト・・・5個
イタリアンパセリ・・・5g
オリーブ油・・・適量
*豚の皮(200g)、ローリエ、イタリアンパセリ、タマネギ、ニンジン(各適量)、レモン1/2個を鍋に入れ、ひたひたの水を加えてやわらかくなるまで煮る。
[作り方]
[1]白インゲン豆は一晩水に浸けて戻す。
[2]鍋に戻し汁ごと1を入れ、ニンジン、タマネギ、 ローリエ、コショウを加えて火にかける。豆が完全にやわらかくなるまで煮る。
[3]ローリエを取り出す。1/3の豆を取り分ける。残りの豆をミキサーにかけてピュレ状にする。
[4]豚の皮を厚さ5mmのざく切りにする。
[5]鍋に、取り分けておいた豆、ローリエ、3のピュレ、4を入れて中火にかけ、ミックスパスタをそのまま加える。
[6]7分煮込んだらムール貝を加える。
[7]別の鍋にニンニク、トマト、パセリ、オリーブ油を入れて弱火にかけ、油に香りを移す。
[8]7を6に加えて混ぜる。
[9]パスタにすべて火が通ったら、塩、黒コショウで味を調える。皿に盛り、パセリのみじん切り、E.V.オリーブ油をたっぷり 回しかける(すべて分量外)。
「タランテッラ ダ ルイジ」店舗情報
◎タランテッラ ダ ルイジ
東京都港区白金3-22-2
☎03-6408-5552
12:00~14:00LO
18:00~23:00LO
(日曜、祝日~22:00LO)
不定休
東京メトロ、都営線白金高輪駅より徒歩5分
http://tarantella-da-luigi.com/shopinfo/
※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2016年10月号掲載)
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