透明感あるスパイス使いでキノコの旨味を引き立てる「シイタケ炒め」
レスキューレシピ【スパイス編】
2023.11.24
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photographs by Sai Santo
連載:レスキューレシピ
日本の食品ロス量は年間570万トン*と言われています。生鮮食品を無駄にしないだけでなく、保存性の高い調味料や乾物なども、おいしく食べきる活用方法を知ることで捨てる量を減らせます。今回は、使い切れないことも多い〈スパイス〉に注目し、スパイス使いが上手なシェフたちから料理やスイーツでの活用術を教わります。
*農林水産省「日本の食品ロスの状況(令和元年度)」
目次
- ■教えてくれた人:東京・新井薬師「マロロガバワン」礒邊和敬さん、麻由さん
- ■スパイス × 油 × 塩で味を決める
- ■「シイタケ炒め」材料と作り方
- ■スパイス×ドリンク編「スパイスサングリア」
- ■「マロロガバワン」の店舗情報
教えてくれた人:東京・新井薬師「マロロガバワン」礒邊和敬さん、麻由さん
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和敬さんはイタリアン等を経て東京・高幡不動「インド食堂アンジュナ」へ。南インド料理店「エリックサウス」で麻由さんと出会い、2019年に2人で独立。カウンターメインのカジュアルな雰囲気で、本格インド料理をはじめスパイスを使ったつまみと酒が楽しめる現店をオープン。
スパイス × 油 × 塩で味を決める
南インド料理の名店「エリックサウス」の厨房を長く支えた礒邊和敬さん。店の後輩だった妻・麻由さんと独立後開いたのは「スパイス呑み」の店だ。毎日通えるよう「インドに限らず色んな料理で」、楽に呑める匙加減に落とし込む。
スパイス使いで気を付けるのは、食べ疲れないようにすること。スパイスの香味は食べ進む中で、舌や鼻腔、喉元や胃に積もっていき、日本人には辛いこともあるからだ。スパイス単品使いのつまみから20種強の合わせ技まで濃淡幅広く。「南インド的つまみ」だという「シイタケ炒め」は、スパイスを4種類に絞って透明感を出し、キノコの旨味が主役に立つ潔い味わいに。
おいしさの決め手はスパイスと油、塩の関係値。油や塩が足りないと苦味が立ちやすいので、思い切りよく行こう。また「少し慣れてくると、好きなスパイスをつい立たせがちだけど、何を使っているかわからない位が結局おいしい」と和敬さん。「うまくハモる」には各スパイスの適切な火入れも大事だ。
「シイタケ炒め」材料と作り方
[材料](作りやすい量)
シイタケ・・・280g
カレーリーフ・・・1本半
油・・・50~60g
マスタードシード・・・2g
唐辛子・・・2g
ウラドダール・・・3g
塩・・・5g
【スパイス使いのポイント】
この4種を揃えておけば南インドの味に!
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マスタードシード+唐辛子+ウラドダール+カレーリーフで南インドの香りが出現。油に香りを移して使う。
[作り方]
[1]シイタケを切る
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シイタケは軸を外し厚さ1㎝前後にスライスし、ボウルに入れる。カレーリーフは枝から外し、シイタケの上にのせる。
POINT:リーフを加えた直後にシイタケを加えたいので、写真のようにボウルにのせ、ボウルを裏返すようにフライパンに入れるとよい。
[2]マスタードシードの香りを出す
深めのフライパンに油とマスタードシードを加え、中弱火で熱する。
[3]ウラドダールを加える
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投入して1分弱。シードからシュワシュワと泡が立ってきたら唐辛子とウラドダールを加える。
POINT:ダールは食感、カレーリーフは甘い香り、マスタードシードは香味、唐辛子は辛味。スパイスごとに役割があり、本領発揮する火入れの時間は異なる。仕上がりが揃うように、逆算して投入。
[4]スパイスに火を入れる
火を少し弱めて、気持ちゆっくり火を入れていく。
[5]シイタケとリーフを入れる
ダールがしっかり色づいたら、1のボウルをフライパンにあけてしんなりするまでじっくり炒める。
[6]味を決める
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シイタケが透き通ってきたら火を止め、塩で味を決める。
POINT:スパイス、油、塩。この3つのバランスが少しでも崩れると、苦味が立ちすぎたり、ぼやけるので注意する。思い切りよく使う方がおすすめ。
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透明感のあるスパイス使いで、キノコの旨味が際立つ。
スパイス×ドリンク編「スパイスサングリア」
[材料](10~11杯分)
サクランボ・・・11粒
リンゴ(一口大にカット)・・・1/2個
レモン(スライス)・・・1個
白ワイン・・・1L
砂糖・・・75g
ハチミツ・・・30g
メース、シナモン、コリアンダー・・・各1つまみ
クローブ・・・2本
[作り方]
[1]加熱する
鍋にサクランボ以外の材料を入れ、火にかける。
[2]サクランボを入れて冷ます
ひと煮立ちさせたらサクランボを入れてすぐに火を止め、そのまま冷ます。
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さっぱり甘酸っぱくスパイス感はほんのり!
「マロロガバワン」の店舗情報
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◎MAROLOGA bhavan(マロロガバワン)
東京都中野区新井1-35-12
☎080-8150-3523
火曜、水曜11:00~16:00
木曜、金曜11:00~15:00、18:00~21:00LO
土曜11:00~15:00、17:00~20:00LO
日曜11:00~18:00LO
月曜休、火曜不定休
西武新宿線新井薬師前駅より徒歩5分
https://marologa.mystrikingly.com/
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2020年9月・10月合併号掲載)
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