HOME 〉

JOURNAL

〉

JOURNAL / JAPAN





日本 [兵庫]

鍋で味わう「豊穣の国・はりま」の魅力

Journal / JapanJan. 5, 2019

text by Rieko Seto / photographs by Jun Kozai

播州とも呼ばれ、多彩な風土・歴史・文化をもつ兵庫県西部の播磨地域。
美味を生む風土と手仕事が詰まった鍋5選を紹介します。

【豊穣の国・はりまの鍋1】
朝獲れの海の幸を贅沢に味わうしゃぶしゃぶ鍋

家島「じゃこ鍋」



締めは魚介のだしで食べる素麺!

“じゃこ" とは、市場に出荷できない小さな雑魚のこと。しかしこの鍋に入るのは、刺身でも味わえる坊勢サバに、勢いよく跳ねる足赤エビ、伝助アナゴ、坊勢ガニ、カワハギ、コチなど、あっと驚く高級魚ばかり! 「4番バッターばかりで、名前とのギャップも面白いでしょ」と、考案した料理旅館「おかべ」のご主人、岡部賀胤さんは笑う。地元の漁師が“じゃこ" をごった煮にして食べていたことをヒントに、約20年前から作り始め、「せっかくならば家島の高級魚を入れよう」と磨きをかけるうち、今のような豪華な鍋に。鮮度もピカイチで、地元でその日に揚がった魚を提供直前に締めるから、さっとだし汁にくぐらせて、しゃぶしゃぶ風に味わえる。野菜に隠れて煮えすぎたり、身が崩れたりしないように魚に串を刺し、自家製ポン酢とともにショウガ醤油を添えるのは、姫路名物の姫路おでんに倣ったスタイルだ。
締めには、播磨伝統の手延素麺「揖保乃糸」を鍋の中へ。小麦粉に赤穂の塩、水を加えて生地をこね、計24本もの麺帯をねじり合わせて、熟成を繰り返しながら徐々に細く延ばした素麺は、喉越しと歯応えのよさが身上。魚や野菜の旨味が凝縮されただし汁をしっかり含んで、播磨の海の恵みを余すことなく楽しませる名脇役だ。



◎ 料理旅館 おかべ
兵庫県姫路市家島町真浦2421
☎ 079-325-0340
要予約
じゃこ鍋6980円~(2名様より・宿泊なし料金)



常時7~10種の魚介が入るじゃこ鍋の具材から。(左から)黒メバル、ハリイカは串刺しに。伝助アナゴ、足赤エビはさっと火を通す。坊勢サバとタイは、刺身でも。




丁寧にハシで捌きながら、約2mに延ばされた「揖保乃糸」。原材料の仕入れから製品検査・出荷に至るまで、兵庫県手延素麵協同組合による厳格な管理の下、所属する約430軒の生産者が手間ひまかけた伝統の味を守る。

◎ 兵庫県手延素麵協同組合(揖保乃糸)
http://www.ibonoito.or.jp/





【豊穣の国・はりまの鍋2】
生姜醤油で食べる姫路のソウルフード

姫路「姫路おでん」



瀬戸内の練りもの文化が支える美味

姫路の名物グルメといえば、姫路おでん! おでんをショウガ醤油で食べるのがポイントだ。姫路近辺ではごく当たり前だったが、地域特有の食べ方が注目され、2006年、「姫路おでん」の名がつけられた。ショウガ醤油はおでんにかけるもよし、つけて食べるもよし。「味がきりりと引き締まり、たくさん食べられます」と、姫路おでん普及委員会会長の前川裕司さんは話す。
大橋ひとみさんが営む「能古」は、削りたての鰹節と利尻昆布をたっぷり使った、クリアなだしが自慢のおでん処。素材の風味と食感を生かすべくそれぞれ煮込み時間を変え、白菜巻きは歯触り良く、姫路レンコンはシャキシャキ、モッチリ。注文を受けてからだしでさっと煮る前獲れ(瀬戸内産)のタコは、弾力がたまらない。ショウガ醤油には、だしを加えるのが能古流だ。
この姫路おでんに欠かせないものといえば、竹輪や天ぷら(揚げ蒲鉾)などの練りものだ。姫路では前獲れの魚を使った練りものが古くから人々に愛され、冷凍すり身を使うことが多くなった今も、その文化は健在。「ヤマサ蒲鉾」では、ほろりと崩れる「かに爪風蒲鉾」など、安心・安全かつ新たな技術に磨きをかけ、「ハトヤ」は料理人だった創業者の志を受け継ぎ、手作りの味を貫く。旨さあふれる伝統の美味だ。



◎ 能古
兵庫県姫路市白銀町107 白銀ビル1F
☎ 079-284-7345
17:00~22:00
日曜、祝日休

(左)「余計なものを極力入れず、伝統の味と手仕事を守りたい」と語る、「ハトヤ」代表取締役の松本敏郎さん。(右)中には白グチをおろしてすり身を作り、遠火で焼き上げた蒲鉾も。

◎ ハトヤ
兵庫県姫路市北条口5-8
☎ 079-222-8108



品質衛生管理が徹底された「ヤマサ蒲鉾」の製造ライン。完成後は速やかに各地へ出荷。



ミネラル豊富な夢前川の伏流水を使い、個性あふれる様々な蒲鉾が生み出される。

◎ ヤマサ蒲鉾
兵庫県姫路市夢前町置本327-16
☎ 079-335-3555





【豊穣の国・はりまの鍋3】
発酵文化が今も息づく加古川の新名物

加古川「恵幸川(えこがわ)鍋」



老舗発酵蔵の味噌と酒粕で味わう地元食材

「恵幸川鍋」は、地元・加古川を盛り上げようと、市職員のグループが考案した鍋。加古川産の食材を使うことで地元の人たちを幸せにするだけでなく、地球温暖化防止にも貢献するご当地鍋だ。欠かせない味のベースは2つ。ひとつは、加古川で1613年から続く糀屋「高松清太夫老舗」が、大豆と米と塩だけを使って昔ながらの製法で造る、天然醸造の味噌。もうひとつは、加古川唯一の酒蔵として、地元とその周辺の米で地元の人に愛される酒造りを目指す、「岡田本家」の酒粕だ。
大正15年創業「かき庄」の恵幸川鍋にまず投入されるのは、こだわりの詰まった相生産の牡蠣。「ぷりっと身が締まっていてあっさりした旨味があり、鍋に入れても縮まないんです」と、社長の三女で接客を担当する畠山聖子さんは話す。野菜は和洋を問わず、白菜やダイコン、シメジのほか、トマト、ラディッシュ、ズッキーニ、ブロッコリーなど旬のものを。但馬牛の血統を受け継ぐ加古川和牛は、だし汁でしゃぶしゃぶ風にさっと火を通す。仕上げに、濃厚かつ自然な味わいが評判を集める地元の「オクノのたまご」を絡めて味わえば、素材の力強い旨味と、白味噌と酒粕のおだやかな風味が口いっぱいに。心も体もポカポカ、やさしく温まる。



◎ かき庄
兵庫県加古川市加古川町篠原町77
☎ 079-422-2178
11:00~14:00 17:00~22:00
月曜休
恵幸川鍋3500円(2名様より・要予約)



(左)糀を多めに加えて発酵させた味噌は、まろやかで品のよい味わい。(右)4日がかりで作る糀。左の甘酒用は柔らかく、右の味噌用は固めに仕上げる。

◎ 高松清太夫老舗
兵庫県加古川市
加古川町北在家317
☎ 079-421-2200



(左)加古川の伏流水と兵庫県産の米100%で造る「盛典」。緩く搾って出た酒粕は、風味豊かでしっとり。(右)「岡田本家」6代目の岡田洋一さん。秋冬は酒を造り、春夏は米を育てる。

◎ 岡田本家
兵庫県加古川市野口町
良野1021
☎ 079-426-7288





【豊穣の国・はりまの鍋4】
ひね鶏の滋味をすきやきで噛み締める

市川町「ひね鶏すき」



母子共に健康に育てた鶏と卵だから

かつて日本の田舎では、多くの家庭が鶏を飼い、その卵を食べていた。そして卵を産まなくなったひね鶏は、行事や来客の折に潰して料理し、命を無駄にすることなく糧としてきた。そうした伝統に思いを馳せ、町おこしの一環として、「繁乃家」森口章吾さんが数年前から作り始めたのが、「ひね鶏すき」だ。まずは油を引いた鍋にひね鶏の肉を入れ、脂が出たところで野菜を加えて煮込み、卵をつけて味わう。ややコリコリと噛み応えある鶏肉に濃厚な卵が絡まって、噛めば噛むほど旨味がジュワリ。使われているのは、地元・市川町で鶏を育てる「田隅養鶏場」の新鮮な卵と、その廃鶏だ。
「いい餌をやって健康的な成鶏(親鶏)を育てれば、いい卵ができます。ひ弱な鶏しか育てていなかったら、無理や」と話す、「田隅養鶏場」代表取締役の田隅元康さん。ヒヨコのうちに玄米を与えてたくさん食べられる丈夫な胃をつくり、成鶏になったら、ビタミンEやパプリカを加えた栄養豊富な餌をたっぷりと。開放鶏舎で光や風を感じながら育てられる鶏は、瞳もキラキラ輝いて健康そのものだ。1年間卵を産んだ鶏は廃鶏業者によって加工され、食肉に。その肉質まで頭に入れ、鶏の一生に責任を持って一から育てるのが、田隅さんの信念だ。



◎ 御食事処 繁乃家
兵庫県神崎郡市川町西川辺172
市川町役場前
☎ 0790-26-0071
11:15~14:00 17:00~20:00
火曜休
ひね鶏すき 1980円(税別・2名様より)

「田隅養鶏場」代表取締役の田隅元康さん。



飼育するボリスブラウン種の鶏。目の周りの鮮やかな赤は、健康の証。



卵はずっしり重く、臭みがなくて味も濃厚。

◎ 田隅養鶏場
兵庫県神崎郡市川町田中54-1
☎ 0790-28-0215



【豊穣の国・はりまの鍋5】
生産者発!姫路の美味を包んだ鍋で地域を活性化

中播磨「ひめじ海里山(かいりや)鍋」



第一次産業の創造性を鍋でアピール

姫路市を中心に海から山へと広がり、豊かな自然に恵まれた中播磨には、“ええもん”がいっぱい! そんな“ええもん" を作る農畜水産物の生産者や加工業者、飲食店などが業種の垣根を越えてタッグを組み、魅力をギュッと集めた鍋を生み出した。その名も「ひめじ海里山鍋」だ。
「中播磨の素材を使い、海、里、山のものをすべて入れるのが決まりごと。あとは旬や提供するお店の個性で、いろいろな味の海里山鍋を楽しもうという趣向です」と話すのは、「中播磨『海・里・山』をむすぶ『食』の研究会」会長の小川陽平さん。撮影した鍋は干しエビのだしと地酒をベースに、リーフレタスや白菜、かに爪風蒲鉾、米粉使用の生地に海、里、山の具を詰めた3種のラビオリがたっぷり。素材のピュアな旨味が広がる、目にも舌にも楽しいひと品だ。
里の素材の中には、繊細な肉質と上品な味わいで食通をもうならせる、姫路のブランドポーク「桃色吐息」も。大麦に規格外のパスタや米粉、洋菓子を加えた飼料を与え、清潔な環境で約230日間飼育。「通常より時間をかけて大きく育てることでサシがきれいに入り、最高に成熟した状態で出荷できるんです」と、「東原畜産」代表取締役の東原聖雲さんは言う。あふれる情熱に吐息がこぼれる、こだわりの豚肉だ。



◎ 中播磨「海・里・山」をむすぶ「食」の研究会
事務局: 兵庫県中播磨県民センター
姫路農業改良普及センター経営課
☎ 079-281-9396



飼料用パスタを手に語る、「東原畜産」の東原聖雲さん。



「桃色吐息」の豚は、体重120kg以上。



淡いピンクが美しい、「桃色吐息」のロース肉。

◎ 東原畜産
兵庫県姫路市野里二本松51
☎ 079-223-5300



播磨の酒を「ひめじ海里山鍋」に。右は「ヤエガキ酒造」の「八重垣 純米」、左は「田中酒造場」の「純米吟醸 白鷺の城」。



鍋がすすむ!「豊穣の国・はりま」の逸品ガイド

はりまを訪れたら買って帰りたい、鍋に合うご当地食材を紹介します。



干し海老
300円/80g(坊勢漁業協同組合)

播磨灘で獲れたアカエビやトラエビを、新鮮なうちにボイルし、冷風で乾燥。そのまま食べても風味抜群で、鍋に入れれば旨味豊かなだしに。【購入先A】



地ものぽん酢
460円(税別)/200ml(メイジョーソース)

播磨伝統の醤油に播磨産ユズの果汁をたっぷり加え、だしや砂糖、みりん、灘の清酒の酒粕をブレンド。繊細でいて深みある上品な味わい。【購入先B】



マチコネギ
100円/1本(笠形オーガニックファーマーズ)

日本三大ネギの一つ「岩津ネギ」の系統を受け継ぐネギを、豊かな土壌と水に恵まれた地で有機栽培。肉厚で、鍋に入れるととろーり柔らか。【購入先C】



もち大豆みそ
720円/1kg(ふれあいの里上月)

粒が大きくてもちもちした「佐用もち大豆」と、赤穂のあらなみ塩、「日本晴」の一等米を使い、10カ月熟成。まろやかで豊かな風味が広がる。【購入先D】



播州大関
728円/5玉(辻麺業)

練り合わせた生地を、踏む・伸ばす・丸める・寝かせて熟成させるという工程を何度も繰り返し、包丁切りにこだわった冷凍手打ちうどん。もっちりした食感で鍋にぴったり。【購入先E】



もちむぎ麺
463円/180g(もちむぎ食品センター)

福崎町でかつて餅や団子として愛食されていたもち麦が、特産品として復活。のびにくくてもちもちした食感のもちむぎ麺は、鍋の締めに最適。【購入先D】



純米大吟醸 白鷺の城 戦国のアルカディア
2700円/720ml(田中酒造場)

播磨産山田錦を100%使い、47%精米・低温発酵させた華やかでフルーティな酒。写真は、松本零士さん監修のイラストをラベルにした特別版。【購入先D】



古酒 善次郎
1370円/300ml(老松酒造)

蔵の中で5年熟成。無濾過で白ワインのようにまろやかでコクがあり、和の味にも洋の味にも。二日酔いしにくい、体にも優しいお酒。【購入先D】



vin-shu Pét-nat 2017、vin-shu 2017
各3800円/750ml(BOTANICAL-LIFE)

加西市で育てた有機マスカットベリーAを、委託醸造。右は島之内フジマル醸造所による赤ワイン、左はdomaine tettaによる発泡ワイン。【購入先F】

【購入先】
A「JFぼうぜ 姫路とれとれ市場」兵庫県姫路市白浜町字万代新開甲912-18 ☎ 079-246-4199
B「ピオレおみやげ館 播磨本舗 姫想」兵庫県姫路市駅前町188-1 ☎ 079-224-2578
C「門前物産館」兵庫県神崎郡市川町上牛尾半瀬2073-12 ☎ 079-027-0002
D「播産館」兵庫県姫路市南駅前町123 ☎ 079-289-2835
E「辻麺業」兵庫県揖保郡太子町矢田部74 ☎ 079-277-2323
F オンラインショップ http://botanicalife.buyshop.jp/



「ニッポン全国鍋グランプリ2019」が姫路で開催!

2005年に埼玉県和光市商工会の主催で始まり、今年で15回目を迎える日本最大級の鍋料理コンテスト。初の西日本地域での開催となる今年は、全国で食のまちおこしに取り組む約60団体が参戦し、自慢の鍋を提供。来場者投票によりご当地鍋日本一を決定します。

【開催日時】

2019年1月26日(土)10:00~16:00/27日(日)10:00~15:00
【開催場所】
大手前公園(姫路市本町68番地)
【問い合わせ先】
姫路市商工会(大会事務局)
☎ 079-336-1368(平日8:30~17:30)
http://nabegra.jp/













JOURNAL / JAPAN





JOURNAL / EUROPE





JOURNAL / AMERICA





FEATURE / MOVEMENT





PEOPLE / PIONEER





FEATURE / WORLD GASTRONOMY





JOURNAL / AUSTRALIA





JOURNAL / ASIA





PEOPLE / CREATOR





PEOPLE / CHEF





PEOPLE / LIFE INNOVATOR





MEETUP / REPORT





ログイン

まだ会員になっていない方

現在登録しているメールアドレス

パスワード

パスワードを忘れた

パスワードを忘れた方へ

パスワードを忘れた方は以下のフォームに登録時のメールアドレスを入力し、送信して下さい。
ご登録されているメールアドレスに仮パスワードをお送りします。

まだ会員になっていない方はこちらから新規会員登録

パスワードを忘れた方へ

パスワードを忘れた方は以下のフォームに登録時のメールアドレスを入力し、送信して下さい。
ご登録されているメールアドレスに仮パスワードをお送りします。

ご注意:送信ボタンは一度だけ押してください。

まだ会員になっていない方はこちらから新規会員登録

パスワードを忘れた方へ

ご登録されているメールアドレスに
仮パスワードをお送りいたしました。

まだ会員になっていない方はこちらから新規会員登録