HOME 〉

PIONEER

〉


PEOPLE / PIONEER

奥村文絵さん(おくむら・ふみえ) フードディレクター
第4話「未来の日本の食風景」(全5話)

People / PioneerApr. 6, 2016  インタビュー / 2013年9月

成長のためのきっかけ作り





一つのクライアントに関わる時、奥村さんは自分のなかでプロジェクトに一定の区切りを設けるそうです。
まず、3年。
互いを理解し合い、プランを立てて、実行し、成果を見る。3年は、その一つのサイクルにちょうどいい長さだと言います。

クライアントにとっては、誰よりも自分たちのことを理解している奥村さんの存在は、なんとも心強いはず。
しかし、「ずっと一緒に仕事をしていくことは、彼らにとってもハッピーではない」と奥村さんは考えます。

「変わり続けなければならないなんて、疲れてしまいますよね。




変革期、成長期、安定期、成熟期を繰り返しながら、文化や伝統を作っていくことが大切だと思うのです。
私の仕事は、ある意味で、成長期に入るためのきっかけ作りです。
3年という区切りの中で、互いに緊張感を持って、一つの結果を出す。
そして、私たちの手を離れた後も、彼らが自力で、生まれ変わった会社や商品を育てていけるよう、仕組みや体制を整える」。

見据えるのは、その企業や作り手、地域の10年後、20年後。
そこに何が残っているか、何を残すか。
そのために今、何をするべきか。

町を物語にできるかどうか





彦太郎糯の生産者は、彦太郎糯以外に、珍しい長粒米と大粒米も試験的に栽培していたそうです。彼らは当初、長粒米と地元の特産である白ナスやパプリカ、岩ガキを組み合わせてパエリアを作り、町の名物として売り出そうとしていました、ただ、パエリアを食べたことがあるのは、秋田の店で、一度きり……。

「2年、3年はそれで盛り上がれると思います。でも10年後、20年後、遊佐町の食風景に何が残っているでしょう。パエリアでは、遊佐町の本当の意味での魅力をストーリーとして語り、価値を高めていくことはできないはずなんです」。

今が、10年後を作る





食で地域を盛り上げようとする活動は、ここ数年、日本各地で活発に行われています。
しかしその多くは、今すぐ、あるいはできるだけ近い将来、結果を出すことを目指したものです。
今、流行っているもの、流行りそうなもの。
メディアが取り上げそうなこと。

そんな中、奥村さんが“未来”を見据えた商品開発をしていく理由はどこにあるのでしょう?

「商品開発の現場では、今、やっていることが1年後、2年後に形になります。すると、その結果が、次のアクションを引っ張ってくる。
今、やっていることが少しでもずれていると、その先もどんどんずれていくのです。

食に歳時記があるように、飲食の企業が新商品の反応を経験できるのは1年に1シーズン限り。
農業も同じですね。10年続けても、収穫できるのは、うまくいっても10回きり。
その都度、もの作りの方向性を変えていては、食べ手に何も伝えることができません。
一貫したブランドを作り、価値を伝えていくためには、長期的なスパンでもの作りを考えていくことが欠かせないのです」。

たとえば、ゴミが出ないよう、パッケージを紙にする。新商品を出さずに、今ある商品の質を高めていく。
未来への関わり方は様々です。
しかし、ものを考える時に、今を考えるか、10年後を考えるか、また地域を考えるか、日本を、あるいは世界を考えるかによって、まるで答えは違ってきます」。
photo:東北のテマヒマ
2011年~2012年にかけて、21_21 DESIGN SIGHTにて開催された2つの展示会「東北の底力、心と光。『衣』、三宅一生。」と「テマヒマ展<東北の食と住>」。東北のアイテムが収録された書籍では、「食」の解説を執筆。




消費者の価値観を変えていく





「消費者が賢くならなければならない」
日本の食の未来について語られる時、よくこんな言葉を耳にします。
「安ければいい」消費者が増えすぎてしまった。
“食べる”という行為が、自分の身体や心にどう作用するか、
一つのものを“選んで”、“買う”という行為が、その作り手や、地域や、日本の食風景にどんな影響を与えるか、
あまりにも無頓着に、無関心になってはいないだろうか、と。

人の価値観を変えるのは、容易なことではありません。
しかし、奥村さんの仕事は、その大きな課題に対するチャレンジでもあります。

未来を考えられる企業や作り手を育てることは、日本の未来の食風景を豊かにしていくことに繋がります。
デザインを通じて、“味”だけではない食の価値を伝えることは、ただ「安ければいい」、その一瞬「おいしければいい」ではない消費者を育てます。

奥村さんがデザインに込めるもの。
それは、一つの食べ物の価値にとどまらず、“日本の食”の未来や可能性、だったりもするのかもしれません。

(次の記事へ)


奥村文絵(おくむら・ふみえ)
フードディレクター。2008年にfoodelcoを設立し、食をテーマに企業のブランディングや展覧会の企画など多岐にわたって活動。2015年には拠点を京都に移し、ギャラリーの運営なども手掛ける。著書に『地域の「おいしい」をつくるフードディレクションという仕事』(青幻舎)。







PEOPLE / PIONEER





PEOPLE / LIFE INNOVATOR









FEATURE / MOVEMENT





JOURNAL / EUROPE





PEOPLE / CREATOR





PEOPLE / CHEF





FEATURE / WORLD GASTRONOMY





JOURNAL / JAPAN





JOURNAL / AMERICA





JOURNAL / AUSTRALIA





JOURNAL / ASIA





MEETUP / REPORT









ログイン

まだ会員になっていない方

現在登録しているメールアドレス

パスワード

パスワードを忘れた

パスワードを忘れた方へ

パスワードを忘れた方は以下のフォームに登録時のメールアドレスを入力し、送信して下さい。
ご登録されているメールアドレスに仮パスワードをお送りします。

まだ会員になっていない方はこちらから新規会員登録

パスワードを忘れた方へ

パスワードを忘れた方は以下のフォームに登録時のメールアドレスを入力し、送信して下さい。
ご登録されているメールアドレスに仮パスワードをお送りします。

ご注意:送信ボタンは一度だけ押してください。

まだ会員になっていない方はこちらから新規会員登録

パスワードを忘れた方へ

ご登録されているメールアドレスに
仮パスワードをお送りいたしました。

まだ会員になっていない方はこちらから新規会員登録