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鈴木裕子さん(すずき・ゆうこ) 食エージェント
第1話「日本の食の可能性を広げる」(全5話)

People / PioneerMay. 23, 2016

海外でものを売るには





もはや、国内だけに目を向けている時代ではないようです。

2013年7月の調査では、60%近い食品メーカーが、輸出や海外展開に意欲を示しているというデータ(日本政策金融公庫)があります。
その理由は様々です。少子高齢化や人口減少などから国内市場が頭打ちであると判断している、日本食ブームに沸く海外市場での可能性にかけて、輸出の実績を国内でのイメージアップに繋げたい、など。

では、商品を輸出するためには、何をすればよいのでしょう?
農林水産省は、輸出の手続き例として、次の16項目を挙げています。
Photographs by Masahiro Goda,Text by Kyoko Kita



1.事前手配
【1】 市場調査(消費者の嗜好・市場特性の把握)
【2】 輸出条件の確認(相手国の要求する検疫条件、関税等の把握)
【3】 商談(輸出イベント*の活用)
【4】 契約締結(価格、数量、品質、支払条件、決済方法などの内容)

2.商品発送・配送
【5】 契約条件に応じた輸出港(空港の決定)
【6】 商品手配・梱包
【7】 輸出書類(仕入書、梱包明細書等)の作成
【8】 港湾(航空)搬入
【9】 輸出検疫・通関
【10】 輸入検疫・通関
【11】 仕向地の卸売・配送事業者による一時的保管
【12】 最終ユーザー(小売店、レストラン等)への配送
【13】 個別問題(クレーム)への対応
【14】 代金回収(送金決済、信用状決済等)

3.継続的事業
【15】 仕向地での販売促進活動
【16】 輸出プランの見直し・修正
*農林水産省や日本貿易振興機構(ジェトロ)などが主催する商談会

この前段階として、ジェトロや地方自治体では、海外進出を検討している企業向けにセミナーや勉強会を主催しています。
また、国内の輸出業者や、販売国の輸入業者、卸売業者、小売業者などと契約を結び、パートナー関係を築くことで、1~16までの様々な場面において、協力や代行を依頼することができる、とも説明しています。

それにしても、なんと大変なことでしょう!
膨大な時間と労力とコストを費やし、もし売れなかったとしたら……。
しかし現実には、輸出に意欲があると回答した企業の内、販売先や流通チャネルの確保を課題に挙げるところが半数以上にのぼっています。
売り場に並べることすら難しい状況が垣間見えます。

早くてズレがない方法

この実態を、「Office musubi(オフィス ムスビ)」の鈴木裕子さんは、マーケティング不足にあると考えます。
「オフィス ムスビ」のホームページには、こんなふうに書かれています。
「現地のことは現地の人に聞く」これが一番早いと分かってはいても、「伝手がない」「言語の壁がある」などの理由から、現地事情や食習慣も把握しないまま手探り状態で海外市場に乗り込んでしまうケースを多く目にします。
Office musubiでは、そんな課題を解決すべく、世界の情報発信基地であるニューヨークで活躍する専門家たちとチームを形成。米国を中心とする海外市場への輸出・販路開拓のお手伝いをしています。専門家チームは、現地小売店のオーナー、シェフ、マーケティングライター、ジャーナリスト等から成る全員ネイティブのプロ集団です。





海外市場で売れる見込みはあるのか、乗り込む前に調査をする。
どんな人たちに向けて売るべきか、ターゲットを絞り込む。
売り方は、容量やパッケージはどんなふうにするのがよいか、もの作りの現場にまで踏み込んで考える。

マーケティングという手法を使い、海外進出という大きなチャレンジで失敗しないためのサポートをあらゆる局面でしていくのが、「オフィス ムスビ」です。

まさに、食業界の“エージェント”。

既存の代理店や流通業者ではフォローしきれなかった、かゆいところに手の届くサービスが、中小規模の食品企業からあつい信頼を集めています。

専門家チームのメンバーには、ウェブデザイナーやパッケージデザイナーも含まれます。
デザインは日本でもできるように思いますが、
「まず色彩感覚が違いますし、現地のトレンドを肌で感じているのは、やっぱり現地のデザイナーです。これから売り出そうとするものが少し前の流行りだったりすると、完全に取り残されてしまいます」。

徹底して、現地視点。
「とにかくシンプルな仕組みにしたかったんです。現地のことは現地の人に聞く、プロに任せる。それが一番早くてズレがない」。

商品の魅力を再編集する





たとえば昆布の専門店「松前屋」が作る「昆布の水塩」。
海水を煮詰めて作ったとされる日本古来の調味料“水塩”に、昆布の旨味を加えたスプレータイプの商品です。
昆布はトップシェフの間では認知されてきたとはいえ、まだまだ海外では一般的ではありません。
「水塩」も直訳しただけでは、どんな物だかさっぱりわからないでしょう。
そこで、「UMAMI」を全面に押し出し、「NATURAL UMAMI――UMAMI SEASONING SPRAY――」という表記と合わせ、使用法や現地習慣に合わせたレシピを具体的に記しました。
パッケージも、昆布のイラストを配し、明朝体で商品名の書かれた国内向けのデザインから一転、機能性の高さを感じさせるニュートラルな意匠に変更しました。

「ただラベルを英語に変えればよいというのものではありません」。
現地目線で、その商品の価値や魅力を問い直し、伝わりやすい形に表現を変えるのです。

オールラウンドに、縦横無尽に





一方、国内市場向けのサービスも行っています。
アプローチは海外向けと基本的には変わりません。
商品の魅力や価値を効果的に伝えるための編集作業を行い、ターゲットを明確にし、彼らの心を確実に捉えるような販売方法を考える。
それは、既存の市場でいかに数多く売るかという発想ではなく、潜在的な需要を掘り起し、新しく市場を創り出す、ということです。

「海外市場と国内市場、その両方をフラットな視点で考えられるのも強みだと思います。
先に海外で反応を見てから国内で売り出す方がいいだろうとか、国内では難しくても、あの国でなら可能性があるかもしれない、とか」。

クライアントにとって必要なことを、オールラウンドに、縦横無尽に展開していく。
そんな柔軟さが「オフィス ムスビ」ならではのスタイルなのです。

誰もやっていないから、価値がある





「オフィス ムスビ」を立ち上げたのは2007年、鈴木さんが35歳の時。
食の業界では新しいビジネスモデルでした。
「未だに同じような仕事をしている人には出会ったことがないし、聞いたことがありません」。

とても理にかなった、説得力のある手法ですが、「既存の職業に当てはまらないので、人に説明しようとしても伝わりづらいんです。でもだからこそ、この仕事には意味があると感じます。簡単に理解されるようになったら、次のステップに移る時期」。

とはいえ、独立を目的に考えたビジネスモデルではありません。
会社を立ち上げた理由は一つ、「目の前で困っている人を助けたい」。

キャリアを重ねるも、プライベートでの紆余曲折を経て、自身の生き方を見つめ直していた鈴木さん。
その過程で出会ったのが、誠意と熱意を持った食の作り手たちでした。

彼らの抱えている課題を、共に解決していきたい。
可能性を秘めた商品を、このままにしておくのはもったいない。

「お金にならない」という周囲の猛反対を、強い意思で押し切っての独立。
自分のしたいことと、自分だからできることが、「オフィス ムスビ」という一つの形になりました。




鈴木裕子(すずき・ゆうこ)
短大卒業後、渡米。語学学校とビジネススクールを経て、就労ビザを取得し、ホテルで働く。帰国後は、通信会社、マーケティング会社勤務のほか、中部経済産業局のプロジェクトで中部地域の海外向けPRや、ジェトロ名古屋にて食品メーカー等の海外進出支援に当たる。2007年、独立して「オフィスムスビ」設立。食品メーカー等へのコンサルティング、輸出支援を行う。座右の銘は「意志あるところに道は開ける」。





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