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FEATURE / WORLD GASTRONOMY

北欧の食・最新事情(全4回)

Vol.2 新・北欧(ニュー・ノルディック)の料理とは?

Oct. 28, 2014



photograph by Claes Bech-Poulsen


テロワールの祝祭。冷たい北欧の海で獲れた手長エビとホタテに、ハーブをちらして。

新・北欧料理は、ベリーやコケだけじゃない

ニュー・ノルディック・キュイジーヌ(新・北欧料理)は、この10年ほどの間に知られるようになったガストロノミー界最大のトレンドのひとつだが、その厳密な定義は、いまも曖昧なままだ。この呼称に最も関連が深いのが、2014年“世界のベストレストラン50”でトップの座を奪回したコペンハーゲンのレストラン「ノーマ」である。同店のシェフ、レネ・レゼッピ氏による、料理に対するテロワール中心のアプローチが評価され、北欧諸国特産の多くの新食材が世界に知られるようになった。ただし、デンマーク人シェフで食ライターでもあるメッテ・ヘルベック氏が指摘しているように、ベリー類と地衣類(菌と藻の共生体)をただ使用していることが“ニュー・ノルディック・キュイジーヌ”の特徴であると短絡すべきではない。ニュー・ノルディック・キュイジーヌ運動とは、伝統食文化と地元食材を再評価することだからだ。同時に、これはヘルベック氏の言葉を借りれば「地元の新たなプライドの追求」であり、北欧諸国はこの運動をきっかけに「地元ならではのものを、より深く探求するようになった」のである。

ニュー・ノルディックのマニフェスト


photograph by Claes Bech-Poulsen


地元のマーケットで売られている新鮮な魚。「純粋さ、新鮮さ、倫理」を高めることがニュー・ノルディックのマニフェスト。

レネ・レゼッピ氏とパートナー・シェフのクラウス・マイヤー氏(レゼッピ氏とともにノーマを開店)が2004年に開始したこのニュー・ノルディック・キュイジーヌ運動は、まず北欧における食文化と食糧生産の停滞打破を目指した。当時、北欧のレストランのほとんどは外国料理店で、食材もほとんど輸入品。地元を代表するシェフや食の関係者たちとともに、二人はニュー・ノルディック・キュイジーヌ・マニフェストの草案を練った。それは、料理において「純粋さ、新鮮さ、倫理」を高めることへの誓いだった。2006年、北欧の各国政府はこのイニシアチブの支援のため、学校給食の改善努力から、北欧製品を海外に宣伝する国際的な支援活動にいたるプログラムの援助に300万ユーロを拠出した。この「ニュー・ノルディック・フード・プログラム」への資金援助は2014年で終了するが、公共部門と民間部門の両方からリソースを獲得した多数のプロジェクトが「食品とガストロノミーというテーマに今後も力を入れ続けていくことだろう」と、デンマーク食糧機関(フード・オーガニゼーション・オブ・デンマーク)のシグリ・ギエシン氏は述べている。

photograph by Claes Bech-Poulsen


ファーマーズ・マーケットの色とりどりのニンジン

新たなタイプの贅沢


この運動は北欧の人々の食事と食に対する考え方に幅広い影響を与えた。複数のプログラムが、果物や野菜からデニッシュ・ピッグ(デンマーク豚)などの家畜にいたるまで、在来の農産物の復活を奨励したところ、スーパーマーケットに地元産品が増え始め、消費者も、ビーツやキャベツ、野生のハーブなど、北欧の台所で見慣れた“普通”の作物を改めて見直すようになった。今では農業や職人技が光る産品に大きな注目が集まっている。メッテ・ヘルベック氏は「これは新しいタイプの贅沢なのです」と説明する。そして「デンマークでは、シェフや食に見識の高い実業家たちが田舎に移って農業を始めるという動きも出てきている」とつけ加えた。

photograph by Kasper Fogh


デニッシュ・ピッグ(デンマーク豚)の丸焼き。根菜とともにサーブされる。

photograph by Kasper Fogh


穫れたてのビーツ、これも新たな贅沢のひとつ。

自立、そして、時間と場所の感覚


自宅の裏庭で収穫した食材を料理するのが日常というヘルベック氏。彼女のような自家栽培者は増えている。「これはまさに、いかに自立し、何を食べるかという問題なのです」とヘルべック氏は語る。広義では、外ではなく内側に目を向け、「非常に身近なもの」を重視する考え方がニュー・ノルディック・キュイジーヌ運動の基本だが、ヘルベック氏はその哲学を、時間と場所を意識することだと、さらに厳密に定義している。「つまり、窓から外を眺め、気候と土壌、自分が現在いる場所との相互のつながりを感じることなのです」。

コペンハーゲン周辺で開催される短期間のレストラン・イベントで料理を担当したり、ガストロノミーに関する執筆活動のため世界を旅するヘルベック氏だが、自宅のキッチンでは自身のウェブサイトや料理書はもちろん、デンマークのレストランに向けたレシピ開発にも取り組んでいる。彼女が、お気に入りの秋のレシピ2種類を教えてくれたので紹介しよう。コペンハーゲンのレストラン「ステッドサンス(Stedsans)」のために作った、「ニンジンとシーバックソーン(和名:サジー、スナジグミ)」と「クルマバソウと、へーゼルナッツのキャラメリゼを添えたアイスクリーム・パルフェ」だ。

photograph by Line Thit Klein

料理人で食ライターでもあるメッテ・ヘルベック氏は、何年にもわたって、地元の農家をサポートしている。





ニュー・ノルディック・キュイジーヌのレシピ


※コペンハーゲンのレストラン「ステッドサンス」に提供したレシピより








「Carrots with sea-buckthorn(ニンジンとシーバックソーン)」

photograph by Stine Christiansen/Skovdal


「北のパッションフルーツ」として知られるシーバックソーンは、デンマーク中に自生するベリー。多くの天然食材と同様、このベリーも昔からずっと食べられてきたにもかかわらず、数年前までは存在感が薄かったが、ニュー・ノルディック・キュイジーヌがその人気をよみがえらせた。甘酸っぱい味が、甘いニンジンと焦がしバターによく合う。

<材料> ※4人分、サイドディッシュや前菜として
ニンジン 800 g (色の違うものが好ましい)
揚げ油 大さじ2
塩 小さじ1
バター 100 g
シーバックソーン 50g (酸味のある他のベリー類でも可)
塩 小さじ1
黒コショウと飾り用の生バジル

<作り方>
1. ブラシでニンジンを洗う(皮はむかなくてもよい)。
2. フライパンに油を引き、ニンジンを、色がやや鮮やかになり、固さはまだ残っているが少し柔らかくなるまで炒め、塩で味を調える。
3. ソースパンにバターを入れて溶かし、きつね色になり、ヘーゼルナッツのような香ばしい香りが立つまで熱する。
4. ニンジンにシーバックソーンを添え、熱したバターを回しかける。
5. 材料を和えてから皿に盛りつけ、黒コショウをたっぷりとふり、生バジルの葉を添えて供する。



「Parfait ice cream with woodruff, caramelized hazelnuts and apples
(クルマバソウ、へーゼルナッツのキャラメリゼ、リンゴのアイスクリーム・パルフェ)」

photograph by Stine Christiansen/Skovdal


クルマバソウは、バニラにも含まれる化合物クマリンの独特な芳香がする素晴らしい野生のハーブ。味わいは異なるが、代わりにタラゴンを使ってもよい。このレシピではクルマバソウを、濃厚でクリーミーなアイスクリーム、新鮮なリンゴ、キャラメリゼした香ばしいヘーゼルナッツに添える。シンプルだが豪華なデザートだ。

<材料>※6~8人分
卵黄 卵6個分
ココナッツシュガー 100 g
クリーム 5 dl(2.5カップ)
ヘーゼルナッツ 75 g
上白糖 120 g
有塩バター 10 g
粗くきざんだ生のクルマバソウ(またはタラゴン) 3~4本分
甘すぎないリンゴ 2個

<作り方>
1. 卵黄にココナッツシュガーとアイスクリーム用のクリームを加え、柔らかめのホイップクリームの状態になるまで泡立てる。
2. 泡立てたクリームをアイスクリーム型かジャムの空びんに入れ、4時間以上凍らせる。
3. オーブンを180℃に温め、ヘーゼルナッツを10分間ほど、皮がはがれるようになるまで焼く。
4. 焼いたナッツをティータオルにのせ、もんで皮をはがす。
5. 大型のフライパンにココナッツシュガーを入れ、熱して溶かす。
6. 時々フライパンをゆすり、ココナッツシュガーが焦げないようフライパンに均等に行きわたらせる。
7. ココナッツシュガーが溶けたらバターを加え、スプーンでかきまぜる。
8. 皮をむいたナッツをフライパンに加え、再びかきまぜる。
9. キャラメリゼしたナッツをベーキングシート上に出して冷やし、粗く刻む。
10. キャラメリゼしたナッツ、クルマバソウ、薄切りのリンゴをアイスクリームに添えてサーブする。



text by Melinda Joe / Japanese translation by Yuko Wada





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