もっと身近に、もっと知りたいロメインレタスのABC vol.1
日本生まれの「ロマリア」を知っていますか?
2016.01.01
text by Reiko Kakimoto / photographs by Tsunenori Yamashita
シーザーサラダでお馴染みのロメインレタス。でも、サラダ以外にも活躍する野菜だって、ご存知ですか?葉が肉厚でバリバリ、サクサクの食感。加熱してもボリュームを損なわず、手で簡単にばらせて調理もスピードアップ。もっともっと使いこなしたいロメインレタスの可能性を探りました。
もっと身近に、もっと知りたいロメインレタスのABC。まずは、日本生まれの品種「ロマリア」があると知り、その産地へ向かいました。
静岡県浜松市 鈴木一男さんのロメインレタス畑を訪ねて
ロメインレタスの別名は「コスレタス」。エーゲ海の東に位置するコス島が原産とも言われている。肉厚で歯応えがよく、程よい苦味と甘味のバランスが人気のレタスだが、本来、日本の土や気候での栽培は難しいとされてきた。
「レタスは水分が多いので、水はけのよい土地で育てるのがいい。ところがここは赤土で、どちらかというと水持ちがいい土地。だから長らく、様々な種類のレタスを育ててもうまくいかなかったんです」。
そう話すのは、浜松で農業を営む鈴木一男さん。様々な種類や品種を試した中で出会ったのが、タキイ種苗の作ったロメインレタス「ロマリア」だった。
農業は、品種を作る人と農家のコラボレーションが大切
「水やりの方法やタイミング、畝立ての仕方など、農家の技術で改善できることもあります。ですが、育てやすい種がないと、栽培技術だけではカバーできないことがある。ロマリアは開発時から試作させてもらって、うまくいかない点を開発者に伝えていました。試験場ではよくても、この土地での適性もある。ここは暖かい地域なので、レタスの収穫適期が非常に短くなってしまう。だから温度に左右されにくい“ 晩袖性” 品種であることがポイントとなりました。品種を作る人と農家が話しをして、互いに納得するものが出来る。そうして出来たひとつが、このロマリアだと思っています」。
鈴木さんはロマリアを育て始めて3年目だという。
「温暖化の影響で、以前はうまく育った品種もうまくいかないということが起きています。それでもある程度安定した出荷ができているのは、種苗メーカーが品種改良してくれているから。品種で(気候の変化を)かわしている、と感じています」。
肉厚で、加熱してもシャキシャキが「ロマリア」の特長
品種によって味わいの差が生まれるのは言うまでもない。鈴木さんによると「ロマリアは肉厚で、葉がしっかりしている」のが特長という。確かに、採れ立てのロマリアの球はずっしりと重い。水分を満たした葉をかじると、芯はじわりと甘く、外葉の根元は山菜に似た、青いほろ苦さがある。
「僕はあまり生野菜を食べないのだけど、ロマリアは加熱してもおいしいね。味噌汁に入れたり、レタスチャーハンに入れたりして食べるのが好き。火を通してもシャキシャキ感が残って、しかもその状態が保つんです」。
栽培法の工夫もあり、浜松のこのエリアでは10月頃から翌6月頃までロマリアの収穫ができるようになった。夏場は長野などの高原地域で栽培され、日本でも1年中、国産ロメインレタスが食べられる環境が整いつつある。種苗メーカーと農家のコラボレーションが、「日本の食卓」を一歩先へと動かしているのだ。
「ロマリア」に関するお問い合わせ先
◎タキイ種苗株式会社 開発部
☎ 075-365-0123
http://www.takii.co.jp/