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RECIPE

【DIYレシピ14】韓国産赤唐辛子で鮮やかに。余計なものを入れない「明太子」

東京・銀座「せろ」伊藤憲二さん

Dec 05, 2022

photographs by Daisuke Nakajima

塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。天日に干したり、発酵させたり、自然の力にゆだねるレシピは、人間本位ではない生き方を学ぶ処方箋。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。

教わるテクニック:塩蔵
教えてくれた人:東京・銀座「せろ」伊藤憲二さん

岐阜県出身。大阪、京都の日本料理店で修業後、2002年豪州・メルボルンに移住。モダンオーストラリア料理「TAXI DINING ROOM(現TAXI KITCHEN)』などで5年間シェフを務める。2015年東京・麻布十番「可不可」のオープニングシェフに就任。2018年独立し、現店オープン。「いろいろな魚種の腹子が手に入るので、金目鯛、鯛などでも試します!なかなかの味ですよ」


余計なものが入らない 素直で力強い味

冬になるとタラの脂がのってきます。この時期は産卵期にあたり、白子や腹子も出回ります。和食なら炊き合わせや蒸し物などに使いますが、腹子は言い換えれば塩漬けする前の「タラコ」。これで、明太子も作れます。

かねてより、発色剤や保存料などの入らない明太子を探していましたが、市販で見つけるのは至難の業。ならばと自分で作ってしまいました。

おいしさは、何より腹子の鮮度が決め手です。店では懇意にしている築地の仲卸しから仕入れていますが、鮮魚店などに予め「いい状態のものが入荷したら教えて」などと、声をかけておいてもよいでしょう。身が締まっていて、透明感があり、傷や破れ、変色の少ないものを選んで。

食中毒対策のために一度冷凍→解凍させてから使います。まず、海水程度の塩水に漬けて、血管や血を浮かし出し、丁寧に除きます。次に塩を溶かし込んだ日本酒で塩蔵。酒を使う事で、殺菌効果や臭み消しも期待できます。赤唐辛子とかえしで作る漬け液で本漬けに入ります。赤唐辛子は新鮮なものほど、香りも色味も鮮やかに仕上がります。韓国産が向くように思います。

タラなら、マダラの「真子」より、スケソウダラの「助子」の方が、鮮やかな桃色で身が締まっています。また、タラ以外でも挑戦してみてください。僕も、金目鯛や鯛など、魚をさばくなかで、子持ちに当たると試します。酒によく合いますよ!

料理の展開例:自家製明太子のおにぎり・・・言わずもがな、炊きたてのご飯のよき供として。ざっくりと大ぶりにカットし、香ばしい海苔を巻いた塩にぎりに添える。シンプルに美味!
◆展開例:珍味、椀種、ご飯の供、卵料理のアクセントに


自家製明太子の極意


1 何より、新鮮で傷みの少ない腹子を入手すること。
2 冷凍するなど食中毒対策を万全に。
3 新鮮な赤唐辛子を使って、色鮮やかに、香り高く。

[材 料](作りやすい分量)

腹子・・・7~8腹
塩・・・日本酒の総量の10%
日本酒・・・適量(バットに浸る程度)
[漬け液]
日本酒・・・500ml
濃口醤油・・・100ml
昆布・・・10g
かつお節・・・10g
砂糖・・・20g
赤唐辛子(粉)・・・50g
柚子の皮・・・適量

<材料のポイント>

手前のように、透明感があり、張りのある鮮やかな色の腹子を選ぶ。奥の腹子のような黄色や藍色に変色していたり(胆汁が触れた部分)、くすんでしぼんだものは避ける。

【 作り方 】
[1]一晩冷凍して解凍する

タラの腹子を冷凍庫で一晩凍らせる(アニサキス対策のため)。冷蔵庫に移し、ゆっくり解凍する

[2]塩水に漬ける

海水程度の塩水に1時間ほど漬ける。

[3]血管を掃除する

浸透圧で出てくる血や血管をぺティナイフで削ぎ、洗い流す。

[4]日本酒に塩を混ぜる

日本酒に10%の塩を溶かす。
POINT:溶けにくいのでよく溶かす。

[5]日本酒に漬ける

をバットに並べ、の日本酒を注いで冷蔵庫に入れ、一晩漬ける。
POINT:アルコールで殺菌する。


[6]バットに並べる

を取り出し、軽く洗って水気を拭く。腹子の継ぎ目に開いた穴を塞ぐように下にして、バットに並べる。

[7]冷蔵庫で乾燥させる

ラップをせず、そのまま冷蔵庫に入れ、1時間ほど乾燥させる。

[8]漬け汁のかえしを作る

酒、醤油、砂糖、昆布を鍋で熱する。沸く直前にかつお節を入れ、沸いたら火を止め、かつお節が沈んだら漉す。

[9] 唐辛子にかえしを合わせる

唐辛子をボウルに入れ、を熱いうちに注ぎ入れる。

[10] 常温に冷ます

よくかき混ぜ、氷水にあてながら常温以下になるまで冷ます。

[11]柚子の皮を削り入れる

柚子の皮をおろして加える。

[12]漬け汁を注ぐ

常温に冷ました10の漬け汁を注ぎ入れる。

[13]4~7日間漬ける

不繊布タイプのペーパーを被せて落とし蓋にし、冷蔵庫で寝かせる。4~7日ほどで食べ頃に。

◆仕込み時間:2日~ ◆食べ頃:4~7日以降 ◆保存期間:冷蔵で1週間前後


<明太子 展開例>
珍味として酒の肴に、ご飯や椀物、卵料理にのせて味わいのアクセントに。

鱈と明太子のお粥椀・・・一番だしを、ほの甘くとろみのある重湯仕立てに。さっと茹でた菊菜、刻み柚子とともに明太子を天に盛り、塩気のアクセントを効かせた。明太子をだしに溶かしながら味わう。

明太子と蕗のとう ウォッシュドチーズの天ぷら・・・ウォッシュチーズと明太子を、蕾をくり抜いた蕗のとうで包み揚げに。チーズのコク、蕗の香りと苦味が渾然一体となって、酒が進む1品。

焼き明太子と蛸の土鍋ご飯・・・タコのやわらか煮を炊き込んだ土鍋ご飯に、香ばしく炙った明太子を蒸らしの時に加えて混ぜた。旨味たっぷり。

明太子と雲子の茶碗蒸し・・・卵地の中には、同じ鱈の白子が。クリーミーな白子&だしの効いた卵地を、明太子の塩気と辛味で引き締める。



◎せろ
東京都中央区銀座7-2-20 銀座コスモビルⅡ 2F 
☎03-3572-5520
17:30~20:00LO 
日曜休
各線銀座駅より徒歩7分
https://ginza-cero.studio.site/

(雑誌『料理通信』2016年4月号掲載)

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