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FEATURE / MOVEMENT

ワインメーカーがシェフに弟子入り! ビーフの国のワインに合う 牛肉料理を教えてください!  

1970.01.01

text by Kei Sasaki / photographs by Masahiro Goda




アルゼンチンという世界屈指の牛肉消費国に生まれ、牛肉を食べて育ったワインメーカー、グスタボ・ウルソマルソさんが「牛肉に合う」と自信を持って送り出すテラザス レゼルヴァ マルベック。様々な牛肉料理とのマリアージュの可能性を探り、肉が得意な3人の日本人シェフに弟子入りします!

※座談会時のボトルはラベルデザイン変更前のものです。


近年、空前の牛肉ブームに沸く日本で、「肉名人」と称賛される3人のシェフたち。料理ジャンルは異なれど、肉への想いは人一倍。マルベックに合わせて、どんな料理を提案するのか……!?

グスタボ
日本に来るまでは、日本はシーフードの国で、肉はあまり食べないものと思い込んでいました。ところが実際に来てみると、柔らかくジューシーな和牛が日本の食文化に深く根付いていた。今日は皆さんが考える、マルベックに合う牛肉料理を教えていただきたいです。

高山
その前にひとつお伺いできたらうれしいのですが、日本で召し上がった牛肉の料理で、何か印象に残っているものはありますか?

グスタボ
陶板焼きで食べた牛肉がとてもおいしかったです。日本ならではの加熱法で、タレがいろいろついているのもいい。すきやきも食べたことがあります。おいしいと思いましたよ。

高山
なるほど。僕がテラザス レゼルヴァ マルベックを初めて飲んだ時、まず思い浮かべたのが実はすき焼きや肉じゃがなんです。酸が上品で全体的にこなれていて、どこかミルキーな感じもある。割り下の甘さやまろやかさにすごくよく合いそうだな、と思って。

グスタボ
そうですか! 次に機会があればぜひ試してみたいですね。

「今回は、バーベキュー以外の牛肉料理と合わせてほしいのですが」
<教わる人>
グスタボ・ウルソマルソ氏
「テラザス」ワインメーカー

クージョ国立大学で農業工学の学位を取得。栽培、醸造はもちろん、テラザスのワイン造りの全工程を統括する。メンドーサ州出身。バーベキュー好き。


ステレオタイプを覆す
テラザスのマルベック



小河
僕は南米料理のレストランでシェフをしているのですが、南米のワインをいろいろ試した時に、一番衝撃を受けたのがマルベックでした。親しみやすいのに深みがあって、料理に合わせやすい。

高山
テラザス レゼルヴァ マルベックには、そんなマルベックの持ち味がありながら、アルゼンチンワインのイメージを覆すエレガントさがありますよね。

荻野
パワフルな印象をいい意味で裏切ってくれる。若々しくてふくよかで、深みがあるんだけど、軽く飲めてしまう。

高山
特に酸味がとてもエレガントで印象的ですよね。赤ワインだけど、柑橘と合わせたくなるような。

グスタボ
ありがとうございます。きれいな酸味は、標高1000メートルを超えるブドウ畑の場所に由来するものです。同じマルベックでも、低地で栽培するとこの酸のニュアンスは出ない。

高山
環境ももちろんですが、丁寧に造られたワインであることが、味わいから伝わってきます。

グスタボ
いきいきとした酸はレゼルヴァ マルベックの大きな魅力ですが、しかしながらその酸だけが突出しないよう、果実味やタンニンとのバランスを考えて、フレッシュでありながらエレガントなワインになるように醸造しています。

「ミルキーな感じがあるので、生肉にも合うと思いますよ」
<教える人1>
高山いさ己シェフ
「カルネヤサノマンズ」

イタリア料理店「カルネヤ」オーナーシェフ。'15年、ドライエージングビーフ専門店「さの萬」とステーキレストランを開業。現在は新店の厨房に立つ。


牛肉の国アルゼンチンでポピュラーな肉料理



荻野
アルゼンチンの人はとにかく牛肉をたくさん食べるといいますが、やっぱりいろんな牛肉料理があるんですか。

グスタボ
アルゼンチンで牛肉といえば、一も二もなくバーベキューです。バーベキューは食文化の象徴。どの家庭にもパリーシャと呼ばれるバーベキューグリルがあって、家族や友人と週2〜3回はバーベキューをします。

小河
そりゃたくさん牛肉を食べることになりますよね(笑)。

グスタボ
調理法はシンプルですが、薄切りにしたり、分厚く切ったり、部位によって切り方を変えて、好みの歯応えで楽しむ。塊で焼くので時間はかかりますが、ワインを飲み、会話を楽しみながら焼けるのを待つのです。

高山
最高ですね。うらやましいなあ。

荻野
シンプルに焼いた肉とマルベックは鉄板の相性だと思うんですが、テラザス レゼルヴァ マルベックで、と考えると、さらに可能性が広がるんですよね。

小河
パワフルなだけじゃない、複雑さ、深みがありますものね。

グスタボ
今日、私が皆さんに伺いたいのは、まさにその辺りのことです。

「このスパイス感には、黒コショウたっぷりのステーキはどうかな…」
<教える人2>
荻野伸也シェフ
「レストラン オギノ」

肉とジビエを得意とするフレンチシェフとして有名。東京と北海道でデリの店も6店舗展開。『シャルキュトリー教本』(誠文堂新光社)など著書も多数。


「深みとボリューム感のある煮込みは間違いなく合うでしょう」
<教える人3>
小河英雄シェフ
「トロ トーキョー」

世界を放浪する旅で南米の地に魅せられ、以降、彼の地の食文化を追求するように。現店開業時からエグゼクティブシェフ兼マネージャーとして活躍。


コクはあるけど重くない、料理人を刺激するワイン



小河
レゼルヴァ マルベックの一番の魅力は、お二人もおっしゃる通り、きれいな酸とコクにあると思います。ここでコクというのは、果実味、タンニンのバランスから生まれる厚みというかボリューム感のこと。だから同様に、しっかり煮込んだ牛テールの煮込みのような、深みとボリューム感のある料理が合うと思います。

荻野
僕もテールやスネ肉の煮込みはよく合うと思います。ちょっと柑橘の酸味を効かせてドーブ・ア・ラ・プロバンサルのように爽やかに仕上げると、ワインが持つエレガントな酸味とも引き立てあうな、と。

高山
僕も煮込みは頭に浮かびました。コクがあるけど重くないというワインの印象はお二人と同じ。なのでブランケット・ド・ボーのような、やや酸味を効かせた白い煮込みにも合う気がするんですよね。

荻野
そうそう。例えばフランス・カオール地方のマルベックなら、アタックとパワフルさも全開なので、ゼラチン質が超濃厚なカスレなどが合うと思うのですが、それより軽やかなもの、酸の爽やかさがあるものが合うと思います。

小河
牛の脂身とも相性がいいと思います。特に和牛の脂の甘味は、高山さんがおっしゃったクリーミーさと相通じる部分も。しっかり脂のついたショートリブに、炭火でじっくりと火を入れたような、シンプルな料理とも合うと思います。

荻野
僕は焼くなら、黒コショウをたっぷり付けてスパイシーなステーキにするかな。レゼルヴァ マルベックが持つスパイス感に合わせたいです。

高山
ミルキーさは、生肉にも合うと思いますよ。国産タロッコオレンジのソースを加えると、香りや酸味もマリアージュするはずです。

グスタボ
色々出ますね。全部おいしそう。食べてみたいです。

高山
テラザス レゼルヴァ マルベックが持つ懐深さゆえです。料理人の想像力をかきたてるワインだと思います。

グスタボ
うれしい言葉です。数年前まで〝魚の国〞と思っていた国で、こんなにも肉とワインについて語れるシェフたちと会えて、とても勉強になりました。


*2016年6月より「テラザス」のエチケットデザインが生まれ変わりました。


  テラザス レゼルヴァ カベルネ ソーヴィニヨン 2014

      テラザス レゼルヴァ マルベック 2014

      テラザス レゼルヴァ シャルドネ 2015

      テラザス レゼルヴァ トロンテス 2015



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