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「食」の流れを修復する

自然と戯れ、地球と触れ合う、生き方。

Feature / SdgsNov. 6, 2019

text by Kyoko Kita / photographs by Hide Urabe

アウトドアウェアブランド「パタゴニア」が立ち上げた食品部門「パタゴニア プロビジョンズ」を担当する近藤勝宏さんと、池尻大橋「レストラン・オギノ」の荻野伸也シェフは共に海の近くに住み、海をこよなく愛するサーファーです。自然の中で遊ばせてもらっているからこそ、自然環境の変化、危機にも意識的であり続けられる、と語る2人には、それぞれの仕事の立場を活かした、環境のために試みるアクションがあります。

TOP写真:鎌倉・七里ヶ浜の海岸にて。「レストラン・オギノ」荻野伸也シェフ(左)と、「パタゴニア プロビジョンズ」マネージャー、近藤勝宏さん(右)。



体験として自然を理解する

近藤 私はもともとアウトドアが好きでパタゴニアに入社したのですが、自然の中に身を置くうちに、環境の変化にも意識が向くようになりました。今では「故郷である地球を救うためにビジネスを営む」というパタゴニアのミッションは、私自身の生き方にも通じています。
自然環境への負荷をできるだけ少なくし、貢献していきたい。そのために、使い捨てのものを買わないようにしたり、その商品が作られる過程で環境に与えてきたインパクトを想像するようにしています。そして買ったものは長く使う。とは言え、長続きしなければ意味がないので、自分の心地良さも大事にしながら、できることを実践しています。



昨年12月に企業理念を「故郷である地球を救うためにビジネスを営む」に変更。社会へのインパクトを評価され、国連で最高の環境賞「地球大賞」を受賞。


荻野 僕も料理人として毎日食べものに関わっているうちに、自分たちが使っているものに対して、より強い責任を感じるようになりました。藤沢市に移住してからは、海が近いため漁師との繋がりができ、自分で畑も耕すようになりました。また自分で肉を捕ることもしてみたいと狩猟免許を取りました。
メールやFAXで注文すれば、翌日には真空パックで良いものが届きます。しかしあえて自ら山に入り、生き物が肉になる瞬間を手応えとして感じることで、全く違う世界が見えてくる気がしたのです。
海や山や畑が近くなったことで、山の環境や陸で行われていることが、最終的に海に影響を与えるという構造も、理屈ではなく身体的に理解できるようになりました。
本を読んだりネットで見ればわかることですが、誰かに伝えようとした時、経験を伴っているかどうかで説得力がまるで違うと思っています。



自然環境と食のつながりを体感してもらうことを目的に荻野シェフと行ったイベントの様子。



北海道阿寒摩周地域で行ったグルメライドでは、命あったエゾシカの解体から肉となり一皿の料理になるまでその流れを見てもらう。荻野シェフは今夏、狩猟免許を取得。



土の力を取り戻す

荻野 水も肥料も農薬も与えない、自然栽培を始めて2年になりますが、作物を育てる難しさを痛感しています。ブロッコリーは豆粒みたいだし、ニンジンは大きくなるまでにとても時間がかかる。自分でそれを経験して、当たり前に使っていた野菜のありがたみが増し、無駄にできない、皮も葉も食べようと改めて思いました。

近藤 パタゴニアでもこの数年、土の重要性に着目しています。スプーン一杯の土には数十億もの微生物がいると言われ、微生物と作物は互いに必要な養分を供給し合いながら共生しています。植物が光合成によって取り込んだ炭素も微生物によって利用されている。
しかし、この半世紀の間に行ってきた大規模型の工業的な農業の手法は、その関係性を壊してきました。単一栽培によって微生物の多様性は失われ、耕作によって表土は急速に流出しています。結果、人間が放出している温室効果ガスを土に固着する力が弱まり、気候変動を加速させているのです。

環境に配慮した農業というと、有機農業を思い浮かべる方が多いと思います。事実、オーガニック市場は、欧米では毎年2ケタ成長の伸びを見せています。しかし中には、確かにオーガニックではあるけど、大量の化石燃料や水を使って単一栽培をしているケースも見らるのです。そこでパタゴニアでは、従来の有機農業の一歩先を行くものとして、「環境再生型有機農業(Regenerative Organic Agriculture)」という認証制度を他社と共同で作りました。主に3つのことが挙げられます。
1. 不耕起栽培により表土の流出を抑える。
2. 単一栽培ではなく輪作をして、微生物の多様性を維持する。
3. イネ科やマメ科の作物を被服作物として植えたり、刈り取った雑草を土の上に残して、土に栄養を戻し、土壌の流出を防ぐ。
こういった農法は100年前にはどこでも普通に行われていました。今それを改めて見直し、現代に合った手法に落とし込んでいるのです。この栽培方法を続けると、長期的に見て収量が増え、台風などの自然災害にも強いことがわかってきました。表土の流出は最小限に抑えられ、根や茎を強く張っているため作物自体も逞しいのです。



パタゴニアは研究機関、複数企業と連携し環境再生型有機農業の認証制度を構築、推進している。

食の流れを修復するための解決策を探る試みとして食ブランドパタゴニア プロビジョンズをスタート。



荻野 僕も驚きました。取り引きしている農家さんは皆、自然栽培なのですが、台風に左右されることが少ない気がします。送られる野菜も2週間位元気で、萎れても水に放てば復活する。まだ生きているんじゃないかって思います。



自然の中の一部であるという意識

荻野 SDGsに掲げられている目標は、日々の生活の中でも貢献できることが多いですよね。そこに気付けるかどうか。僕も自分が表現したいことを実践する過程で、学び、考えたことを伝えることで、皆さんの意識に働きかけられたらと思っています。

近藤 確かに意識や行動を変える指針としてSDGsはとても有効ですよね。ただ一つひとつの項目は切り取って考えられるものではありません。特に環境問題は、様々な要因が複雑に絡み合って起きています。
そもそも人間が自然をコントロールできると思うのが間違いなんです。
自然という複雑なシステムの一部としてどう調和し、貢献しながら生きていくか。そんな風に、考え方自体を変えていかなければいけない時が来ているのではないでしょうか。



「食とアウトドアスポーツが導く持続可能な未来」と題し、近藤さん、荻野シェフ、参加者30名皆で行ったアイデアソンの様子。食を取り巻く問題を理解し、意識・行動変容のきっかけになるアウトドアイベントのアイデアを出し合った。



◎ パタゴニア プロビジョンズ
https://www.patagoniaprovisions.jp/
◎ レストランオギノ
https://french-ogino.com/ 




<NEWS>
「食の流れを修復する ー自然との調和のなかでー」をテーマに、パタゴニア 近藤さんと荻野伸也シェフにご登壇いただきます!奮ってご参加ください!

食の専門メディア・料理通信社が主催するSDGsカンファレンス
11月27日(水)開催 ‟食×SDGs” Conference-Beyond Sustainability- #1

 



ゴールとのつながり


4

教育   続可能な社会のために必要なリテラシーを持つ


7

エネルギー   エネルギーとの向き合いを見直す


12

つくる責任つかう責任   モノを使い捨てせず、修理をしながら長く大切に使う


13

気候変動   省エネを意識し、温室効果ガス排出増加につながる行動をできるだけ控える


14

海の豊かさを守ろう   水産資源を取り巻く海の現状と漁法を知り、持続可能な形で
            利用する


15

陸の豊かさを守ろう   人間もその一部である陸の生態系を取り巻く現状を知り、
            多様性を尊重する




  

<OUR CONTRIBUTION TO SDGs>
地球規模でおきている様々な課顆と向き合うため、国連は持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals) を採択し、解決に向けて動き出 しています 。料理通信社は、食の領域と深く関わるSDGs達成に繋がる事業を目指し、メディア活動を続けて参ります。









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