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JOURNAL / JAPAN

ようこそ発酵蔵へ【鰹節 Katsuobushi】

静岡・焼津「山七」

Mar 24, 2022

text by Kyoko Kita / photographs by Hide Urabe

写真で巡る発酵の世界。丁寧に時間をかけて微生物と向き合い、日本の伝統食を次代へつなぐ蔵、生産者を訪ねます。今回は世界一硬い食材と言われる鰹節作りの現場へご案内します。

遠洋で水揚げされた冷凍カツオを解凍後、三枚におろして煮る。

骨が残ってしまうと乾燥中に身が曲がるため、丁寧に取り除く。


カゴに並べ、コナラの木で焙乾。1カ月近くかけ、3~4日おきに焙乾を7~10回繰り返し乾燥させる。

全国の統一基準である「標準型」に美しく整えることも大切。

だしをとった時の華やかな香りと繊細な旨味、澄んだ色合いが身上の本枯節。削り節パックの原料には、カビつけ前の「荒節」も使われる。


水分を抜いて研ぎ澄まされる味

「鰹節は発酵食品である」という事実。削り節パックが当たり前になってしまった今、褐色のカビをまとった鰹節の姿を知らない子供も多いことだろう。三枚におろしたカツオを煮て、焙乾して作る鰹節(この段階では「荒節」と呼ばれる)。これに優良カビをつけ、天日干しと交互に繰り返すことで水分を抜き、保存性を高める製法は、江戸から明治にかけて考案され、発展し、現在に至る。

「にんべん」への卸しを手掛ける「山七」でも、天気の良い日には工場の前にずらりと節が並ぶ。「一番カビは気温28℃、湿度85%の室でつけます。種菌を吹き付けて1週間、フワフワとした緑色のカビがついたら、天日で半日乾かします。悪いカビが付きにくくなり、光のストレスがカビの生育に良い影響を与えるのでしょう」と代表の鈴木隆さん。二番カビ以降は常温の暗室で管理する。「四~五番カビまでつけたものは、軽く打ち合わせると、カーンと曇りのない音がします」。この「本枯節」が完成するまでには半年を要する。

鰹節は、結婚式の引き出物や神事に使われることから、姿形の美しさも重視される。カビつけ前に、1本1本「標準型」に近づくよう、やすりで丁寧に削っていく。その技術を持つ人は減り続け、焼津でも70代の職人1人しかいないという。日本文化を担う技術の継承が急がれている。

「山七」の鰹節は「にんべん」で購入可能。背節は脂肪分が少なくきれいに削れ、腹節は旨味が強い。近年、削り器の需要も微増。本枯節の削り節パックもあり。



◎山七
静岡県焼津市田尻2212-12
☎054-656-1777
http://yama7.jp

(雑誌『料理通信』2017年10月号掲載)

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