日本[茨城]
焼きイモから蜜が滴るサツマイモ
「紅優甘(べにゆうか)」
【茨城直送便03】
2021.11.01
【PROMOTION】
text by Rieko Seto / photographs by Hiyori Ikai,Hide Urabe
連載:茨城直送便
東京都心から車で1時間。都市で暮らす人々の食卓を支える茨城県は農産物の一大産地です。地の利を生かして食べ時を逃さず、旬の県産農産物を都心で味わうメニューオン企画、第三弾は冬の味覚、サツマイモ。収穫真っ盛りの9月下旬、県南東部に位置する行方(なめがた)市を訪ねました。
目次
産出額全国1位の茨城県が誇る産地ブランド
夏を過ぎ、涼しい風が吹き始めると食べたくなるのが、しっとり、ホクホク、甘味たっぷりのサツマイモ。全国1位の産出額を誇る茨城県の中でも、霞ヶ浦と北浦に挟まれた台地に位置する行方市は、年間を通じて質の高い品を供給することで知られる、サツマイモの一大産地だ。
「出来がいいね! こんな風に形も色も揃って、ひとつの茎からいくつもイモができたら最高だ」。収穫作業が進む畑で、サツマイモを手に取りながら、JAなめがたしおさい甘藷部会連絡会の会長を務める髙木雅雄さんは顔をほころばせた。取材で訪ねた9月下旬に収穫されていたのは、紅優甘(べにゆうか。品種名べにはるか)。紅まさり(品種名べにまさり)や紅こがね(品種名ベニアズマ)に先立って収穫期を迎える。甘さが特に優れていて、水アメにも似た自然でやさしい風味としっとりした食感が魅力的な、人気上昇中のブランドだ。
「この辺りは赤ノッポと言われる関東ローム層の赤土で、傾斜があって水はけがいいし、暖かいからいいイモができるんだよ。トラクターで畑の土をやわらかくして、たっぷり肥料をやることが大事。落ち葉や刈った草を発酵させて土に入れたり、豚糞などの堆肥を混ぜてしっかり土を作っています」と、髙木さん。
ウイルスフリー苗の導入にもいち早く着手し、電熱の温床線を地面に張り、ビニールを二重にした温かいハウスで苗を増殖してから、栄養たっぷりの畑に植え付ける。「先代の頃から地域を挙げてイモの品質向上ばっかりやってきました。肥料でも苗でも栽培技術でも、連絡会の会員や農協、県と一緒に取り組んで、データを集めて、たくさん勉強して、みんなでいいイモを作ってきた。それが産地のレベルを上げ、ブランド力を高めているのだと思います」
サツマイモのおいしさを最大限に堪能したいならば、おすすめは何と言っても焼きイモだ。同連絡会では、1年を通じて甘くてしっとりした焼きイモを安定的に提供するため、収穫期の異なる先述の3つの品種を順に出荷する「品種リレー出荷体制」を敷いている。そして、紅優甘のように糖化の速度が速く、収穫直後から甘味を楽しめるものはそのまま出荷するが、出荷まで長期間保管するものは「キュアリング定温貯蔵」を実施。収穫したイモを土つきのまま、温度32度、湿度90%の部屋で4日間貯蔵することにより表皮の下のコルク層が厚みを増す。その後、温度13度、湿度90%の貯蔵庫で保管すれば、鮮度を長期間保持でき、甘さとしっとり感も増すという。
甘さ抜群、蜜が滴る焼きイモ
手渡された紅優甘の焼きイモを食べると、しっとりしていて驚くほど甘く、まるでお菓子のスイートポテトを味わうかのよう。皮ごと食べても邪魔にならず、中からじゅわっと蜜がしみ出て、サツマイモならではの甘やかな味と香りが口いっぱいに広がる。「イモの焼き方も徹底的に研究したんですよ。イモの太さや品種ごとの違いもデータ化して、適した温度と時間を割り出して詳しいマニュアルも作りました。それを各地のスーパーに配って、おいしい焼きイモをどこでも店頭販売できるようにしたんです。市場任せにせず、消費者まで意識してニーズに応え、高品質なイモを安定的に出す。それが信頼をいただく大きな力になっています」
紅優甘が出荷されるのは、8月から翌1月中旬まで。一番おいしい時期を見極めて加工した冷凍焼きイモも販売しており、こちらは電子レンジで温めてすぐ味わえる。地域一体となった情熱とこだわりによって生み出された極上の甘さは、味わう人々に驚きと笑顔を届け、心をとらえて離さない。
洋酒を合わせた大人のパフェ「フラべドルーフトップ」
「紅優甘は、蒸したり焼いたりして食べるのもおいしいですが、焼きイモだと特に甘味や風味が豊かで、コクもあって、ねっとりとした質感がいいですね」と語るのは、東京・二子玉川「フラべドルーフトップ」の鶴見昂さんだ。「砂糖を多く加えずにその自然な甘さを使って、しっかりサツマイモを食べたという満足感がありつつ、カルヴァドス(リンゴのブランデー)やラムレーズンを合わせて、大人っぽい印象のパフェを作りたいなと思いました」
できあがった「おいものパフェ」は、軽やかな紅優甘のムースと、さわやかな柿のカボスマリネ、紅優甘とカルヴァドスのアイスクリーム、クランブルと角切りにした紅優甘の焼きイモ、ラムレーズンのアイスクリーム、表面に焼き目をつけた濃厚な紅優甘のクリームが層を成し、仕上げにあしらわれた紅優甘のチップがアクセント。紅優甘の多彩な食感と、それによって異なる風味の印象が楽しく、芳しい洋酒の香りが華やかさを添える。間に仕込まれたクランブルと焼きイモの角切りが食感の変化をもたらし、カボスの酸味をまとった柿のみずみずしさですっきりした後口に。
「サツマイモの味わいには『秋が来た!』という喜びがあるので、日本で親しまれてきた季節の果物である柿とカボスを合わせて、甘味とみずみずしさ、酸味のバランスを取りました。カルヴァドスと相まって、紅優甘のジューシーさともスムーズにマッチした気がしています」と語る、鶴見さん。その穏やかで上品な調和が、日本人の心を和ませる。
「紅優甘フェア」開催
2021年11月1日~12月3日迄
◎フラべドルーフトップ
東京都世田谷区玉川3-17-1 玉川髙島屋S.C南館7F
☎03-6431-0444
11:00~19:00(LO18:30)
玉川髙島屋S.Cの定休に準ずる
https://flavedo.jp/pages/flavedorooftop
13種のパーツとソースで変化に富んだ「デリーモ」のパフェ
東京・目白「デリーモ」の江口和明さんが手がけたのは、「パフェ ベニユウカ」。コンセプトは、「サツマイモのパフェのイメージを鮮やかに裏切りつつ、サツマイモを一番おいしく食べてもらうために作ったパフェ」だ。
「紅優甘は品のいい甘さで、口溶けがいいけれど、サツマイモらしい繊維質の食感もきちんと感じられるところがいいと思います。その本当においしいところに、カスタードを加えた焼きイモのクリームと、角切りにした焼きイモでストレートに感じてもらい、他の素材をいろいろ重ねてさらに魅力を引き出すよう仕上げました」と、江口さん。
食べ始めとなるトップの部分は、紅優甘のクリームと、ユズソースを入れたジャージーミルクアイスクリームで、スイートポテトのようなわかりやすいおいしさを表現。その下には、ユズとミカンのキャラメル、ユズのジュレ、ミカン、ヘーゼルナッツのメレンゲ、サクサクした食感のチョコレート、ミカンのソルベ、ブロンドチョコレートのクリームなどが紅優甘の焼きイモとともに美しく層を成し、フレッシュですっきりした調和を醸し出す。そして、グラスの横に添えられたビターチョコレートのソースをかけると味わいが激変し、一気にチョコレートパフェの様相に。キャラメルのような風味をおびたブロンドチョコレートと紅優甘、さわやかな柑橘との相性がぴったりで、またひとつ違う、紅優甘の奥深さと力強さをまとった魅力が楽しめる。
「素材の組み合わせで生まれる、想像しなかったおいしさにワクワク、ドキドキするのは楽しいですし、大事ですよね。それを経て、最終的に『この焼きイモ、すごくおいしい!』と、感じていただけるのではないかと思います」
秋の到来を真っ先に告げる、紅優甘の力強くもやさしい甘さ。パティシエたちの感性と技によって、さらなるおいしさが広がっていく。
「紅優甘フェア」開催
2021年11月1日~12月3日迄
◎パティスリー&ショコラバー デリーモ目白店
東京都豊島区目白2-39-1トラッド目白1F
☎03-3988-1321
10:00~20:00(LO19:00)
施設の定休に準ずる
https://de-limmo.jp/pages/mejiro
◎「紅優甘」に関するお問い合わせ
茨城県営業戦略部 販売流通課
茨城県水戸市笠原町978-6
☎029-301-3966