辛党にも喜ばれる!?塩味効かせ、甘すぎない「プルーン・ピーカン・ブラウニー」
フェーズフリーな食材レシピ:プルーン、ナッツ、チョコレート
2023.02.02
photographs by Hiroaki Ishii
乾物や漬物など、常温で長期保存でき、ビタミンやミネラルなど栄養価も高い食材は、備蓄食品にも向く優れもの。普段から食事に取り入れ、使い慣れることで、「いざという時に賞味期限が切れていた」「食べ慣れない味で食が進まない」という問題も避けられます。「いつも」と「もしも」をつなぐフェーズフリー*な食材を、おいしく活用するレシピ。今回はバレンタインにもぴったり、プルーンを使ったチョコレート・スイーツを紹介します。
常備したい食材:プルーン、ナッツ、チョコレート
教えてくれたシェフ:東京・東麻布「モーニングトン・クレセント」ステイシー・ウォードさん
英国菓子教室「モーニングトン・クレセント」主宰。英・マンチェスター生まれ。大学で美術専攻後、日本の高校で英語を教える仕事のため2001年に来日。2014年モーニングトン・クレセント(略称“モンクレ”)をスタートし、伝統菓子の歴史を紐解き、再現して教える。月に2回の販売日、オープンベーカリーは行列ができる人気。『Mornington Crescent Tokyoの英国菓子』(PARCO出版)を上梓。
混ぜ過ぎず、空気を含ませて焼く
チョコレートの風味豊かでリッチなスイーツ、ブラウニー。アメリカ発祥の焼き菓子ですが、イギリスの家庭でもよく作られています。たくさんあるバリエーションの中から、塩味を効かせて甘さ控えめの「プルーン・ピーカン・ブラウニー」を作りましょう。
プルーンは前の晩からブランデーに漬け、ピーカンナッツはオーブンで空焼きしてから使います。プルーンの深みとナッツの香ばしさで、より大人っぽいブラウニーに仕上がります。
生地を作るとき、2つのポイントがあります。まず、粉を加える前に、卵と砂糖をフワフワに泡立てること。ブラウニーは、表面がボコボコして、ところどころにシワやヒビが入っているのが特徴です。ベーキングパウダーを入れず卵の泡立ちを利用して膨らませるので、泡立てが足りないと生地が膨らまず、冷めた時にシワやヒビが入らない。生地をたらすと文字が書ける状態を目安に、しっかり泡立ててください。
2つ目のポイントは、生地を混ぜ過ぎないこと。チョコレートを加えたらマーブル状になったところで粉を一気に加え、空気を含ませながら、切るように混ぜます。ボウルの下の方に粉がたまっているので、底からすくい上げるように。空気を多めに含ませ、せっかく泡立てた生地がベシャッとならない状態を保ちましょう。
クッキングシート敷いた型に生地を流し、表面にピーカンナッツ、塩を散らします。カリっとしたシーソルトがおすすめです。これでまた一段と大人好みの味に近づきます。オーブンで30分ほど焼くと出来上がり。一番しっとりしているのは真ん中。端にいくほどサクッとしています。焼き立てもいいけれど、1日おくと味がなじんでまた別のおいしさになります。
ピーカンナッツをクルミやヘーゼルナッツに、プルーンをオレンジやイチジクなど他のドライフルーツに替え、ブラウニーのバリエーションを広げるのも楽しいですね。
「プルーン・ピーカン・ブラウニー」 材料と作り方
[材料](18㎝×18㎝の型1台分)
プルーン・・・60g
ブランデー・・・10g
ピーカンナッツ・・・50g
無塩バター・・・90g
塩・・・2g
ココアパウダー・・・15g
チョコレート(溶かす用)・・・100g
卵・・・85g
グラニュー糖・・・140g
中力粉・・・90g
チョコレート(粗く刻む)・・・40g
海塩(Maldon)・・・適量
[作り方]
[1] 型に紙を敷く
型より一回り大きいクッキングシートに型をのせ、余った部分の4隅に切りこみを入れて折る。型に敷きこむ。
[2] プルーンはブランデー漬けに
プルーンは前の日からブランデーに漬けておく。ピーカンナッツは180℃のオーブンで5分程度空焼きする。
[3] バターに溶かす
鍋にバターと塩を入れて弱火にかけて溶かす。ココアパウダーを加えてホイッパーで混ぜてバターに溶かす。
POINT:油に溶かすとカカオの風味がアップ!
[4] チョコレートを溶かす
火から下ろし、チョコレートを加えて余熱で溶かす。
[5] 砂糖をよく溶かす
ボウルにほぐした卵とグラニュー糖を入れてしばらくおく。ゴムベラで混ぜてグラニュー糖を溶かす。
[6] ハンドミキサーで泡立てる
ハンドミキサーを使ってふわふわになるまで泡立てる。
[7] 帯状が目安
全体がよく混ざるようにボウルを傾けてミキサーで泡立てる。生地をたらすとリボン状になるようしっかり立てる。
[8] チョコレートを混ぜ込む
4を加えてゴムベラでざっくり混ぜる。
POINT:混ぜ過ぎない!
[9] 粉を加える
小麦粉をふるいにかけて加え、ゴムベラでざっくり混ぜる。
POINT: 混ぜ過ぎない!
[10] プルーンとピーカンナッツを加える
粗く刻んだプルーンとピーカンナッツ、チョコレートを加え、ゴムベラでざっくり混ぜる
POINT: 混ぜ過ぎない!
[11] 型に流す
1の型に流し込み、表面にピーカンナッツ、海塩を飾る。
[12] オーブンで焼く
170℃のオーブンで30分焼く。竹串を刺して何もつかなくなったら完成。
◎モーニングトン・クレセント
東京都港区東麻布2-14-3
カサド並木101
☎03-6441-0796
※営業日は不定期。ウェブサイトで要確認
各線麻布十番駅より徒歩5分
http://mornington-crescent.co.jp
*フェーズフリー(Phase Free)は、防災の専門家として活動を続けてきた佐藤唯行氏が2014年に提唱した考え方。
(雑誌『料理通信』2019年2月号掲載)
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