イギリスのトップ・ショコラティエに教わる!
カリフォルニア プルーン×チョコレートでクリエイトする新しい味わい
2018.12.06
FEATURE / MOVEMENT
ロンドンで3店舗を展開するショコラトリー「paul.a.young fine chocolates」のオーナーであり、自身もイギリスを代表するショコラティエであるポール・A・ヤングシェフ。上質な素材選びと完全な手作りをモットーとする氏のショップには、カリフォルニア プルーンを使ったチョコレートも並びます。そんなシェフ直伝の「カリフォルニア プルーン×チョコレート」レシピを学べる贅沢なセミナー「カリフォルニア プルーン プレミアムチョコレートセミナー」が、2018年11月7日、東京・新宿の東京調理製菓専門学校で開催されました。初来日中のポールシェフのデモンストレーションに加え、“行列のできる英国菓子教室「モーニングトン・クレセント」を主宰するステイシー・ウォードさんもスペシャル・アシスタントとして参加。充実のセミナーの模様をレポートします。
最上の素材を選び、
シンプルに仕立てる
料理のシェフからパティシエ、そしてショコラティエに。ユニークな経歴をもつポール・A・ヤングさんにとって、チョコレートとは「見て楽しく、香りが素晴らしく、食べておいしい。誰もを幸せにできる特別な食べ物。
「そのために、一切の妥協をしたくないのが材料のクオリティ。そして、素晴らしい材料であるからこそ、複雑にしすぎず、しかし丁寧な手作りで素材の良さを引き出すこと。それが私のチョコレート創作の原点です」
合成化合物や人工のエッセンス、保存料、添加物の類は使わず、自然な素材だけを使用することも重要なコンセプトのうち。そんなポールシェフが惚れ込み、愛用している食材のひとつにカリフォルニア プルーンがあります。
イギリスではプルーンというと、消化・整腸によい食べ物というイメージが強く、シェフの幼少時代にも、風邪をひいたときは柔らかく煮たプルーンをよく食べていたそう。
「でも、ショコラティエとしては、より革新的な手法でプルーンを使ったチョコレートにチャレンジしてみたいと考えました。幸い、カリフォルニア プルーンはホール以外にもピューレ、パウダー、濃縮果汁といった形状のバリエーションがあって、さまざまなレシピに応用できる使いやすさも魅力ですね」
今回のセミナーで使われたのは、ピューレ、パウダー、濃縮果汁の3タイプ。シェフが愛用するもうひとつの定番素材、ギタード社のチョコレートとの組み合わせで、2種類のチョコレートレシピに仕立てていきます。会場には、すでにクーベルチュールが溶ける甘い香りが、ふんわり。期待が高まる中、いよいよデモストレーションのスタートです。
濃厚で日持ちも抜群!
カリフォルニア プルーン×ピーナッツバターのチョコレートバー
1作目は、カリフォルニア プルーンとピーナッツバターで作るチョコレートバー。共に糖分は控えめ、食物繊維やタンパク質が豊富な栄養価の高い食材同士。みっちりと濃厚な食感で、食べごたえでも満足度の高いスイーツです。
「プルーンとダークチョコレートは、とても相性のよい組み合わせ。今回はピューレを使っていますが、ホールのプルーンとお湯をフードプロセッサーで撹拌して作ってもOKですよ」とポールシェフ。プルーンのピューレとピーナッツバターを混ぜるとき、わずかに塩を加えることで、フィリングの香りと甘味がアップするそう。“バン・マリー(bain-marie)”と呼ばれる湯煎方式でゆっくり溶かしたダークチョコレートと混ぜ、天板に広げて冷やした後、棒状に切り分けます。
このチョコレートのもうひとつの特徴は、「格別に日持ちのするお菓子であること」とも。
「1年たっても、品質とおいしさが変わることはありません。プルーンピューレは保水性が高いので、しっとりした状態を長く保ち、天然の保存料として機能してくれるのです。プルーンを使う以前は、賞味期限が常に悩みのタネだったので、とてもうれしい驚きでした」
芳醇なコクと甘酸っぱさ
カリフォルニアプルーン×黒ビールのトリュフ
コロンと丸い形が可愛らしいトリュフチョコレートは、2013年に初めてロンドンのショコラトリーに登場したもの。ドーム型のシェルの中には、ポーターやスタウトなどの黒ビールとたっぷりのプルーンピューレを合わせて温め、ミルクチョコレートと混ぜたガナッシュが詰まっています。
「プルーンピューレを入れることでキャラメルやビタートフィの香りが加わり、風味が豊かに。自然な甘味が糖分を補ってくれるので、砂糖の使用量もぐっと抑えられるようになります」
セミナーでは、コーティング用ダークチョコレートのテンパリングのデモストレーションも。「チョコレートをおいしくする秘訣は、“スローダウン”。とにかく1つ1つの工程を、丁寧に時間をかけて行うこと」と、キッチンパレットとスクレーパーをさばきながら極意を披露するポールシェフ。急激に冷やすとダマになるため、30℃前後の温かさをキープしながら、結晶をコントロールするのがコツ。
上手にテンパリングされたチョコレートは艶があり、パリッと軽快な歯ざわりが。トリュフのシェルだけでなく、チョコレートバーにも、たっぷりコーティングします。
糖分や脂肪に替えて使いこなせる
カリフォルニア プルーンの可能性
デモストレーション終了後は参加者との質疑応答タイムに。質問が集中したのが、カリフォルニア プルーンとチョコレートの相性について。答えるシェフの口から、プルーンの味わいだけでなく、製菓材料としての“機能性”という言葉が多く多く聞かれたのが印象的でした。
たとえば、砂糖の代替として。砂糖を多用すると、時としてチョコレートの品質劣化を早めてしまいますが、「プルーン、特に濃縮果汁は品質が安定していて、ガナッシュに入れても粘性と滑らかさが保たれます」。また、その保水性の高さゆえ、シェルの内側に水分を閉じ込めておくことができるため、表面にヒビが入って劣化する心配がないそうです。
「バターやオイルなど、油脂分と置き替えて使える点も評価したいですね」。しかも100%ナチュラルな素材であり、新鮮さとしっとり感では、バターに勝るとも劣らないとポールシェフは強調します。「健康上の理由で砂糖や油脂を控えたい人にも、おいしいお菓子を届けられるということ。それこそが、ショコラティエにとって無上の喜びなのです」。カリフォルニア プルーンは、これからもポールシェフのクリエーションを支える、なくてはならない食材であり続けるに違いありません。
◎ paul.a.young fine chocolates
143 Wardour Street
Soho
London W1F 8WA
☎ +44 (0)20 7437 0011
http://www.paulayoung.co.uk/
[カリフォルニア プルーンに関するお問い合わせ]
◎カリフォルニア プルーン協会
☎ 03-3584-0866
http://www.prune.jp