プラントベースの始め方04
ペルー庶民の屋台のおやつ。スパイス×根菜ドーナッツ「ピカロネス」
「荒井商店」荒井隆宏シェフ
2024.10.10
photographs by Hide Urabe
連載:プラントベースの始め方
健康や環境への配慮から、植物性の食材を主体とする“プラントベース”な食事法が注目されています。肉や魚や乳製品に頼らずとも「おいしい」料理を作る知恵は、世界各地に存在します。身近なレシピからおいしくプラントベースを始めるヒントを紹介します。
教えてくれた人
東京・新橋「荒井商店」荒井隆宏さん
べチャッと生地を、ふかっと揚げる
ペルー庶民に愛される屋台スイーツです。揚がったドーナッツが菜箸に何個も通され、吊るされている光景をよく見かけます。
基本はスパイスの風味を付けたボチャとサツマイモを、小麦粉と合わせて揚げるだけ。ただ現地では、カボチャといっても「サパージョ」と呼ばれる巨大な水っぽいウリみたいなカボチャを使う。その水分を生かして、もっとベチャベチャな生地で作ります。その分油をたっぷり吸って、ボコボコと軽く膨らむんです。そして溺れるくらい黒糖シロップをびちゃびちゃに浸して食べる。「ボラッチート(よっぱらい)」と呼んでいます。
もちろんそのままでもおいしい。短時間で揚げて表面はふかっと、中はもっちり。根菜の素朴な甘味で、何個でもいける。さらに軽やかな柑橘の酸と、シナモンやイチジクの葉で妖艶に香らせた黒糖シロップを纏うと、ぐっと洗練された味になりますよ。
<植物性食材だけでおいしくなるコツ>
1 サツマイモは実が締まって硬く、ツヤがあるものを選ぶ
2 カボチャは味が煮汁に流れ出ないように茹ですぎない
3 短時間でふかっと揚げる
「カボチャとサツマイモのドーナッツ(ピカロネス)」の作り方
[材 料 (10~20個分)]
サツマイモ、カボチャ(皮を剥き、3㎝角に切る)・・・各150g
小麦粉・・・120g
塩・・・適量
A
アニスシード・・・大さじ1
シナモンスティック・・・1/2 本
クローブ・・・大さじ1
B
ぬるま湯・・・50ml
ドライイースト・・・5g
砂糖・・・2g
黒糖シロップ*……適量
* 鍋に水10ml、黒糖100g、クローブ4本、シナモンスティック1/4 本を入れて中火にかけ、沸いたらオレンジの果汁50ml と皮(細切り)少量、イチジクの葉(乾燥・みじん切り)1枚を加え、2~3分煮る。香りが立ち、軽くとろみがついたらザルで漉す。
[1]スパイスを煮出す
鍋に水700ml とAを入れて火にかける。沸騰したら弱火にして約10分煮出す。ザルで漉し、冷ます。一部煮汁は生地用に取りおく。
[2]根菜は弱火で茹でる
1とサツマイモ、塩を加えて弱火にかける。時間差でカボチャを加え、竹串がスッと通るまで火を通す。
[3]マッシュする
2をザルに上げて取り出し、マッシャーで潰す。
[4]手で混ぜる
小麦粉、混ぜて10分置いたB、1の煮汁を少量加えて粉気がなくなるまで手で混ぜる。 POINT:練りすぎない。生地がべとつく位でOK。
[5]丸めて穴をあける
好きな大きさに丸めて中央に穴を開け、ドーナッツ状にする。ゆるい生地なので作業しづらいが、これがもっちり食感のカギ。
[6]軽く揚げる
175~180℃の油(分量外)で片面2~3分ずつ、ほんのり色づくまで上げる。POINT :カリカリになるまで揚げず、軽くふわっと仕上げる。好みで黒糖シロップをかける。
◎荒井商店
東京都港区新橋5-32-4
☎03-3432-0368
11:30~14:30LO、18:00~22:00LO
日曜休
※新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため要請に合わせて営業時間が変わることがあります。
(雑誌『料理通信』2019年9月号掲載)