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RECIPE

プラントベースの始め方10

キャベツが一転、ビロードのような食感に。春キャベツのベルッタータ

「ヴェンティノーベ イン ボッティーリア」竹内悠介シェフ

2022.03.28

プラントベースの始め方10 キャベツが一転、ビロードのような食感に。春キャベツのベルッタータ 「ヴェンティノーベ イン ボッティーリア」竹内悠介シェフ

photographs by Hide Urabe

連載:プラントベースの始め方

健康や環境への配慮から、植物性の食材を主体とする“プラントベース”な食事法が注目されています。肉や魚や乳製品に頼らずとも「おいしい」料理を作る知恵は、世界各地に存在します。身近なレシピからおいしくプラントベースを始めるヒントを紹介します。

教えてくれた人
群馬「29 in bottiglia(ヴェンティノーベ イン ボッティーリア)」竹内悠介シェフ

教えてくれた人 群馬「29 in bottiglia(ヴェンティノーベ イン ボッティーリア)」竹内悠介シェフ

2020年に東京、西荻窪で9年間続けた「trattoria29」を閉めて、群馬に移住。現在、新店舗オープンを目指して準備中。群馬のおいしい旬の野菜や果物を瓶に詰めて届けるオンラインショップ「29 in bottiglia」運営。


焦がさず、キャベツに汗をかかせる

「べルッタータ」はビロードのように滑らかな口当たりに仕立てたピュレ状のスープです。初めて食べたお客様は、「これがキャベツ!? 」とびっくりされます。バターも生クリームも入っていないとお伝えすると、さらに目を丸くして、2度驚かれますね。

材料はキャベツと塩とオリーブ油の3つ。作り方も蒸し煮にしてから、ハンドブレンダーで撹拌するだけのシンプルさです。

ベルッタータの味づくりで大切なのは、とにかく「焦がさないこと」。そのためには弱火でキャベツに汗をたくさんかいてもらいながら、その水分を無駄なく活用して蒸し煮にしていきます。火の当たりをまんべんなくするため、時々蓋を開けて混ぜますが、裏蓋についた水分を鍋に戻すことも大切。また開けたら、なるべく短い時間で混ぜ、焦げがないか確認して、すぐに蓋をするのも水分維持の小さなコツです。ちょっとでも焦げを見つけたら、すぐに取り除いてください。炒めた香りにしないためです。

後半はゆっくりやさしい甘味を引き出しつつ、その甘味を焦がさないように気を付けます。芯が指で簡単に潰せるくらいまで柔らかくなったら、ハンドブレンダー専用の細長い容器に移します。この時、キャベツを取り出した後の鍋底が茶色くなく、洗ったようにピカピカしていたら成功です。

ハンドブレンダーでキャベツの繊維を徹底的に消し、ビロードのような口当たりに仕上げると、イモにも似た膨らみのある味わいが出てきます。生のせん切りやロールキャベツでは感じたことのない、キャベツの全く違う一面が体験できます。

器に盛ってから、たっぷりの上質なオリーブ油をかけますが、調理の工程で使うオリーブ油の量はキャベツ半個に対して大さじ2のみ。満足感も高く、ヘルシーな一皿です。温かくても美味ですが、暑い時は冷たくしてもおいしいですよ。


<植物性食材だけでおいしくなるコツ>


1 水分が多い春キャベツがベスト。
2 厚手の鍋と密閉性の高い蓋で、水分を逃さない。
3 絶対に焦がさない。少しでも焦げが見えたら除く。

「春キャベツのベルッタータ」の作り方

[材 料](3人分)
キャベツ(春キャベツではない時は、水を少量補って蒸し煮にする)・・・1/2個
E.V.オリーブ油・・・大さじ2
塩・・・適量

仕上げ
E.V.オリーブ油、黒コショウ・・・各適量
ルーコラの葉はお好みで。
(動物性食材を加える場合は、パルミジャーノのチップスを加えてもよい)


[道具のポイント] ハンドブレンダー。鍋の中にそのままハンドブレンダーを入れても、キャベツが逃げて撹拌がしっかりできないため、付属の細い容器に移して行う。竹内シェフのブレンダーだと、3分半ほどでビロードのような食感に。メーカーによってパワーの差があるので、最終的な仕上がりは自身の舌で確認すること。

[道具のポイント]
ハンドブレンダー。鍋の中にそのままハンドブレンダーを入れても、キャベツが逃げて撹拌がしっかりできないため、付属の細い容器に移して行う。竹内シェフのブレンダーだと、3分半ほどでビロードのような食感に。メーカーによってパワーの差があるので、最終的な仕上がりは自身の舌で確認すること。

[1]キャベツを切る

キャベツは半分に切って芯を落とし、葉は1cm幅に、芯は8mm幅に切る。

[2]キャベツを投入してから着火

鍋にオリーブ油を入れて全体に広げる。キャベツを山盛りに入れ、塩をふたつまみふってから弱火にかける。 [3]キャベツに汗をかかせる

鍋にオリーブ油を入れて全体に広げる。キャベツを山盛りに入れ、塩をふたつまみふってから弱火にかける。

[3]キャベツに汗をかかせる

キャベツがしんなりするまでは、側面からヘラを入れて返し、熱がまんべんなく行き渡るようにする。 POINT:絶対に焦がさない。香りだけでなく、色も茶色っぽくなるので、焦げが見えたらすぐに除去。鍋底が常にピカピカな状態を維持する。 [4]細火で蒸し煮状態に

キャベツがしんなりするまでは、側面からヘラを入れて返し、熱がまんべんなく行き渡るようにする。
POINT:絶対に焦がさない。香りだけでなく、色も茶色っぽくなるので、焦げが見えたらすぐに除去。鍋底が常にピカピカな状態を維持する。

[4]細火で蒸し煮状態に

かさが2/3ほどになったら、蓋をする。細火に落として、全体に汗をかかせるように蒸し煮にする。 POINT:薄手の鍋は焦げやすいので、厚手の鍋を使用する。キャベツの水分だけで蒸し煮にするために密閉性の高い蓋を使い、水分を逃さない。 [5]焦げないよう、時々混ぜる

かさが2/3ほどになったら、蓋をする。細火に落として、全体に汗をかかせるように蒸し煮にする。
POINT:薄手の鍋は焦げやすいので、厚手の鍋を使用する。キャベツの水分だけで蒸し煮にするために密閉性の高い蓋を使い、水分を逃さない。

[5]焦げないよう、時々混ぜる

時々蓋を開けて、裏蓋の水滴をキャベツに戻して混ぜる。焦げたところがないか、匂いと目視で確認する。

[6]火を止める合図

芯を指で押してみて、すぐにムニッと潰れるくらいの柔らかさになったら、蒸し煮終了の合図。

[7]蒸し煮を終えた状態


最終的に、かさは半分ほどに減る。焦げたところがなく、全体にグリーンの状態で蒸し煮を終える。 [8]ハンドブレンダーで撹拌

最終的に、かさは半分ほどに減る。焦げたところがなく、全体にグリーンの状態で蒸し煮を終える。

[8]ハンドブレンダーで撹拌

細い容器にキャベツを移し、ハンドブレンダーを容器の中で上下させながら撹拌する。 [9]あとひと押しでビロードの食感に

細い容器にキャベツを移し、ハンドブレンダーを容器の中で上下させながら撹拌する。

[9]あとひと押しでビロードの食感に

2分程で繊維は消えたように見えるが、さらに撹拌し、ビロードのような食感になるまで続ける。 (雑誌『料理通信』2018年5月号掲載)

2分程で繊維は消えたように見えるが、さらに撹拌し、ビロードのような食感になるまで続ける。

(雑誌『料理通信』2018年5月号掲載)



◎29 in bottiglia
Instagram: @trattoria29

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