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おいしいパルマハムの極意

至福の味を作る「スライサー」の選び方

Feature / MovementDec. 6, 2018

Text by Kaoru Minokoshi / photographs by Hide Urabe

「日本では、パルマハムのポテンシャルを100%引き出すスライス術が、まだまだ足りていないのが実情です」
と語るのは、日本人唯一のパルマハム職人、多田昌豊さんです。切り方で味わいの印象が大きく変わるパルマハム。なかでも日本でここ数年人気の「ふわり、極薄」のスライスには、パルマハムに適したスライサーが不可欠です。

自分に合ったスライサーの選び方、使い方、メンテナンスまで、日頃の疑問を解決するための特別セミナーを開催。その模様をレポートします。

教える人  元パルマハム職人 多田昌豊さん
1971年生まれ。日本人唯一のパルマハム職人。麻布大学獣医学部環境畜産学科で「食肉加工学」を専攻。まだ輸入解禁前のパルマハムを食べ衝撃を受け、その製法に大変な興味を持ち、パルマハム職人になることを決意する。2000年渡伊、老舗パルマハム生産工場Galloni社に入社。9年間職人として働く。全ての工程をマスターし、「職人」の称号を得る

マエストロは1枚8gを目指す




パルマハムは、スライスの仕方次第で味が大きく変わることは意外に知られていない。多田さんいわく、「日本では、パルマハムのポテンシャルを100%引き出すスライス技術がまだまだ足りていないのが実情です」。生ハムの組成を知った上で専用スライサーで適切にスライスすると、もっとおいしく提供できるという。

「え? 組成?」と疑問の表情を浮かべる受講者の大沼さんと鈴木さんに、多田さんがわかりやすく解説してくれた。「豚のモモ肉、と一言ですませがちですが、実はいろいろな肉質の集合体です。おしりの側は脂が厚くてサシが入っていて、しっとりして口溶けがいい。スネ側は脂がなくてピンク色が濃く、肉質がしっかりして味が濃い。もっと言えば、筋膜に包まれた筋肉一束ごとに微妙に肉質が違っている。それらすべての部位を1枚の中におさめるのが理想的なスライスです。これをナイフとフォークで切って食べるのではなく、丸ごと口に含むことで、様々な風味が折り重なって、本来の旨さを100%堪能できるようになるんです」

すべての部位を1枚に、となると、切断面はおのずと大きくなり、スライサーの刃は直径30㎝以上必要になる。また一口でぱくり、なら、スライスが厚いと食べにくい。「最も面の大きい部位でも、1枚8gまでを目安にスライスしてください」と多田さん。なるほど、透けるほど薄く切ることで、舌にのせた瞬間に脂がとろけて肉にまとわりつき、味と香りが一気に広がる。



△あと一歩 薄く見えても、まだ厚め




大沼さんが電動に挑戦した最初のスライス。向こうが透けるほどではないため、一口で食べるには厚い。

○合格! 向こうが透けて見える

電動で何度か練習を重ねた後のスライス。向こうが透けて見え、理想の1枚8gへ。風味の違いは歴然。


理想のスライスを実現させるスライサー

直径30㎝以上の刃で、パワーのあるスライサーがパルマハムに適している。「手動と電動、どちらがおすすめですか?」という大沼さんと鈴木さんの質問に、多田さんがわかりやすく解説してくれた。

電動スライサーは刃の回転数が多く摩擦熱が生じやすいが、パルマハムの脂が温まることで、「〝トゥルン〞となめらかなテクスチャー」になる。また、刃に押し当てる力加減でコンマ数ミリの微妙な厚さ調節ができ、部位ごとにスライスの厚みを調節することも可能だという。つまり、水分量が刻々と変わる生ハムの状態に応じて、また断面の肉質に応じて微調整できるというわけだ。微調整できるだけの知識と経験は当然、必要だ。

手動式スライサーの方は、刃の回転速度が遅く、わずか2回転ほどで、生ハムの温度を上げずに切れるため、「〝ほわっ〞としたやさしいテクスチャー」が生まれる。背板がなく手加減の必要がないため、だれでも同じように切ることができる。選び方は使い手次第だ。

「クラシカルな姿が美しい手動スライサーは店のオブジェにもなり、繊細なテクスチャーの証しにもなる。一方、自分の手でおいしさを生み出したい人やスピード感が求められる店には電動がおすすめです。技術の向上でなめらかにとろける感動的なテクスチャーが得られるはずです」。


手動式スライサーの場合

生ハムへのダメージが比較的少ない。生ハムを手で送る必要がないため、初心者でも安定したスライスができるのが特徴。電源がいらないので、専用スタンド付きなら客席への設置も可能で、ゲストの目の前で切りたてをすぐに提供するパフォーマンスもできる。

【メリット】
背板がなく手加減の必要がないため、誰でも同じ状態のスライスが可能。
【デメリット】
生ハムのセットに慣れが必要。メモリの特性で微妙な薄さの調整ができない。
【仕上がり】
口当たり、口溶けのよい仕上がり。厚さが均一。 





「ブレードを回すだけ。失敗がないのがいい」
東京・神楽坂「リ・スカンピ」 シェフ 鈴木陽一さん



◎ 「リ・スカンピ」
東京都新宿区神楽坂2丁目20−1  102号
☎ 03-3267-6558
月・祝休  火~土 18:00~26:00  日 15:00~24:00
http://www.gli-scampi.com/ 





電動スライサーの場合


一般的な斜め刃の電動スライサーは重力を利用してスライスするが、タテ刃の電動スライサーは真横から生ハムを手で押しつけながら切るため、厚みをさらに微調整できる。ある程度のテクニックは必要だが、脂側からスライスすると生ハムの表面につやを与えられる。



【メリット】
背板に合わせて生ハムをセットし、レバーを持って生ハムを押せばスライスできる。
【デメリット】
自在にスライスの状態をコントロールするには、ある程度の経験と技術を要する。
【仕上がり】
脂側からスライスすると、生ハムの表面につやを与えることができる。





「自分らしいスライスを追求したくなりますね」
東京・門前仲町「トラットリア ブカ・マッシモ」 シェフ 大沼清敬シェフ



◎ 「トラットリア ブカ・マッシモ」
東京都江東区富岡1丁目24−11
☎ 03-5809-9022
月休  火~金 17:30~24:00(L.O.22:30) 土・日・祝 17:30~23:00(L.O.22:00)
https://bucamassimo.jp/





ご存知ですか? おいしいパルマハムに欠かせないスライサーのメンテナンス


手動、電動いずれも、こまめに刃を研いでシャープさを保つことが大切。マシーンに内蔵されている砥石で、刃を回転させて片面ずつ研ぐ。微調整や部品交換に対応している販売者を選ぶと長く、快適に使い続けられる。清潔に保つことも重要だ。すき間に詰まったハムのかすは竹串などでこまめに取り除き、日々、食用アルコールスプレーでくまなく除菌し、清潔な布で拭き上げる。生ものを扱う自覚をもって、雑菌の繁殖を徹底的に防ごう。









お問い合わせ先
パルマハム・インフォメーションセンター (旭エージェンシー内)
www.parmaham.org
☎ 03-5574-7834
info@parmaham.org













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