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ARITAが見据えるこれからの400年

究極の器で至福の佐賀の食
柿右衛門窯編

text by Kei Sasaki / photographs by Hide Urabe



西洋磁器にも影響を与えた「柿右衛門様式」。




「濁手(にごしで)」と呼ばれる乳白色の地に、赤色の絵具で描かれる花や鳥。17世紀に酒井田柿右衛門が確立した「柿右衛門様式」は、ヨーロッパにも輸出され、高級白磁メーカー・マイセンにも影響を与えたといわれています。300年以上続く伝統を受け継ぎ、2014年に襲名した十五代酒井田柿右衛門さんは、「柿右衛門様式」の伝統と重要無形文化財保持者(人間国宝)であった父の下で、子供の頃から陶芸の道に進むべく育ちました。陶芸作家として自らのスタイルを模索しながら、窯の伝統をよりよい形で次代に伝えるために、手探りで歩き始めたばかり。40代の若き当主は、柿右衛門の今とこれからをどのように見据えているのでしょうか。



300年以上続く、名門窯の風格が敷地内のいたるところから伝わってきます。



広々とした敷地の入口に展示室、古陶磁参考館が建つ柿右衛門窯は、有田駅から車で7分ほどの場所にあります。庭園には大きな錦鯉が泳ぐ池があり、窯の名にちなんだ柿の木の枝ぶりも見事です。




ろくろ場では多くの職人が黙々と仕事をしていました。絵付けの作業場は、昔ながらの板の間。チリひとつなく、床もぴかぴかに磨き上げられた、清々しい空間です。江戸時代から続く伝統の今がここに。そんなことを思うと、神聖な気持ちになります。

絵付けだけではない、器としてのあり方を追求する。





襲名からわずか2年余り。「ここ最近でようやく、今すべきこと、10年、そして30年後を見据えてしていきたいことが整理できたかな、というところです」と話す十五代柿右衛門さん。色絵磁器の代名詞とも言われる「柿右衛門窯」の看板が、いかに大きく、重いものであるかが伝わってきます。




「襲名以降、常に2人の人間が自分の中に存在しています。ひとりは陶芸作家としての自分、もうひとりは柿右衛門窯のリーダーとしての自分です。作家としての活動は自分の信じる道を行けばいいのですが、柿右衛門のほうは、昔の仕事を正しく伝えながら、十五代ならではの仕事を残さなければなりません」
乳白色の地と暖色で描かれた絵のコントラスト、余白の美。器好き、焼き物好きの間ではあまりに有名な柿右衛門様式ですが、「窯らしさは絵付けばかりではない」と、柿右衛門さんは言います。

日々の器として、使い勝手をミリ単位で追及。器を手にすると、つくり手の心使いが伝わってきます。

「柿右衛門窯のベースは、昔から一貫して器づくりにあります。持ったときに思ったより“ほんの少しだけ”軽い重量感、滑らかな口当たり、高台がなくても器として成立する均一な厚さ。こういったことをミリ単位で考えながら、現代の器としての使い勝手を追求しています」
鑑賞用ではなく、日々使われる器でありたい。となればおのずと、現代の食文化、生活習慣にも敏感でなくてはなりません。素材や技などの伝統は守りながら、十五代目の自身が生きる時代を映した器づくりを。柿右衛門さんの挑戦は始まったばかりです。

時代を映し、時代に流されない器のあり方。




精巧な赤絵の美しさと優美なデザイン。古い時代の作品を好む愛好家も多い歴史ある窯だけに、美術品としての価値に目がいきがちですが、柿右衛門さんは「窯の矜持は器にあり」と、断言します。「絵付けは器自体を美しく見せますが、実は料理を引き立たせるためのものでもあります」。主役は、あくまで料理。柿右衛門窯の器には、この思想が貫かれています。だからこそ、新しい器をつくる際には、料理人に取材をすることも。「どのくらいの大きさがちょうどよく、どういう形状なら使いやすく、また食べやすいか。そういったことは料理人の方々が熟知していますから」。言われた通りにつくるのではなく、考え方を器づくりに取り込み、柿右衛門窯の伝統と融合させる。そうすることで、今の時代ならではの器が生まれ、使われるシーンが広がることにもつながっていく。柿右衛門さんは、そう考えているのです。





料理にぴったりの器は、最高の調味料になる
~料理家・松田美智子さん~

「食器棚は自分のもうひとつのワードローブ」と、話す料理家の松田美智子さん。「食器選びも洋服選びと同じ。着回しならぬ使い道が多いものを選んで揃えておきたいと思うし、そういう器とは、結局は長く付き合うことになります」。日々の料理に使う器は、第一に盛り付けやすさ、そして耐久性も含めた扱いやすさを考えて揃えると言います。日本の食文化の中で育まれた和食器が、日本の家庭料理と相性がいいのは言わずもがな。季節感や食材の組み合わせなど、日本料理の理(ことわり)にかなった料理ならばなおさらだと松田さんは言います。





柿右衛門の器は和食から中華風の丼まで、ジャンルも多様化している日本の家庭料理も懐深く受け止める。

「今や海外でも、和食器のニーズ、注目度は高まっていて、そのことが和食器の汎用性の高さを物語っているように感じます」と、松田さん。平皿なら余白をつくる、鉢なら天高に盛るなど、盛り付けの基本を押さえれば、和食でなくても和食器に映える美しい盛り付けが可能になります。「料理にぴったりの器は、最高の調味料になるから」という言葉からも、器への思い入れが伝わってきます。





足もとを固めて、確かな第一歩を踏み出す。

400年という節目の年を自分の代で迎えることになるとは思わなかったと話す柿右衛門さん。しかしそのことが、柿右衛門窯のこれまでとこれから、そして十五代として自分がすべきことを、じっくり考える好機になったと言います。有田の400年の歴史も、柿右衛門窯の歴史も、支えているのはひとり、ひとりの職人です。「父は“職人の人生は一生が修業”とよく話していました。一人前と思ったら、その瞬間で終わりだ、と。今も柿右衛門窯には、父が育ててくれたたくさんの職人がいますし、私自身も一職人として、今いちど父の言葉を肝に銘じたいと思います」

そしてもうひとつ、柿右衛門窯にとって欠くことのできないものが、昔から使われている材料だと言います。「赤の原料となる鉄、青を描く呉須など、昔ながらのものがなかなか手に入りにくくなってきています。面と向かっては何も教えてくれなかったように感じる父も“昔の材料を残せ”ということだけは、口うるさく言っていた。できるだけいい材料を確保し、その生産や流通を守ることも、私の大切な仕事だと思います」。どんぐりをモチーフにしたデザインをはじめ、自分ならではの柿右衛門づくりにも力を入れていますが、今はそれを前面に打ち出すより、「まずは足元から」ということでしょうか。

「十五代らしさというものは、代替わりのときまでに示せればいい。それまでは歴史を今一度学んで、時代に向き合いながら考えを練りに練って、つくり続けるしかないんです」。名門の若き十五代目は、慎重に、しかし確かな足取りで、新しい時代に向けて歩き始めています。

究極の器で至福の佐賀の食!
佐賀県が誇る人間国宝と三右衛門の器をUSE(使う)!




佐賀の食材にこだわったメニューを、佐賀県が誇る人間国宝と三右衛門の器をUSEして(使って)提供します。“使う”をコンセプトにしたUSEUM ARITAならではの貴重な体験です。

会期      2016年8月11日(木)~11月27日(日)

場所      九州陶磁文化館 アプローチデッキ 「USEUM ARITA」

営業時間    10:00~16:30  ※月曜休館/月曜日が祝日の場合は会館

メニュー    朝御膳、昼御膳、スイーツセット

お食事時間帯 メニュー 税サ込価格
10:00~11:00 ブランチタイム 人間国宝、三右衛門の器を使った和食の「朝御膳」をお楽しみ頂けます。 1,500円
11:30~12:45 ランチタイム 人間国宝、三右衛門の器を使った和食の「昼御膳」をお楽しみ頂けます。 2,500円
13:00~14:15
14:30~16:30 カフェタイム 有田焼創業400年事業「ARITA EPISODE 2」開発商品はどで、スイーツとドリンクのセットがお楽しみ頂けます。 1,000円




予約受付ダイアル(USEUM ARITA内)
0955-41-9120
受付時間:10:00~16:30

お問い合わせダイアル((株)佐賀広告センター内)
0952-27-7102
受付時間:平日10:00~16:30



■USEUM ARITAでは、佐賀の食材を使った料理を、井上萬二窯(井上萬二氏)、弓野窯(中島宏氏)、今右衛門窯(今泉今右衛門氏)、柿右衛門窯(酒井田柿右衛門氏)、中里太郎右衛門陶房(中里太郎右衛門氏)という佐賀を代表する究極の器で体験頂くことができます。
待ち時間無く、快適にお席にご案内させて頂くために事前予約をお勧めしております。
■予約は、朝御膳(10:00~11:00)と、昼御膳(11:30~12:45/13:00~14:15)のお席のみとなります。
■御膳・昼御膳は、井上萬二窯セット、弓野窯セット、今右衛門窯セット、柿右衛門窯セット、中里太郎右衛門陶房セットのいずれかでのご提供となります。器は予約時にはお選び頂くことが出来ませんので、予めご了承ください。
■朝御膳・昼御膳・スイーツセットは、各日提供数を限定していますので、無くなり次第終了となります。
■20名以上のご予約キャンセルにつきましては前日50%、当日100%のキャンセル料が発生いたします。
■USEUM ARITAへの入場は無料です。











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