丸焦げナスがスモーキー。ナスと練りゴマのペースト「ババガヌシュ」
プラントベースの始め方29
2023.04.03
photographs by Hide Urabe
連載:プラントベースの始め方
健康や環境への配慮から、植物性の食材を主体とする“プラントベース(Plant Based)”な食事法が注目されています。肉や魚や乳製品に頼らずとも「おいしい」料理を作る知恵は、世界各地に存在します。身近なレシピからおいしくプラントベースを始めるヒントを紹介します。
教えてくれたシェフ
東京・恵比寿「タイーム」ダン・ズッカーマンさん
水気をしっかり切り、焼きナスの香りをアップ
ババガヌシュは練りゴマの「タヒーニ」とナスで作るペーストで、イスラエル人のソウルフードです。ヒヨコ豆と練りゴマで作る「フムス」に比べると日本ではまだあまり知られていませんが、イスラエルやレバノンなどの地中海沿岸地域では定番の存在。イスラエル人はみんなこれが大好きで、基本的にはスーパーで買ったり、お店で食べることが多いです。ナチュラル志向の人や料理好きの人は自宅でも作るかな。
イスラエルのナスは日本のナスに比べてとても大きい品種なので、日本ではできるだけ大きい米ナスを使っています。実も引き締まっていてババガヌシュ向きだと思います。
ババガヌシュにはナスをオーブンでローストして作るレシピもあるけれど、それよりもスモーキーな香りのババガヌシュの方が人気があります。直火で丸焦げになるまでじっくりと焼くことで、ペースト全体に焼きナスの香りがつくんです。
日本人は焼いたナスに醤油をかけて食べますよね。イスラエル人はタヒーニとレモンとニンニク、オリーブ油。これらがイスラエル料理の基本的な味の組み合わせです。味付けに「これ」という正解はないので、ニンニクやレモンの量を調整して、自分好みのバランスを探してみてください。
ババガヌシュを作るうえでのポイントは、焼いたナスをザルにあげてしっかりと水を切ること。これをしないと、水っぽくてぼんやりした味になってしまいます。焦げた皮を剥くときは、流水にあてると手早く剥けます。細かい皮が多少残っていても大丈夫。気楽にざっくりと作りましょう。
ちなみにお店では、フムスとババガヌシュ、パプリカのトマト煮込み「マッブハ」の盛り合わせが人気。どれもピタに付けるディップではありませんよ。フムスもババガヌシュも「食べる」もの。ピタでたっぷりとすくって食べてみてください。
<植物性食材だけでおいしくなるコツ>
1 肉厚な米ナスを選ぶ
2 冷ましてから剥く
3 ニンニクは潰して使う
「ババガヌシュ」の作り方
[材 料(作りやすい分量)]
米ナス・・・2本
タヒーニ※・・・150g
ニンニク・・・2片
レモン汁・・・1/2個分
塩・・・3g
E.V.オリーブ油・・・適量
※タヒーニ 白練りゴマ適量を水適量でのばし、レモン汁、ニンニク、塩で好みの味に調整する。
[材料のポイント]
[道具のポイント]
[1]ヘタを取る
ナスを洗ってヘタの部分を手でむしり取る。ヘタが残っていると、その部分に火が通りにくくなる。
[2]穴を開ける
フォークで全体に穴を開ける。表面の皮だけでなく、しっかり2センチくらい突き刺す。
[3]ナスを焼く
コンロに焼き網を置き、ナスを並べて強火で焼く。ナスの側面まで火に覆われるよう火力は強く。
[4]こまめに回転
ナスの表面が焦げてきたらこまめにナスを回転させ、全体を均等に焼く。火が通るまで約10分。
[5]冷ます
焼き上がったナスは10~15分ほどおいて冷ます。スモーキーな香りが馴染む。
POINT:日本では「焼きナスは熱いうちに剥く」ほうがよいというイメージがあるが、冷ましてから剥くことで焦げた香りがナスの実に染み、スモーキーに仕上がる。
[6]皮を剥く
ヘタと先端を切り落とし、流水にあてて焦げた皮を剥く。多少皮が残っていてもOK。
[7]刻む
皮を剥いたナスを1㎝角程度にざっくりと刻む。
[8]水を切る
ザルにあげて塩(分量外)を軽く振り、1時間程度置いて余分な水分を抜く。
[9]混ぜて仕上げる
8にタヒーニ、レモン汁、オリーブ油、スクイーザーで潰したニンニク、塩を混ぜ、好みの味に調える。
◎タイーム
東京都渋谷区恵比寿1-29-16ベルハイムC
☎03-5424-2990
11:30~14:30 LO 18:00~22:00LO(日曜、祝日は18:00~21:00LO)
水曜休
東京メトロ広尾駅より徒歩9分
https://www.ta-imebisu.com/
※新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため要請に合わせて営業時間が変わることがあります。
(雑誌『料理通信』2018年5月号掲載)
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