HOME 〉

JOURNAL / 世界の食トレンド

ネグローニ・カクテルの殿堂、カフェ「ジャコーサ」がフィレンツェに復活

Italy [Firenze]

2023.10.12

ネグローニ・カクテルの殿堂「ジャコーサ」がフィレンツェに復活

text & photographs by Manami Ikeda
(写真トップ)「ネグローニ・スプリッツ」(15ユーロ)。ジン・タンカレー、ヴェルモット・カルパーノ・クラッシコ、カンパリ・ビター、ソーダの軽やかなネグローニ・アレンジ。

1860年にトリノ出身のジャコーサ兄弟がフィレンツェで開業したカフェ「ジャコーサ(Giacosa)」。20世紀初頭、カクテルの「ネグローニ」誕生以来、その“聖地”として生みの親であるネグローニ伯爵他、街の名士に愛されてきたカフェである。

それが2001年、店舗はあるラグジュアリーブランドのショップに変わり、ジャコーサはショップ内カフェとして名前だけがかろうじて残るだけに。2016年には、そのショップの閉店に伴い完全に消滅してしまった。外壁にネグローニが誕生したことを示すプレートが残るだけという状態が長らく続いていたが、2023年夏、ついに復活。ただし、かつての場所はまた別のブランドショップが営業しているため、創業の地から十数メートル移動した。

(写真)ホールは二つ。奥の部屋は大理石のテーブルと深いブルーのファブリックが落ち着いた雰囲気を醸す。

(写真)ホールは二つ。奥の部屋は大理石のテーブルと深いブルーのファブリックが落ち着いた雰囲気を醸す。

(写真)重厚な造りのバーカウンター。

(写真)重厚な造りのバーカウンター。

復活したジャコーサは、外観こそ目立たないが、内装はスタイリッシュかつ高級感ある造りで、復活というより新生と言った方がふさわしい、今どきのカフェ・バーとなった。主役はもちろんネグローニ。「ツイステッド・クラシック」と題したカテゴリでは、ネグローニ・スプリッツやネグローニ・シェケラートなど、ライトなアレンジも並ぶ。その他「イノベーションに出会ったトラディション」「ジャコーサ・クリエイション」など、イタリアのベーシックなカクテルをテーマにしたオリジナルレシピが揃う。

もう一つの注目点は、アフターディナーでの利用。カクテル・ブームに乗ってイタリアでは次々とミクソロジーバーが生まれているが、そのいずれもが深夜に賑わっていることから、ジャコーサも昼からアペリティーヴォにかけてだけでなく、カクテルバーとして夜遅くまで利用できるようにしているのだ。オープンから2カ月、早くもフィレンツェの新名所として人気を集めている。


(写真)「ネグローニ・シェケラート」(右)と「ニトロ・ネグローニ」各15ユーロ。シェケラートは、ジン・セブン・ヒルズ、ヴェルモット・カルパーノ・アンティカ・フォルムラ、カンパリ・ビターをシェイク。ニトロは、ジン・タンカレーNo.10、ヴェルモット・デル・プロフェッソーレ、カンパリ・ビターにNO2(二酸化窒素)を注入してクリーミーな口当たりのカクテルに。

(写真)「ネグローニ・シェケラート」(右)と「ニトロ・ネグローニ」各15ユーロ。シェケラートは、ジン・セブン・ヒルズ、ヴェルモット・カルパーノ・アンティカ・フォルムラ、カンパリ・ビターをシェイク。ニトロは、ジン・タンカレーNo.10、ヴェルモット・デル・プロフェッソーレ、カンパリ・ビターにNO2(二酸化窒素)を注入してクリーミーな口当たりのカクテルに。

(写真)外壁に残るプレート。ちなみに正確には、ネグローニはジャコーサで誕生したのではなく、その前にそこで営業していた食料品店で作り出された。その後、カフェ・ジャコーサでのネグローニが有名になり、ジャコーサがネグローニ発祥の店という通説が出回った。

(写真)外壁に残るプレート。ちなみに正確には、ネグローニはジャコーサで誕生したのではなく、その前にそこで営業していた食料品店で作り出された。その後、カフェ・ジャコーサでのネグローニが有名になり、ジャコーサがネグローニ発祥の店という通説が出回った。


◎Giacosa 1815
Via della Spada, 15r Firenze
☎+39-055-2021617
8:00〜24:00(金曜・土曜・日曜〜翌1:00)
無休

*1ユーロ=157円(2023年9月時点)

料理通信メールマガジン(無料)に登録しませんか?

食のプロや愛好家が求める国内外の食の世界の動き、プロの名作レシピ、スペシャルなイベント情報などをお届けします。